年金の資金は政府のお小遣いではない

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先日、片山さつき財務兼金融担当相は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を含む‌年金基金による国内金融資産への投資拡大を促す施策の検討を進める考えを表明していました。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめとする年金基金に、日本の金融‌資産⁠にさらなる投資をしていただく後押しをする方策を追求したい」と語っていました。

年金の資金は、ちゃんと管理・運用して欲しいよね

政府の都合ではなく、資産運用の観点から考えて欲しいよね

そもそも、年金の資金を株式などで運用するようになったのは、少子高齢化に伴って年金の資金が不足していく事を少しでも解消しようという事で始められたものです。少子化によって年金を支払う若者が減っていくのに対して、高齢化によって年金を受け取る人々は増えている。年金の財源はジリ貧状態です。

そのため、年金資金を運用して増やしていく事になりました。その際に、「専ら被保険者の利益のために」という理念の下で、年金資金の運用比率は、国内株式(25%)、国内債券(25%)、海外株式(25%)、海外債券(25%)という感じで、それぞれ均等になる様に運用する事になりました。

国内株式や国内債券だけだと、バブル崩壊の失われた30年のように日本経済、日本金融が低迷すると、長期的にリターンが損なわれる可能性があります。そのため、海外株式や海外債券なども含めて、総合的に運用する事でバランスよく、長期的に右肩上がりのリターンを取れるように制度設計しています。

例えば、金融の専門家などが、海外株式・海外債券の比率を減らして、国内株式・国内債券で運用する方がリターンが高くなると判断して比率を増やすのであれば、まだ合理性があると思うのですが、政府の都合で国内株式・国内債券を増やすという判断をするのは非常に危険な事です。

かつて、日本は財政投融資という形で、郵便貯金の資金を公共事業や特殊法人などにつぎ込みました。民間資金ではなく、国家機関の資金(当時の郵便局は国営企業であり、国家機関だったため、郵便局の資金を融資という形で国家が使っていた)であるため、審査も甘く、多くの資金が焦げ付いたり不良債権化してしまいました。

今回の年金資金の国内金融資産への振り分け比率の増強も、財政投融資と同じような危険性を孕んでいます。年金資金の運用の「専ら被保険者の利益のために」という理念を捨てて、国家の都合のいいような運用(国内株式市場や債券市場を活性化させるために使うなど)をするのであれば、最終的なツケを再び国民が支払う羽目になります。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、独立した機関とはいえ、厚生労働大臣(財務大臣ではない)がGPIFの運用計画を認可する権限を有しています。また経営委員会の委員を任命する権限も厚生労働大臣が持っています。財務大臣の国内金融資金の比率を増やしたいという意向が政府内でそのまま採用されれば、厚生労働大臣の権限の元で動いているGPIFが実質的に逆らう事は難しく、政府の言いなり通りに運用するしかない状態になります。

政府が、年金資金の運用を「専ら被保険者の利益のために」という理念を捨てて、政府の都合を優先して、「日本国債を買って長期金利を下げる」、「円安を止めるために外国資産を売る」、「日本株を買って株価を支える」、「地方創生ファンドへ資金を振り分ける」などの国債価格や円相場を支える事を目的として年金資金の運用比率を定め出せば、効率的な運用は形骸化してしまいます。

年金資金の運用比率を政府の意向によって日本国債や日本株に向ければ、国債金利を押し下げ、株価を押し上げ、海外資産の売却を通じて円高方向に作用する可能性があります。しかし、これでは年金運用というより、事実上の市場対策に近くなります。

政府が「国家戦略上重要だから」として投資を求めれば、GPIFは採算性の低い案件でも断りにくくなります。近年、年金資金の運用比率においてオルタナティブ投資(未公開株、インフラ、不動産、ヘッジファンドなどの、上場株式や債券以外の資産に投資する手法)の運用比率が5%まで高められていますが、こういった案件も、資金運用上のリターンを考慮して購入されるのではなく、政府の意向が入ってしまうと採算性が低い運用先(運用効率が悪いが社会的に意義があるファンドなど)に回されてしまう危険性が出てしまいます。

年金の資金は政府のお小遣いではないのです。政府の都合で運用比率を考えるのではなく、資産運用の観点から運用比率を定めて貰わないと、かつての郵便貯金による財政投融資と同じ様に、非効率な運用となってしまう危険性があり、結果として私達が損を被る事になりかねないと思います。

    

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • おはようございます、よしぞうさん

    おっしゃる通リですね~
    皇室典範改正もそうですが高市内閣の国会私物化は
    目を覆うものがあります。維新も大嫌いです。

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