新しいレバレッジ商品であるゼロDTEの危険性

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金融の世界では新しい商品が次々と生まれていき、そしてその後の金融にしっかりと定着していくものもあれば、時代と共に消え去っていくものもあります。近年で優れた金融商品として一番最初に名前があがるのが上場投資信託(ETF)です。1990年にカナダのトロント証券取引所で誕生した上場投資信託は、その後に様々な証券取引所に取り入れられ、今日では世界中で取引されています。

ETFって最近の金融商品なんだね

日本だと1995年に上場したのが最初ですね

そんな金融の世界に、最近になって新しい金融商品が出てきました。それが「ゼロDTE」という商品です。このゼロDTEは少し特殊な金融商品となっており、それが今後の金融市場を揺るがす事になるかもしれません。

新しい金融商品には未知なる可能性とまだ見ぬ危険性が備わっている可能性があるため、充分な注意が必要です。

今回は、そんな新しい金融商品である「ゼロDTE」についてのお話です。

目次

ゼロDTEとは

ゼロDTEとは、取引をしたその日に期限が切れる超短期契約のオプション取引です。原資産を売買する権利を行使する時間が非常に短いため、リスクとリターンが非常に高い取引となります。

このゼロDTEが人気を集めているのは、1ドルの取引で1000ドルもの資金を動かす事が出来るからです。普通の投資家もプロの投資家も同じ条件でこのゼロDTEを使えることから手軽に大きいレバレッジを掛ける事ができ、大きな利益を手に入れる事が可能となっています。もちろん、逆に大きな損失を被る事も起こり得ると言えますよね。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)グローバル・マーケッツがまとめたデータによると、S&P500種株価指数のゼロDTEは想定取引高が1日平均5160億ドル(約76兆2400億円)と莫大な金額になっています。これほど大きな金額にも関わらず、実際に支払われる資金量はわずか5億2000万ドル(約768億円)程度となっています。

2倍レバレッジや3倍レバレッジのETFでもボラティリティが高くて、運用するのは怖いなと感じるぐらいなのに、10倍・20倍どころか1000倍ぐらいのレバレッジになるようなゼロDTEは怖いというよりは、もはや投資ではなくギャンブルに近い感覚なのではないかなと思うぐらいです。

1年ほど前から米国では頻繁に取引されるようになってきたと言われているゼロDTEは、最近になると取扱場所を増やしていっており、欧州でも今年の8月からゼロDTEの取扱いをする取引所が現れており、ドイツ取引所ではユーロ・ストックス50指数(証券コード:SX5E)に連動するゼロDTEを上場しています。

ゼロDTEの危険性

その手軽さとレバレッジの高さを背景にゼロDTEの人気は急上昇しており、先月(8月)におけるS&P500の株価指数に連動するオプション取引ではゼロDTEが占める割合が55%と過半数以上になっており、ゼロDTEの取扱・人気は急速に高まっています。

こうなってくると株式市場に影響を及ぼす可能性もあり、相場を動かす要因になりかねません。

先月の8月にはゼロDTEの取り扱いが非常に大きくなっており、ゼロDTEの取扱高は過去最高を更新して、相場に与える影響力が大きくなってきており、8月の相場が不安定だった原因の1つだとされています。

特に、8月15日にS&P500が大きく下落をした際には、ゼロDTEの影響によって取引終了近くに下落速度を速めていく事となり、最終的にはS&P500が1%以上も下落する事になりました。

ゼロDTEが活発に取引される事で、ボラティリティは更に高まっていき、1日で急落・急上昇する事が多くなっていき、不安定な相場が引き起こされる事となります。

ボラティリティ指数の出遅れ

あまりに急激な相場の動きに対して従来の指標が役に立たなくなってきているという現象も起きています。

相場が大きく動いたりする際には、恐怖指数とも呼ばれているボラティリティ指数(VIX)が大きく動きます。相場が「悲観的になっているのか」「楽観的になっているのか」を測る指標として多くの投資家に参考にされている指標です。

しかしながら、あまりに短期間に変動があるとボラティリティ指数でさえ、その影響がきちんと反映されないケースが出てきてしまいます。

ボラティリティ指数(VIX)は、期間が23日~37日のデリバティブを用いて計算されているため、ゼロDTEのような1日の超短期で決済されるものへの影響を反映するのは難しいのです。そのため、ボラティリティ指数では最近の状況にそぐわないケースが出てくるようになってきました。

そこで、ボラティリティ指数を算出しているシカゴ・オプション取引所は新しい恐怖指数を創り出す事となり、ボラティリティ指数の1日バージョンである1日ボラティリティ指数(コード:VIX1D)を導入する事となりました。

ゼロDTEの時代では、新しい恐怖指数がウォール街では必要となってきたのです。

まとめ

新しい金融商品には、大きな魅力と大きな危険性があります。今は、大きな魅力に取りつかれて活発的に運用されているゼロDTEですが、ひとたび牙を剥けば株式市場に大きなダメージを与えるかもしれません。

相場を混乱に陥れるのは、何時の時代も予想もしなかった斜め上から降り注いできます。

株式市場では、危険性が指摘されながらも「何とかなるだろう」と問題を先送りしているうちに、時限爆弾が炸裂してしまう事がしばしばあります。

ゼロDTEも、そういった危険性をはらんだ新たな金融商品のだと思います。

   

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