半導体メーカーのマーベルが、光学機器サプライヤーであるルメンタムを買収する計画が持ち上がっているようです。11月上旬には正式に承認される可能性が高いという報道が出ていました。これにより、マーベルは光通信技術を取り込むことができ、垂直統合が可能となってくるのです。

マーベルとルメンタムって、あまり聞かない企業だよね



ざっくりとしたイメージではブロードコムの小型版みたいな感じかな
マーベルやルメンタムと聞いても、ピンとこない方々が多いと思います。それほど知名度が高い企業ではなく、知っている人は知っているという程度の、これから大きく成長していくかもしれないという企業です。
とは言うものの、意外と企業の規模は大きく、時価総額ではマーベルは世界第 80位の 2261億ドル(約 35兆円)ほどの規模の企業です。世界第 79位がトヨタ自動車、世界第 81位が中国移動(中国版NTTドコモ)、世界第 82位がスポティファイという事を考えれば、すでにかなり巨大な企業だと言えます。
そんなマーベルが、ルメンタムを買収するのですが、ルメンタムの時価総額は 828億ドル(約 13兆円)なので、両社が合併すると、3089億ドル(約 48兆円)の更なる巨大企業が誕生することになります。この規模になると、世界第 50位にランクインする事となり、同じぐらいの時価総額だと、PCメーカーのデル、石油メジャーのシェル、投資銀行のモルガン・スタンレー、などの世界の名だたる企業と肩を並べる事になります。
買収計画が報道された直後の時間外取引(10月28日の時間外取引)では、マーベルが8%の下落、ルメンタムが8%の上昇をしていました。マーベルが下落したのは、ルメンタムを買収するために巨額の資金が必要であり、それを工面するために株式交換などを行う可能性が高く、マーベル株主からすると株式の希薄化への懸念が高まったからです。ルメンタム側からすると、買収価格がプレミアム価格で取引される可能性を考慮して上昇していました。
マーベルは AI向けカスタム半導体に強みを持ち、ルメンタムは AIデータセンター向け光通信部品に強みを持っています。統合によって半導体から光通信まで事業領域が広がるため、AIインフラ市場での存在感が大きくなる可能性があります。
現在の半導体市場は、AI向けの半導体に関してはエヌビディアの1強状態です。ただ、エヌビディアの半導体を大量に購入しているアマゾンやグーグル、マイクロソフトなどのハイパースケーラーは、自社製の半導体製造に舵を切っており、その半導体製造を担っているのがブロードコムやマーベルという事になります。
データセンターでは、大量の半導体をいかに高速かつ低消費電力で接続するかが重要になってきています。そのため、従来の銅線での接続ではなく、光回線での接続が重要視されており、その技術を持つルメンタムを買収することで、マーベルは半導体チップにおける光通信の垂直統合が可能となります。
「半導体チップの工程」
AI向けカスタム半導体(マーベルの設計)
高速通信・光接続技術(マーベルの技術)
レーザー・光通信部品(ルメンタムの製品)
AI向けカスタム半導体市場では、ブロードコムが最大手であり、有力企業です。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなどはブロードコムにカスタム半導体の受注を大量に行っています。今回のマーベルがルメンタムを買収することによって、光学製品をマーベルが取り込むことで製品の一体化が可能となり、ブロードコムの強力なライバルに浮上する可能性が出てきました。
グーグルやアマゾン、マイクロソフトは、今後もカスタム半導体の比率を高めていく事は必然であり、またブロードコムだけに生産を任せるのではなく、他社も利用することでコストの削減(競争によるコストダウン)やサプライチェーンのリスク回避(単独供給による不測の事態の回避)を図るために、マーベルヘの発注を増やす可能性が出てきます。
今回のルメンタムの買収によって、光学部品の技術を手に入れたマーベルは、カスタム半導体製造業界に君臨しているブロードコムの市場シェアに大きく割り込む権利を手に入れたことになります。まだしばらくは実力(統合効果)を発揮できないだろうけど、いずれは更に大きく成長しそうな感じがする今回の買収なのではないかなと思っています。
(追記)
昨日(2日)に、正式に買収する事と条件が発表されていましたね。この記事は、金曜日(30日)に書いて予約投稿していた分なので、ちょっと情報的には古い感じになっています。


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