今年は、相場の浮き沈みが激しくて指数でも1%以上の浮き沈みがある日が多いと思います。2~3%もの上げ下げをする日もあるので、不安定な相場が続いているのだと思います。
大きく下げては次の日に大きく戻すという動きを繰り返していると我々投資家も振り回されてしまいますよね。
落ち着いた動きに戻って欲しいと思うのですが、インフレが落ち着いて利上げが止まるまでは不安定な相場が続いていきそうですね。
今年はこんな状態なので恐怖指数(VIX:Volatility Index)も不安定な動きをしています。今回は、この恐怖指数(ボラティリティ・インデックス)についてのお話です。
恐怖指数とは
恐怖指数(VIX)とは、投資家の心理状態を表した指数の事で、S&P500の変動率を基に算出されています。恐怖指数の数値が高い程、株式市場の先行きに不安を感じる人が多いという事から恐怖指数と呼ばれています。
S&P500の値動きが激しくなると想定されると恐怖指数は上昇して、S&P500の値動きが安定的であると想定されると恐怖指数は下がっていきます。
数値的な基準としては、こんな感じで投資家からみられています。
10~30 安定水準
30~40 警戒水準
40以上 混乱水準
恐怖指数が30を超えてくると大きく下落する可能性が高まっており、40を超えてくるとかなり大きな下落を伴う事が多くなっていきます。
通常は20前後でウロウロしているのですが、30を超えてくると警戒していく方がいいとされています。
恐怖指数が30を超えたら投資をする
そこで、この恐怖指数を基に投資をするという方法もあります。よく言われているのが、「恐怖指数が30を越えたら投資をする」というものです。
さて、ではこの「恐怖指数が30を越えたら投資をする」というのは使えるのでしょうか。今回は、少しこれを確認してみようと思います。
今年に恐怖指数が30を超えていたタイミングは、9回もあるんですよね。まずは、恐怖指数(VIX)のチャートをみてみましょうか。赤線よりも上のところが30を超えている水準です。赤線を突破したのが、今年は9回もあるという事です。30を超えては下げてて、時間をおいてまた30を超えてという事を今年は繰り返しています。
では、この恐怖指数が30を超えた時に、毎回投資をしていたとすれば、どんな感じになっているのかをS&P500のチャートで確認してみたいと思います。赤丸を付けているところが、恐怖指数が30を超えたタイミングです。
恐怖指数が30を超えたタイミングで買うとすると、少しすれば上昇しているのですが、結局はまた下がってしまって、再び恐怖指数が30を超えたので購入しても、少しすれば上昇しても再度下がってしまうので、買えば買うほどマイナスが増えていく事になります。
恐怖指数が30を越えたら買っておけば単純に儲かるという訳ではないです。
でも、恐怖指数が30を超えて投資をして、少し上昇すれば利益確定をしておけば、結構な確率で勝てるという事も事実であります。つまりは、短期売買においてはタイミングを図る指標として結構優れているとも言えるかもしれませんね。
また、恐怖指数が30を超えているタイミングは確かにその場その場では下がっている局面です。長期投資と割り切って、何度も資金を追加するという前提であれば、恐怖指数が30を越えたら少しずつ買い増しをしていくというのも間違ってはいないと思います。株式市場の底が何処なのかは分からないものなのだから、下手なタイミングで資金を入れて高値掴みをするよりも恐怖指数が30を超えたタイミングで何度も買い増していくというのは理にかなっていると言えるかもしれませんね。
恐怖指数は、30を越えたら投資すれば単純に儲かるというものでなく、短期売買であればそれなりに強い指標として使えるという事と、長期投資であれば30を超えた時に随時資金を投下していけば高値掴みになりにくいのでそれなりのタイミングで拾えるという事になります。
こんなに何回も買うお金がないよ
確かにそうですね(^_^;)
今年は30越えが多いけど、普段はそんなにないんですよ。
普段の恐怖指数(VIX)の様子
今年は、すでに9回も恐怖指数が30を超えるタイミングの時があるのですが、普段であれば1年間で恐怖指数が30を超えるのは何回ぐらいあるのだろうか。それを確認してみましょう。
年度 | 回数 | 年度 | 回数 | 年度 | 回数 |
---|---|---|---|---|---|
2022年 | 9回 | 2021年 | 2回 | 2020年 | 6回 |
2019年 | 0回 | 2018年 | 2回 | 2017年 | 0回 |
2016年 | 0回 | 2015年 | 2回 | 2014年 | 0回 |
2013年 | 0回 | 2012年 | 0回 | 2011年 | 4回 |
2010年 | 4回 | 2009年 | 6回 | 2008年 | 3回 |
2007年 | 2回 | 2006年 | 0回 | 2005年 | 0回 |
2004年 | 0回 | 2003年 | 3回 | 2002年 | 6回 |
2001年 | 5回 | 2000年 | 4回 | 1999年 | 4回 |
だいたい1年間に2~4回ぐらいですよね。なので、今年の9回は非常に多い回数となります。それだけ、恐怖指数が30を超えて市場心理が不安になったり、30を下回って安心したりを繰り返すぐらい不安定な相場になっているという事だと思います。
どっちに転ぶのか皆が確信を持てずに、ちょっとした出来事や指標によって市場心理が右に振れたり左に振れたりとブレブレな感じなんでしょうね。
2012年~2019年の上昇相場の時には、そもそも恐怖指数自体がほとんど出ていないので、近年は非常に安定した上昇相場だったのが良く分かると思います。上昇相場の時に恐怖指数が30を超えていれば単発の急落の可能性が高いので、そういったケースでは恐怖指数が30を超えて投資をすると非常に効率がいいと言えます。
対照的に、下落相場の際には恐怖指数が30を超えているタイミングが何度も発生しており、株価が大きく下がっては恐怖指数が上がり、反発すれば恐怖指数が下がって、再び株価が急落すると恐怖指数が跳ね上がる、という事を繰り返しているので、恐怖指数が30を超えるたびに投資をしていると、ドンドンと含み損が増える事になってしまいます。
長期的な上昇相場では恐怖指数が30越えで投資をすると効率が良いですが、下落相場では恐怖指数が30を超えたからといって安易に投資をすると痛い目にあう可能性があるという事になります。
恐怖指数を目安に投資をするとなると、やはり短期的な売買で利用する方が確率は良いと思います。
暴落時の恐怖指数の動き
今年は、年初から考えるとS&P500などの指数は、20%ぐらいの下落をしています。しかしながら、あまり市場の雰囲気としてはそれほど悲壮的ではないと感じます。日本の場合は円安の効果で助かっているという事があるのですが、それでも20%と大きく下がっている割には悲観的な感じは思いのほか少ないと感じます。
こういった雰囲気も恐怖指数に現れていると思います。恐怖指数が30を超える事はあっても、40を超える事はないです。そして、何度も30を越えながらすぐに下がっていくのは、「利上げはそのうち停止される」や「いずれは利下げに動く」や「景気の後退は回避できる」といった先行きを楽観視する意見がその都度出てくるからだと思います。
普通に悲観的な相場になると、恐怖指数はずっと高値に張り付いたままになります。こうなってくると市場の雰囲気も非常に悪いし、株価も大きく下がります。近年では、コロナショックやリーマンショックが極端に分かりやすい例だったと思います。
コロナショックの時の恐怖指数は、一気に上がって一気に下がっていますが、それでも高い時は恐怖指数が80を超えるという非常に悲観的な状況になっていました。このあたりの雰囲気は体感した人も多かったので、覚えている人も多いと思います。ロックダウンによる都市封鎖で経済や株式市場が壊れてしまうのではないだろうかと思った人もいるのではないでしょうか。
このコロナショックの際には、恐怖指数(VIX)は30を超えてから次に30を下回るのに2か月ぐらい掛かりました。2か月間はずっと恐怖指数が30を超えて株式市場が不安に感じたままだった訳です。皆さんも怖い思いをした人が多かったと思います。
今の相場では恐怖指数が30を超えても、数日ぐらいで再び30を下回るので悲壮感は持続していません。
さて、投資歴が長い方でも多くの方が非常に怖い思いをしたと語るリーマンショックではどうだったのでしょうか?
リーマンショックの際には、恐怖指数が30を超えてから次に30を下回るのに9カ月も掛かりました。1年間の2/3以上は株式市場が総悲観の状態でいるという不安しかない相場となっています。しかも、恐怖指数が80を超えているのが2回もありました。
コロナショックが2回来たと思えば、分かりやすいかもしれませんね。コロナショックの時のような非常に大きな不安が2倍以上も長い時間続き、そして大暴落した総悲観の状態が2回味わえるという恐怖のオンパレードといった感じです。
こういうのが再びくると困りますよね。今の相場が可愛く思えるほどです。
コロナショックよりもリーマンショックの方が数倍怖かったという人が多かったのは、こういった悲観的な時間(時期)が非常に長かったというのがあるのだと思います。
どちらも、投資家にとっては非常に困る状況であり、出来れば再びこのような恐怖指数が高止まりするような相場にはなって欲しくないですよね。
まとめ
現在の相場は下落相場が続いており、悲観的な状況へと少しずつ進んでいますが、まだまだ総悲観という感じではないです。
出来ればそういった状況に陥るのは避けてほしいのですが、未来は神のみぞ知るといった感じです。
コロナショックやリーマンショックのような恐怖指数が80を超えるような強烈に怖い状況には陥らないと思っていますが、一定レベルの大きな下落は起きるかもしれないと思っています。
下落相場であれば、恐怖指数が30を超えたぐらいではまだまだ悲観度合いは足りないと感じています。恐怖指数が40を超えたあたりからが本番だと思っています。
下落相場においては、出来ればコツコツと何度かに分けて資金を投下していくのが良いのですが、残り資金が少なくて、出来るだけ底を見極めて投資をしたいと考えているのであれば、恐怖指数が40を越えたら飛び込んでみるといった方法でもいいのかもしれませんね。
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