最近の米国株市場は少し上値が重たい展開が続き、ジリジリと下がっていく展開でした。期待されていたグーグル(アルファベット)の決算も、内容は良かったものの設備投資の負担の重さが嫌気されて決算発表後のグーグルの株価は下がっており、米国株市場を押し上げる事は出来ませんでした。

グーグルの決算内容自体は良かったのにね



期待値が高いので、設備投資の負担が重いと株価は軟調になるようだね
そんな中で注目されていたマイクロソフトの決算。市場の期待を越える決算を出して、米国株市場の雰囲気を変える事ができるのかに期待されていました。果たして市場の期待に応える事が出来た決算内容だったのでしょうか。それでは、マイクロソフトの2026年度第4四半期決算を確認してみましょう。
マイクロソフト2026年度4Q(第4四半期)決算
Microsoft 2026年度第4四半期(2026年4月~6月:4Q)決算
売上高 900億0700万ドル(17.7%増加)
営業利益 406億030万ドル(18.2%増加)
純利益 357億6600万ドル(31.3%増加)
1株利益(希釈後) 4.81ドル(31.7%増加)
市場予測
売上高 876億1900万ドル(2.7%上回る)
1株利益 4.24ドル(13.4%上回る)


これだけの巨大企業にも関わらず、相変わらず決算内容は好調をキープしています。AIの台頭により業績が低迷していくのではないかという懸念(SaaSの死)によって、株価は低迷していますが、そんな懸念など吹き飛ばすかのように好決算を続けています。
売上に関しては二桁成長を維持しており、文句なしです。数年前には売上の成長率は一桁台だった事を考えると、しっかりと復活していると感じます。前期の売上成長率(18.2%増加)と比較すると少し減速した感じではありますが、17.2%増加と充分に高い水準を維持しており、売上は好調な状態が続いています。
純利益に関しては、Anthropicへの投資による32億ドルの利益やオープンAIなどのAI新興企業への投資に関連する営業外利益が純利益を押し上げた所もあるのですが、前年対比で31.3%の増加と大きく伸びています。
市場予想と比較してみても、売上は市場予想よりも 2.7%ほど上回っており、1株利益については市場予想よりも 13.4%ほど上回っているので、文句なしの決算実績だったと思います。
部門別の売上と営業利益
Productivity and Business Processes
(オフィスソフト等のビジネス製品部門)
「売上」・・・・・378億4700万ドル(14.2%増加)
「営業利益」・・・219億0000万ドル(15.3%増加)
Intelligent Cloud
(サーバー製品やアジュール等のクラウド部門)
「売上」・・・・・393億0600万ドル(31.5%増加)
「営業利益」・・・159億5500万ドル(31.4%増加)
More Personal Computing
(Windows OS、ゲーム、Microsoft社製PC等の部門)
「売上」・・・・・128億5400万ドル(4.4%減少)
「営業利益」・・・27億4800万ドル(13.8%減少)
各部門はそれぞれ、「企業向けの商品部門」、「クラウド部門」、「家庭用の製品部門」、という感じに3つに分かれているとイメージすると分かりやすいのかなと思います。
(本文)
「Productivity and Business Processes部門」では、企業向け(Commercial)製品はマイクロソフト365のサブスクリプション収入(cloud services revenue)が 16%増加したみたいだし、消費者向け(Consumer)製品もマイクロソフト365のサブスクリプションは 24%増加しており、順調に業績は成長を続けています。AI支援機能「コパイロット」の導入が増え、有料契約は3000万件に達したようです。
「Intelligent Cloud部門」では、Azure(アジュール)およびその他のクラウドサービスの成長性は 43%の増加となっていて、前期よりも成長性は加速しています。ここ最近のAzureの成長率は、「39% → 40% → 39% → 40% → 43%」という感じとなっていて、設備投資での負担は増えていますがAzureの売上の伸びも加速しています。
「More Personal Computing部門」では、トラフィック獲得コストを除く検索広告収入は 10%増加していたのですが、 Windows OEMおよびデバイスの売上高は 7%減少しており、XBOXのコンテンツおよびサービスの収益も 10%減少していました。トータルではこの部門の売上は 4.4%の減少となっていて、前期に引き続きマイナス成長とマイクロソフトの3部門の中では足を引っ張っている状態になっています。不振が続くこの部門では7月に社員の2割にあたる 3000人規模の人員削減を発表しました。
これらの3つの部門の中でも、「Intelligent Cloud部門」は、AI需要を取り込む重要な部門であり、特にAzureの成長性は大きく注目されています。規模が大きくなるにつれて成長性が鈍化していたAzureですが、AI需要の拡大に伴い(設備投資も増えているけど)、Azureの成長性も再び加速していますね。今期のアジュールの成長率も 43%増加と大きく伸びていました。


前期のガイダンスと今期の実績の比較
前期(2026年度3Q)の決算の時にマイクロソフト自身が発表していた今期(2026年度4Q)予測と、実際の今回の決算はどのようになっているのかを見比べてみましょう。私は、市場予測だけでなく、企業自身が予測している数字と実際の結果がどうなっているかも重要だと思っています。
「マイクロソフトが前期に発表していたガイダンスとの比較」
Productivity and Business Processes
「前期に予測した売上」・・・370億ドル~373億ドル
「今期の実際の売上額」・・・378億4700万ドル
Intelligent Cloud
「前期に予測した売上」・・・379億5000万ドル~382億5000万ドル
「今期の実際の売上額」・・・393億0600万ドル
More Personal Computing
「前期に予測した売上」・・・117億5000万ドル~122億5000万ドル
「今期の実際の売上額」・・・128億5400万ドル
総売上
「前期に予測した総売上」・・・・867億ドル~878億ドル
「今期の実際の総売り上げ」・・・900億0700万ドル
営業利益
「前期に予測した営業利益」・・・380億ドル~388億ドル
「今期の実際の営業利益」・・・・406億0300万ドル
「Productivity and Business Processes」、「Intelligent Cloud」、「More Personal Computing」の全ての部門に対して、マイクロソフト自身が事前に立てていた計画(想定)よりも上回る結果となっています。特に「Intelligent Cloud」は大幅に上回っており好調さが感じられますね。それと「More Personal Computing」は前年実績よりも売上はマイナス成長だったのですが、そもそも前回のガイダンスの時点で公表していた数値は充分にクリアしている(上回っている)ので、特に問題ないと思います。
来期(2027年度1Q)のガイダンス
さて重要な来期のガイダンスを確認してみましょう。
Microsoft自身が予測した次期ガイダンス
総売上 898億5000万ドル~909億5000万ドル(15.6%増加~17.0%増加)
売上原価 296億ドル~298億ドル
粗利益 602億5000万ドル~611億5000万ドル
営業費用 168億ドル~169億ドル
営業利益 434億5000万ドル~442億5000万ドル(14.4%増加~11.2%増加)
Productivity and Business Processes
「売上」・・・367億ドル~370億ドル(11.1%増加~12.0%増加)
Intelligent Cloud
「売上」・・・409億5000万ドル~412億5000万ドル(32.5%増加~33.5%増加)
More Personal Computing
「売上」・・・122億ドル~127億ドル(7.6%減少~11.3%減少)
アジュールの成長率(Azure and other cloud services revenue growth)
45%(Growth of approximately 45% in constant currency)
市場が想定していた次期ガイダンス
総売上 896億9000万ドル
アジュールの成長率 41%
来期のガイダンスについても非常に力強いものでした。売上については、市場予想を大きく上回っており、マイクロソフトが想定している売上の下限の想定でも市場予想を上回る規模となっており、市場が注目しているアジュール(Azure)の成長性についても、市場予想の 41%増加を大幅に上回る 45%増加となっているなど、非常に強気なガイダンスでした。
AIへの設備投資
AIへの設備投資については、今期は410億円となっていて前年と比べると 69%の増加と大幅に増えているのですが、リース資産の耐用年数の見直しなどを受けて 2026年度通期決算における設備投資額は従来の1900億ドルから1750億ドルへと減少することになっています。ただ、来期の設備投資額は500億ドルを越える見通しとなっていて、設備投資を強化していく方向性は依然として続いているようです。
「マイクロソフトのAI関連の設備投資額」
| 年月 | 設備投資額 |
|---|---|
| 2023年10月~12月 | 115億ドル |
| 2024年01月~03月 | 140億ドル |
| 2024年04月~06月 | 190億ドル |
| 2024年07月~09月 | 200億ドル |
| 2024年10月~12月 | 226億ドル |
| 2025年01月~03月 | 214億ドル |
| 2025年04月~06月 | 242億ドル |
| 2025年07月~09月 | 349億ドル |
| 2025年10月~12月 | 375億ドル |
| 2026年01月~03月 | 319億ドル |
| 2026年04月~06月 | 410億ドル |
まとめ
さて、今回も決算も相変わらず素晴らしい決算内容だったと思います。特に、Azureの成長性は大きく加速していて、次期ガイダンスも非常に力強いものでした。最近のマイクロソフトの株価は低迷していたのですが、そんな評価を塗り替えるような決算内容だったと感じます。
今年のAzureの売上高は初めて 1000億ドルを突破し、Microsoft 365 Copilotの有料ユーザー数は3,000万人を超え、業績は好調を維持しています。そして、2027年6月期通期の前半(つまり2026年7月~2026年12月)には成長性が更に加速するとの見通しを示していました。
設備投資は、今期も 410億ドルと増えていますが、Azureの成長性が加速している事で設備投資に力を入れている事による恩恵が徐々に表れてきている感じとなっています。来期も設備投資は 500億ドルを越える規模になるとの事ですが、残存履行義務(RPO:受注残高)は前年よりも84%も増加して 6780億ドルとなっており、OpenAIを除いても残存履行義務は 25%増加しました。
設備投資によるフリーキャッシュフローの棄損が懸念されているのですが、2027年度もフリーキャッシュフローはプラスを維持すると想定されており、余力はまだまだある感じだと思います。
今期も、配当金と自社株買いを通じて株主に102億ドルを還元しており、通期(年間)での株主への現金還元総額は430億ドルを越えたそうです。ハイテク企業でありながらも、安定した配当支払い及び自社株買いをマイクロソフトはしてくれているので長期的に保有していると大きく報われる企業ですよね。
今までは、設備投資の負担の重さばかりに投資家の目が行っていた感じだったのですが、クラウドの成長性が加速している事が確認された事で設備投資に大金を突っ込んだ見返りが見えてきたことは今後の評価の改善に繋がっていき、株価への反応も変わっていくと思います。
マイクロソフトなどのハイパースケーラーは、AI需要を取り込んで安定して成長していく企業の1つだと思うので、今後も安心して保有していける企業だと思います。


コメント
コメント一覧 (2件)
おはようございます、よしぞうさん
いつも分析ありがとうございます。
株価が下がり続け、半年以上辛い日々だったですがこれからは流れが変わりそうです。
やはりマイクロソフトは足腰がしっかりした会社だと改めて思いました。
アマゾンも時間外爆上げでうれしいです。
おはようございます、スタッフーさん。
こちらこそ、いつもブログにご訪問いただき、ありがとうございます!
マイクロソフトやアマゾンなどのハイパースケーラーは、株価の調子がイマイチだったのですが、久しぶりに上がってきましたね。
次回の決算でも、今期と同じ様にクラウド部門の成長性が続いていて、更に次期ガイダンスなどでも強い内容を提示できるようであれば、本格的に上向いてくるかなと思っています。
両社とも、このまま頑張って欲しいですよね。