アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのハイパースケーラーは、AI投資に邁進しており、データセンターへ巨額の設備投資を続けています。その負担の大きさに収益や利益がついてくるのかという不安が高まる事でハイパースケーラーの株価が軟調になっていた時もあったのですが、先日の決算発表によって、この雰囲気が一変しました。

アマゾンやマイクロソフトの決算は良かったね



クラウドの成長性が高かった事で、AI投資が報われたと判断されたね
AIが普及していく事を見越して、ハイパースケーラーは先行投資を続けているのですが、これほどまでに巨額の資金を我先にとつぎ込んでいるのには、こういった先行投資が報われるという過去の事例があるからこそ、ハイパースケーラーは本気で資金を突っ込んでいるんですよね。
それが、アマゾンがクラウドを他社に開放し始めた時です。自社で使っていたクラウドを拡張して、他社も利用できるようにしました。そして、設備投資をガンガンと進めて、まだクラウドが世の中に浸透していない時から拡大をしていき、一気に世界シェアトップの座を勝ち取り、今の地位を不動のものとしたのです。
アマゾンがクラウドへの投資を大きく強めた2012年はフリーキャッシュフローが大きく減っています。フリーキャッシュフローを棄損させても設備投資に重きを置き、将来の収益やシェアの確保を狙ったのです。
当時のアマゾンのクラウドへの設備投資では、キャピタルリースで取得したサーバーなどは「現金による設備投資」に含まれていなかったため、通常のフリーキャッシュフローはプラスでしたが、アマゾンはリースで取得した設備投資についても現金で購入したものとして計算するフリーキャッシュフロー指標も開示していました。
「フリーキャッシュフローとリースで取得した設備投資を咥えた調整後のフリーキャッシュフロー」
| 年度 | フリーキャッシュフロー | 調整後のフリーキャッシュフロー |
|---|---|---|
| 2012年 | +3.95億ドル | -4.27億ドル |
| 2013年 | +20.13億ドル | +1.59億ドル |
| 2014年 | +19.49億ドル | -21.94億ドル |
この当時に、アマゾンのクラウド部門(AWS)に対する設備投資は、2013年で 22億1500万ドル、2014年には約 2倍にも膨れ上がった 42億9500万ドルとなっており、ガンガンと設備投資に邁進していました。
設備投資をガンガンと行う事により、フリーキャッシュフローは当然ながら大きく棄損していたのですが、巨額の設備投資を続けた結果、アマゾンのクラウドであるAWSは大きく成長していき、その後は世界最大のクラウド企業となり、今ではアマゾンの利益の半分を産み出す金の卵となっています。
では、アマゾンのクラウド部門であるAWSがどのくらい成長し続けていたのかを確認してみましょう。
| 年度 | AWSの売上 | 前年対比成長率 |
|---|---|---|
| 2012年 | 18.40億ドル | 開示無し |
| 2013年 | 31.08億ドル | +69.0% |
| 2014年 | 46.44億ドル | +49.4% |
| 2015年 | 78.80億ドル | +69.7% |
| 2016年 | 122.19億ドル | +55.1% |
| 2017年 | 174.59億ドル | +42.9% |
| 2018年 | 256.55億ドル | +46.9% |
| 2019年 | 350.26億ドル | +36.5% |
| 2020年 | 453.70億ドル | +29.5% |
| 2021年 | 622.02億ドル | +37.1% |
| 2022年 | 800.96億ドル | +28.8% |
| 2023年 | 907.57億ドル | +13.3% |
| 2024年 | 1075.56億ドル | +18.5% |
| 2025年 | 1287.25億ドル | +19.7% |
設備投資を重ねてきたことで、50%以上の高い成長性を続けることが出来ていたんですよね。流石に規模が大きくなるにつれて成長性は落ちていきます。近年では10%台の成長性に落ち着いていた感じとなっています。
それが、再び AI投資によって成長性が復活しつつあるという事なんです。最新のアマゾンのクラウド(AWS)の成長率は、+36.7%と大きく増加しているですよね。しかも、まだ AIが本格的に普及する段階ではなく、AI導入の初期段階にも関わらず、AWSの売上は大きく伸びています。
アマゾンの2025年のAWSは、1287.25億ドル(20兆5900億円)も売上を叩き出しているんです。四半期でみても(単純に年度売り上げを4で割った)、321.81億ドル(5兆1490億円)という巨額の売上となっています。ここまで巨額の売上を誇る規模でありながら、これが 36%も増えるのだから、恐ろしいほどの成長性ですよね。
そして、これが今後は更に高まっていくかもしれないとなると、本当に怖いぐらいに高い成長性を叩き出すかもしれません。ハイパースケーラー達は、これが分かっているからこそ、今は設備投資にガンガンとつぎ込んでいる状態です。
過去にクラウドに設備投資したハイパースケーラー達は、今では安定した巨額の売上と利益を確保しています。そして、今度は過去のクラウドが大きく伸びたように、AIが普及する事で更にクラウドは爆発的に伸びる要素を持っています。
なので、設備投資に先行投資をした見返りがハイパースケーラー達に降りてきたときには、業績も株価も大きく右肩上がりになっていくのだろうと思っています。


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