スペースXの目論見書を読んで(業績や将来の展望など)

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スペースXのIPOに応募する事にしたので、事業内容などをしっかりと確認する為に目論見書(S-1登録申告書:構想見書)を読んでみた。しかしながら、長い・細かい・難しいといった内容で、見ているうちに眠たくなってくる。大切な内容は読みつつ、興味がなかった部分は飛ばし飛ばし読み進めながら、なんとか全部に目を通してみた。

自分で読まなくても、今は生成AIが解説してくれるよね

私はアナログ派なので基本的には自分で確認したいのだよね

皆さんもご存じの通り「スペースX」というと宇宙事業に代表されるように、ロケットを飛ばして、スターリンクという宇宙空間にある衛星からの電波でインターネット環境を提供したりしている企業です。ロケットを飛ばす技術は世界でも群を抜いていて、今まで使い捨てだったロケットエンジンを飛ばした後に自動で戻ってきて回収するというSF映画みたいな技術を確立させた企業です。

ロケット打ち上げなどの宇宙事業において唯一無二の企業として期待されている企業なのですが、スペースXは今年の2月にxAI(イーロンマスク氏が主導するAI企業)を買収した事で、従来のロケット企業から総合的な宇宙インフラ企業を目指す方向性になっています。ここがスペースXの評価が大きく割れる要因となっています。では、具体的に業績などを順番に確認していきましょう。

2026年第1四半期と2025年第1四半期の業績

項目2026年1Q2025年1Q
売上高46億9400万ドル40億6700万ドル
営業利益-19億4300万ドル2700万ドル
純利益-42億7600万ドル-5億2800万ドル

売上は15%ほど増えていますが、営業利益は黒字だったものが大幅な赤字へと転落しています。なぜ、こんなに赤字が増えたのか? それがxAIの買収なのですよね。従来のロケット打ち上げやスターリンク(衛星通信)などの事業だけであれば営業利益は黒字だったものが、xAIが合わさった事でxAIの莫大な赤字を背負う事になったのです。

それでは、各事業ごとの業績を確認してみましょう。

2026年第1四半期:ロケット打ち上げ(宇宙事業)、スターリンク(衛星通信)、xAI(AI事業)

項目ロケット打ち上げスターリンクxAI
売上6億1900万ドル32億5700万ドル8億1800万ドル
営業利益-6億6200万ドル11億8800万ドル-24億6900万ドル

ロケット打ち上げについては営業利益は赤字となっていますが、スターリンクは営業利益が黒字となっていて、もともとのスペースXの事業であったこの2つだけであれば営業利益も黒字だったのですが、xAIを今年の2月に買収した事で、xAIが抱えている莫大な赤字を背負う事になり、大幅な営業損失となっています。

そして、xAIは今後も赤字を拡大していくのではないかと想定されています。こんなお荷物部門をIPOを行う直前になって急に買収したのは何故なんだろうか。ここが投資家達の判断が大きく分かれている要因となっています。

ロケット打ち上げ事業やスターリンク事業は、確かに将来性が有望であり、この2つの部門だけでも充分に強くて独占的な企業です。しかしながら、イーロンマスク氏はそれだけでは足りないと判断してxAIも飲み込むことに決めました。そこには、宇宙での事業全体を総合的に扱う企業として考えているようです。

ロケット打ち上げ技術は他社が真似できる段階ではなく独走状態です。打ち上げたロケットのブースターエンジン(補助ロケット)を無傷で回収できる企業などはありません。そもそも衛星の打ち上げ自体が失敗する企業・国が多い中で、安定した打ち上げ成功が出来ており、かつロケットを回収する事で低コストな打ち上げが出来ている唯一無二の事業です。

そしてスターリンク事業もすでに世界中を網羅するほどの衛星を打ち上げて衛星通信事業を始めており同業他社はいません。唯一ライバルとなりえるアマゾンの衛星通信事業(Amazon Leo)はまだ初期段階で衛星の数も少なく事業自体が始まってません。衛星通信事業は衛星打ち上げのコストも非常に大きく、事業自体を行う他社もほぼおらず巨大なワイドモート(深い堀)となっています。

スターリンク事業は、2026年3月末時点で世界中の国や地域の1030万人と契約を結んでおり、すでに営業黒字を確保できる安定した事業となっていて、確実性のある事業展開が出来ています。

一方で、xAIは赤字続きで更に赤字が拡大していくであろうとされている超お荷物事業となっています。他社のAI企業と同じ様にデータセンターの構築などで莫大な先行投資が必要となっており、巨額の赤字を垂れ流している状態です。

ただ、打ち上げ事業もスターリンク事業も将来性が有望とはいえ、事業の広がり(業界の潜在的な幅)には限度があります。一方で、AI事業については裾野自体が広く、圧倒的な規模の広さがあり、収益化が実現していけば大きく黒字が乗っていく可能性がある事業となっています。

そして、何よりも宇宙事業とAI事業が合わさった企業などは存在しておらず、AIを含めた宇宙インフラを独占する(または圧倒的に先行する)可能性を秘めているという事になります。

xAIについて、イーロンマスク氏が期待している事の一つにデータセンターの宇宙空間への移設があります。AIにはデータセンターが必須であり、ゆえに現在各社が猛烈なスピードでデータセンターを構築しているのですが、データセンターは莫大な電力を消費します。そのため、電力が足りなくなってきているのが現状であり、小型モジュール炉(小型原子力発電)などを急ピッチで作る必要があります。

ところが、宇宙空間(地球の軌道上)にデータセンターを構築して、太陽光パネルを設置して太陽エネルギーで電力を賄えば無限に電力を供給する事が出来ます。安価な打ち上げ技術を持ち、データセンターを構築でき、AIを稼働する事が出来る。これを一体化して運営する事ができるのは xAIを飲み込んだスペースXだけであり、他社がこぞってxAIを利用するようになっていけば、ここも独占的になっていく可能性を秘めています。

スペースXは、ロケット打ち上げやスターリンク事業が主力ではなく(今および暫くは主力だが)、将来的にはxAIが主導するAI事業の方が主力事業となると考えているようであり、目論見書の中でも潜在的な業界の市場規模を提示しており、そこにおいてもロケット事業やスターリンク事業の事業規模よりもAIにおける事業規模の方が大きいと示唆しています。

スペースXが想定しているTAM(Total Addressable Market:潜在的な市場規模)

スペースXは、人類史上において最大規模の経済的フロンティアである宇宙事業をほぼ独占(または寡占)して、更にAI事業においても一定の規模を誇り、宇宙のAIを合わせた複合インフラ企業として君臨する事を目指しています。

ただし、注意しておかないと行けない所は、これらの想定はあくまでもスペースXが掲げている数字であり、信ぴょう性が高いとは言いづらい面があるという事です。その点は注意してみておかないといけないと思います。

あと、xAIが運営しているXというアプリ(旧ツイッター)については、将来的には中国のテンセントやアリババが運営しているスーパーアプリ(万能アプリ)を目指しており、現状のコミュニケーションアプリに加えて、決済機能、銀行機能、商取引機能などを加えて、総合情報決済インフラアプリとして構築していく事で、収益性の向上を図っていくようです。これについては上手く行けばラッキーぐらいに考えておけばいいのかなと思います。

スペースXの現状の売上はあまり大きな規模には育っておらず、営業利益に関しては赤字になっています。にもかかわらず、史上最大の上場案件となっており、上場後の時価総額は世界の時価総額ランキングトップ10に入るぐらいの世界最大規模の企業にいきなりなってしまいます。

そのぐらいの規模に相応しい価値があるのかという点を説明する為に、宇宙事業だけでは物足りず、現状は赤字でも将来的に大きな収益源と成り得るAI事業を持っているという事を説明したかったというのが、スペースXが想定している「TAM(Total Addressable Market:潜在的な市場規模)」という部分で示していたのだと思います。

さて、スペースXにとって良い方にも悪い方にも転ぶ可能性がある点が1つあり、これも株価に大きな影響を与える可能性があるのが、イーロンマスク氏の支配率の高さです。

スペースXの株式には、A株とB株という2種類の株式が存在します。私達が投資できる株式はA株です。そして、B株は非常に議決権が強い株式となっており、B株がある事で支配権が強くなっていきます。

スペースXA株B株
発行済株式数6,824,641,355株5,695,688,265株

クラスA株は、A株1株につき議決権が1票与えられます。一方で、クラスB株については、B株1株につき議決権が10票与えられることになります。

また、クラスB株保有者は、種類株式としてスペースX社の取締役会を構成する総定数の51%を選任する権限を持ち、更にクラスB株が1株でも発行されていれば、そのB株は取締役を解任する権限を持ちます。その結果、クラスB株保有者はスペースXの経営において重要な影響力を持つことになります。

では、実際にイーロンマスク氏がどのぐらいの株式を保有していて、どのくらいの議決権を持っているのか確認してみましょう。

スペースXA株保有数B株保有数議決権割合
イーロン・マスク84,949,440株(12%)5,569,053,075株(93%)85.1%

A株の12.3%を保有しており、更に議決権の強いB株については93.6%も保有しており、A株とB株を合わせた議決権の割合は85.1%となっていて、ほぼ全ての権限を有している事になります。

時価総額で世界トップクラスになるほどの巨大企業にも関わらず、経営判断から買収案件承認、大規模投資などあらゆることはイーロン・マスク氏の一存で決める事が可能となっており、それがスペースXの今後の運命を大きく左右する事となり、良くも悪くもイーロン・マスク氏次第という事になってしまいます。

また、目論見書には、CEO(マスク氏)を解任するには、CEO自身の同意(投票)が必要であるとなっていた為、事実上マスク氏を解任する事は不可能であり、マスク氏が完全にスペースXをコントロールしていく王様状態の企業だという事になります。

ゆえに、噂されているテスラを合併させる(吸収させる)という事は確かに可能であり、イーロン・マスク氏が実行した方がいいと判断したら即座に行動に移すと思います。ただし、スペースX側はマスク氏が完全に抑えているので実行されやすい(テスラとの合併を承認しやすい)のですが、テスラ側は他の大株主もいる為、マスク氏の意思だけでは合併の承認を得る事は難しく、その辺りの調整は必要となっていきます。

さて、今回の上場にあたって、スペースXの目論見書を読んでみましたが、はっきりいって前代未聞の企業だと言う事なのだと思います。

これ、通常の企業ではないです。これほどの巨大企業にも関わらず、株主の意見などは通用せず、イーロン・マスク氏が全権を握っており、好き放題の操る事が出来ます。

なので、夢物語に向って強烈に突き進んでいる状態なのですが、これに乗る事が出来るかどうか(マスク氏の夢に加担できるかどうか)が大切であって、時価総額が大きすぎるとか、利益が取れていないとか、採算が見込めていないなどで計って投資するような案件ではないです。

テスラを強烈に導いたように、スペースXも周囲の雑音など気にせずに突き進んで行って、唯一無二の宇宙インフラ企業を作り上げる事を託すことが出来るかどうかという思いがあるかどうかで投資するかしないかを決めるべきです。イーロン・マスク氏と心中する勢いで資金を突っ込む必要があります。

なので、伸るか反るかの丁半博打(偶数か奇数かを掛けるギャンブル)なんだと思います。投資ではないです。夢物語に資金を突っ込むギャンブルのようなものです。

なので、基本的にはお勧めしません

ただし、私は投資をします。投資というよりもギャンブルだと思ってます。私は、こういった夢物語の乗るが結構好きなタイプです。なので、イーロン・マスク氏に賭けてみようと思います。

個人的な想定では、上場直後は上昇すると思います。公募価格で購入すれば、初日は高確率で上昇していると思います。未知なる宇宙開発企業、新しいフロンティア企業といったフレーズは多くの人の興味を引き、かつてのアマゾンやグーグルのように初期から投資をしていれば大きく成長するかもという淡い期待を抱いた(邪な期待を抱いた)投資家が殺到すると感じます。なので、私はIPOには参加しています。

ただ、それが長続きするかどうかは未知数だと思います。数か月(早ければ数週間)もすれば、公募価格を下回る水準にまで急落するかもしれないし、踏ん張って公募価格以上の株価で粘っている可能性も一定割合あるとは思います。

確かにいえる事は、業績で測るような企業ではないという事です。完全に期待値のみで上昇していく企業であり、どのぐらい期待値が持続するかだけで数年は動いていく企業であり、株価の想定なんて不可能だと思います。

なので、何度もいいますが基本的にはお勧めしません。でも、私は投資しますけどね(笑)

   

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