アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどのハイパースケーラーが半導体を自社生産し始めており、自社製の半導体を他の企業へと外販していく動きが始まっています。そうなると、影響を被りそうなのが半導体の王者であるエヌビディアですよね。GPU市場をほぼほぼ独占しており、高い利益率を保持していた絶対王者の足元を揺るがすことになるかもしれませんよね。

今までは半導体(GPU)といえば、エヌビディア一択だったよね



ここにハイパースケーラーが割り込んでくると戦国時代になるかもね
エヌビディアの売上のうち、ハイパースケーラーが占めている割合は半分ぐらいあります。かなりの大口顧客という事になるのですが、そのお得意先が徐々に自社製の半導体に切り替えていっているという事になると、エヌビディアの売上も落ちてくることになります。
今までエヌビディアが強かったのは、GPU市場においてエヌビディア以外の選択肢がほぼなく、それゆえにGPUの価格設定も強気にすることが出来たために、エヌビディアの粗利益率は約 75%もの非常に高い数値を保つことが出来ていました。
これが、他の選択肢が出来てくるとエヌビディア1強体制が崩れていき、高い粗利益率が下がってくるかもしれません。粗利益率が下がっていくという事は当然ながら利益も減っていくという事になるので、エヌビディアにとっては厳しい状況に向っていく事になります。
ただ、AI需要が想定通りに大きく伸びていくのであれば、エヌビディアの粗利益率の低下を十分にカバーすることが出来ます。利益が下がっても、それを上回る(カバーできる)ほどの売上を上げていけば、今後も利益を伸ばしていく事は十分に可能となります。
「エヌビディアの市場シェアが下がり、粗利益率も下がった場合のシミュレーション」
| エヌビディア | 現在 | 5年後 |
|---|---|---|
| AI半導体市場全体の売上 | 4,000億ドル | 1兆ドル(10,000億ドル) |
| エヌビディアのシェア | 80% | 50% |
| エヌビディアの売上 | 3,200億ドル | 5,000億ドル |
| エヌビディアの粗利益率 | 75% | 65% |
| エヌビディアの粗利益 | 2,400億ドル | 3,250億ドル |
エヌビディアの市場シェアも落ちていき、粗利益率も下がっていったとしても、AI半導体の市場規模が拡大を続けていくのであれば、エヌビディアの粗利益は一応は増えていく前提となっています。
ただ、従来のような非常に高い成長性は保てなくなっていそうですね。それを見越しているからなのか、エヌビディアの予想PERは低い状態(来年度の予想PERは 14倍)となっているので、株式市場では半導体市場でのシェアを落として、粗利益率も下がっていく前提でエヌビディアの株価を付けている感じですね。
では、エヌビディアはハイパースケーラーたちが自社製の半導体を生産・販売していく事を敵視しているのかというと、そういうわけではなく棲み分けが出来るように進めていく方針のようです。ハイパースケーラーが自社製に舵を切っているといっても、依然として大口顧客には変わりないので、共存できる道を確保しようとしています。
エヌビディアはGPUの企業から、AIインフラ企業へと転換するために、色々と手を打っています。その1つが、マーベル(MRVL)への出資です。これにより、エヌビディアはマーベルにCPU、ネットワーク、NVLinkなどの基盤技術を提供していく事になります。
一方で、マーベルはハイパースケーラー向けのカスタム半導体を生産している企業なので、ハイパースケーラーが自社製半導体を進めれば進めるほど、マーベルへの製造依頼が急増します。そして、そのマーベルにエヌビディアが技術提供を行い、エヌビディアの技術の一部を使う事で、マーベルがハイパースケーラーから受け取る売り上げの一部を吸収することが出来ます。
また、エヌビディアは次世代AIコンピューティング基盤(Vera Rubin)において、GPUだけでなくCPU、通信、ネットワークまで統合して、GPUの絶対性能だけでなく、基盤全体を構築して、性能だけでなく「推論コスト」で勝負する方向性を打ち出しています。
高性能なGPUだけでなく、それを含めた周辺機器を統合して、効率化を図り、推論コストを大幅に下げる事で、競争力を高め、ハイパースケーラーが自社製半導体を安く外販したとしても、エヌビディアがそれ以上の速度で AIによる推論コストを引き下げれば、競争優位を維持できる可能性があります。
これら以外にも、いくつかの施策を通して、GPUを販売するだけの企業ではなく、AIインフラ企業として君臨していけるようにコツコツと進めていっているようです。
ハイパースケーラーが自社製半導体に力を入れる事によって、エヌビディアへの影響は確かに大きいのですが、エヌビディア側も指を咥えて黙っているわけではなく、ハイパースケーラーの影響力が強くなっていっても対抗できるように進めていっているようですね。


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