土曜日の夜に飛び込んできた中国のニュース。これ、何気に怖いニュースだなと思ったんだ。ニュースの内容は、「中国国防省が軍制服組トップの張又侠氏とNo5の劉振立氏を重大な規律違反で調査」というもの。調査というが、実質的には失脚であり、粛清でもあるんだよね。

中国は汚職撲滅を進めているけど今までもかなりの高官が失脚しているね



政治のライバルを引退させ、次は軍部も静粛し始めたね
中国において最大の権力を有する習近平国家主席。通常は、国家主席は2期10年しか在籍できないのですが、強引に憲法改正を行い、3期目を行う事を可能として国家主席に君臨しています。そして、政治の最大のライバルたちを次々と失脚させていき、静粛して誰も政治に口出しできないようになっています。
そして、今は軍部を完全に掌握する為に、次々と制服組トップを失脚させて追放していっています。2022年に発足した習近平第 3期政権の「中央軍事委員会」メンバー 7人のうち、今回の 2人が失脚した事で合計5人のトップが失脚した事になります。これで「中央軍事委員会」メンバー 7人のうち残っているのは、習近平国家主席と副主席の張昇民氏だけになりました。
「中央軍事委員会メンバーの現状」
| 席次 | 役職 | 氏名 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 主席 | 習近平 | 在任 |
| 2位 | 副主席 | 張又侠 | 失脚(今回) |
| 3位 | 副主席 | 何衛東 | 失脚 |
| 4位 | 委員 | 李尚福 | 失脚 |
| 5位 | 委員 | 劉振立 | 失脚(今回) |
| 6位 | 委員 | 苗華 | 失脚 |
| 7位 | 委員 | 張昇民 | 在任 |
席次3位の何衛東氏が失脚した2025年10月以降から席次7位の張昇民氏(今回生き残った人)が代わりに席次3位の地位に昇格しており、現在7位の委員は空席となっています。唯一残った張昇民氏は、もともと「軍の警察官」である規律検査委のトップでした。いわば、周囲が次々と逮捕される中で、最後まで手錠をかける側にいた人物が副主席にまで上り詰めたといった感じとなっています。
今回の軍部の制服組トップである張又侠氏の失脚は、習近平国家主席以前に国家主席であった江沢民や胡錦濤らの派閥に属する幹部を追放して、習近平国家主席による軍部の完全な個人支配が完成した事になります。これにより、政治・軍事の両方ともを完全に手中に収める事になります。
習近平氏の命令系統が強化され、口出しする(異議を唱える・忠告する)幹部が不在となる事で、習近平氏の命令がダイレクトに下層にまで届きやすくなり、軍隊が習近平氏の私兵と同じ状態となりかねない状態です。残った張昇民氏のように、軍隊の運用ではなく「監視・規律」を専門とする人物を重用することで、軍内部に「反抗=失脚(死)」という恐怖政治をより一層浸透させる効果があります。
これにより、習近平氏の悲願であった台湾統一へのごり押しが強化される事へと繋がりかねない状態です。以前なら「まだ準備不足です」と進言できたプロの将軍がいなくなり、習近平氏の独断で開戦が決定される危険性が高まった事になります。
ただ、では近々台湾侵攻が起こってしまうのかというと、そういう訳でもないです。現在もトップの首をすげ替え続けているという事は、「まだ自分の思うような軍隊(軍部)になっていない」という焦りの裏返しでもあります。なので、自分の思うような軍隊に作り替えている最中なので、すぐに行動に移れるほどの完成度ではないと思われます。
それでも、誰も口出しできない状況を軍部(制服組トップ)にも作り出したことで、ロシアのウクライナ侵攻時のように、習近平氏の事が怖い現場が忖度して中国の現状を実力以上に過大評価して報告を行った結果、判断を誤らせる可能性が大きくなっており、非常に危険な状態になっているという事になります。
経済力も軍事力も世界有数の大国となっている中国。その中国において習近平氏の独裁体制がますます強化されて、軍部もほぼ完全に掌握されたという事は本当に怖い事だなと思います。


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