中国株の損出しをしてみた

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5年に1回行われる中国共産党大会。中国における政治的序列を決める重要な会議において、現在の序列1位で総書記(国家主席兼任)の習近平氏がその地位に留まる事が確定したと同時に指導部を子飼いの部下達で固めたことで権力が更に強固された事によって、経済運営よりも人民の人気取りや党の理想を追い求める事を目指しそうな雰囲気が強まったことから中国共産党大会後の中国株は大きく下落していました。

機関投資家も資金を引き揚げる動きが加速していたようであり、中国経済の先行きと中国株の先行きは悲観的な状況になっていましたね。

ただし、昨日の中国株の相場は非常に大きく反発しており、このまま上昇が続いてくれたらいいですよね。

さて、私が購入したテンセントも最近の株価の不調によって買値よりも下がってしまっているので、少し前になりますが先月の25日に損出しをしてみました。

目次

テンセントの損出し

テンセントは、以前に300株を299.2香港ドル(約153万円)で購入していました。

そして、損出しをする事にしたので、300株を206.2香港ドル(約116万円)で売却して、次の日に同じ300株を204香港ドル(約116万円)で買い戻してみました。

https://twitter.com/yosizoudesu/status/1584813304895062017
https://twitter.com/yosizoudesu/status/1585090591565950976
テンセント日付株数株価金額
購入08月11日300株299.2HKドル約153万円
売却10月25日300株206.2HKドル約116万円
買い戻し10月26日300株204.0HKドル約116万円

損失が約37万円ほど出ており、これをすでに利益確定してる分から差し引きして支払い済みの税金をとり戻す事ができるので、差し引きで税金支払い分の7万6千円ほどが戻ってくることになります。

「損出し」という形をとったので、最初に購入した金額よりも更に安い金額で再購入する事になり、損失分を利益と相殺する事で支払い済みの税金をとり戻す事ができる形になります。

損出しは税金の先送り

昔にブログに書いた事があると思うのですが、私は基本的には「損出し」はあまり好きではないです。

「損出し」の仕組み自体は、皆さんご存知の方が多いと思うので簡単に説明すると、同一年度内に利益確定をしている分があれば、損失が出た際に一旦損失確定して、利益確定と損失確定を相殺させて、すでに支払い済みの税金(源泉徴収済)をとり戻す方法です。そして、同じ株数を再購入するので最初に買った株価よりも安く買い戻す事ができます。

「損出し」って、支払うはずだった税金をとり戻せて、更に最初に買った株価よりも安い株価で買い戻せるから購入単価を下げる事ができて非常に得をしたと思う人が多いみたいなのですが、実際には得をしているわけではなく、税金の支払いを先送りしているだけです。今払うはずだった税金を後で払う形にするだけです。

まあ確かに、税金の支払いを遅らせる分だけ資金を有効活用できるといえばそうなんですが、それなりに大きな資金を損だししない限りは(そのためには事前に大きな利益確定も必要ですが)効果も薄いと思っています。

少し具体的に例をあげて説明してみようと思います。

  • 「Aという株で、70万円分の利益確定をすでにしている。70万円の利益には20%の税金が掛かるので、利益確定時に14万円を源泉徴収されている」
  • 「Bという株を100万円で購入している。これが50万円にまで下がってしまった。その後、100万円にまで戻った際に売却する事にした」

この前提のもとでB株を、「損出ししない場合」「損出しした場合」を確認してみましょう。

(損出しをしない場合)

100万円で購入したB株が、50万円にまで下がってしまった。それでも売らずにそのままホールドしていたら100万円に戻ってきた。そこで、100万円で売却する事にした。

100万円(購入価格)-100万円(売却価格)=0円(利益も損失もない)

A株とB株の売買での利益は、70万円+0円=70万円

A株で支払った税金は14万円、B株で支払った税金は0円。合計で税金は14万円の支払い。

(損出しした場合)

100万円で購入したB株が、50万円にまで下がってしまった。そこで「損出し」をしてみた。損失確定となるので、50万円の損失が出る。すでに利益確定済の70万円と損失確定の50万円を相殺すると、今年度の利益は差し引き20万円になる。
70万円(利益)-50万円(損失)=20万円(利益)

この20万円に税金が20%掛かるので、支払う税金は4万円になる。

すでに、A株の売却時に14万円の税金を支払い済みだが、B株を損出しして利益と相殺したので実際に支払う税金は4万円でよいので、差し引き(14万円-4万円)して、10万円分が支払い過ぎの税金として戻ってくる。

さて、これで翌日にB株を買い戻すとすると(同じ株価で購入できたと仮定する)、再び50万円で購入する事になる。

B株は、その後100万円に上昇する。そして、売却する。
100万円(売却金額)-50万円(購入金額)=50万円(利益)
50万円(利益)×20%=10万円(税金)

結局、A株の売却時に14万円の税金を支払っていたが、B株を「損出し」する事によって、支払う税金は4万円で済むのだけれども、最終的には買い戻したB株に利益が出れば再び税金を支払う必要がある。B株の売却時に税金を10万円を支払うので、4万円+10万円=14万円で結局は合計で税金は14万円を支払う事になるわけです。

損出しは勘違いをさせてしまう

私が「損出し」があまり好きではないのは、勘違いをしてしまうからです。

損出しをすると、税金がいったんは戻ってくるし、買値も安くなるので、ちょっと得した気分になりがちです。株価も下がって損をしたはずなのに安く買い戻せるので、何か裏技を使ったような感覚で少し得した気分になってしまいます。

でも、実際には「損出し」は「損切り」をしたという事です。これを忘れてはいけないと思うのです。

そもそも上手く取引をしていれば損出しなどする必要は全くないのです。損出しをするという事は、その取引は失敗したという事です。たまたま、事前に利益確定した分があったから損出しという手法が使えるだけで、下手くそだから損切りしたという事実は変わらないです。

「損切り」をしたと思わないといけないところを、「損出し」をする事で「少し得したかも」と勘違いしてしまう事は、後々のトレードによくない影響を与えると思っています。

確かに税金の支払いを先送りにする事は資金効率的には良い事であると思います。それが少額だったとしても、何もしないよりは先送りにしている方がいいのかもしれません。

それでも、税金を先送りにして得したと思うよりも、買うタイミングが悪くて損切をしたと強く心に刻むことの方が大切だと思っています。

損出しをすると、安く買い戻すので証券会社の保有株の状況もプラス表示になって綺麗に見えます。本来であれば、マイナス表示になっているはずなのにプラス表示なってしまっていて、「自分は上手く取引できている」と思えてしまいます。個人的には、こういった感覚は持ちたくないと思う方なんですよね。

失敗は失敗として、しっかりと認識しないといけないと思うのです。

損出しは、それが曖昧になり、少し得したかもと思えてしまう点が私的には少し嫌だなと感じる部分なのです。

じゃぁ、なんで損出ししたの?

た、確かに説得力ないですね(^_^;)

まとめ

損出しは、税金を先送りする効果があり、ポートフォリオの見た目も綺麗になるので心理的にも気持ちよくなることが出来ます。事前に確定済み利益があり、損出しが出来る環境にあるのであれば損だしをしてみても良いと思います。

ただ、それでも「少し得をした」という気持ちは持たない方がいいと思っています。

投資は失敗の積み重ねだと思います。そして、その失敗を振り返りながら自分の投資を磨いてくことが大切なのだと思います。失敗を帳消しにするのではなく、失敗は失敗と認めて、受け入れて反省する事が大切です。うやむやにするべきではないと思います。

「損出し」をしたと思うよりも、「損切り」をしてやり直したと思う方がいいと思っています。

「買うタイミングが悪かったんだ」としっかりと認識して、次につなげるようにしていかないといけないと思っています。

  

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