エヌビディア復活への足掛かり

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グーグルが開発したTPU(AI専用のプロセッサー)を使用したグーグルが提供している生成AIのGemini(ジェミニ)が、オープンAIの生成AIであるチャットGPTと変わらない性能(ケースによっては上回る性能)を示したことで、高性能なエヌビディア製のGPUを使わなくても、最先端のAI開発が出来るのではないかという懸念が高まり、最近のエヌビディアの株価の調子は悪くなっていました。

エヌビディア製品の売り上げが下がってしまうかもしれないね

多少の影響はあるだろうけど、そもそもの需要はまだ大きいと思うよ

エヌビディアにとってはバットニュースが先行していた最近の株式市場ですが、久しぶりにエヌビディアにとってグッドニュースが出ていましたね。それが、トランプ大統領によるエヌビディアの「H200」という製品の中国への販売許可です。

米国は、AI開発に必需品となっているエヌビディア製品を中国に輸出する事に対して規制を掛けていました。「H200」という現在のAI開発の主流となっている高性能なGPUは中国に輸出する事が出来なくなっており、エヌビディアは性能を少し落とした「H20」という製品を中国向けに開発して輸出しています。

今回、トランプ大統領は規制が掛かっていた「H200」の輸出を全面的に認める判断をしており、これにより「H200」を中国に販売する事が可能となります。現在の中国では、米中貿易戦争やAI覇権争いの駆け引きによってエヌビディア製のGPUの購入を控えるように通達を出していますが、AI開発の主流となっている「H200」を使えるようであれば、中国にとってもメリットが大きい事から、中国側も現在の通達を緩めてエヌビディア製の導入を認める可能性が高くなっています。

エヌビディアの売上における中国への割合は規制の影響もあって年々減少していますが、規制などなく普通の需要通りに提供する状態であれば約 20%程度は中国に対する売上割合がある状態でした。

「エヌビディアの売上全体に対する中国への売上の割合」

エヌビディア2023年1月期2024年1月期2025年1月期
中国売上割合21.4%16.9%13.1%

「H200」の中国への販売が解禁となると、約 80億ドル(1.2兆円)~150億ドル(2.3兆円)の売り上げが追加で上がってくると想定されています。中間値を取ったとしても 115億ドル(1.7兆円)ほどの売上が追加される事になると考えられます。

ただ、トランプ大統領は中国への「H200」の販売許可の条件として、中国向け売上の25%を米国政府に納める事を条件にしています。想定される中国向け「H200」の売上が 115億ドルだったとしたら、25%の28億ドルを米国政府に支払い、残りの 87億ドルがエヌビディアの手取りとなります。

最新のエヌビディアの決算の売上高が 570億ドルだったので、そこに87億ドルもの売り上げが加算されるとなると、エヌビディアにとっては非常に有難い事になります。ざっくりとした計算でも、売上の10%程度が嵩上げされる状態になるので、エヌビディアにとっては今回のトランプ大統領の決断はロビー活動の賜物だったと思います。

ただ、中国政府はトランプ氏による「H200」の輸出許可が発表されても、「H200」について中国当局は利用許可を制限する方策を議論している状態のままのようです。H200の購入を希望する業者は国内メーカーの半導体が利用できない理由を説明し、承認手続きを経なければならなくなる公算が大きく、このまま方針が通れば実質的に「H200」の利用許可は下りない事になります。

それでも、AI開発競争で出遅れたくない中国IT大手(テンセント、アリババ、バイトダンスなど)にとっては喉から手が出るほど欲しいと思っている製品です。中国国内の半導体企業でエヌビディアと同等(もしくは近い)の性能を持つGPUを作れる企業はなく、中国製品だけを使い続けていけば米国との差は開く一方となり、完全に出遅れてしまいます。

中国側も面子などがあるから今までの方針を急転換してエヌビディア製品の利用をすぐには許可しないかもしれませんが、いずれはエヌビディア製品の利用を許可しないと中国企業の発展スピードが落ちてしまいます。なので、遅かれ早かれエヌビディア製品の利用は再開されていくと思います。

最近は、エヌビディアにとって向かい風の状況ばかりが続いていましたが、少し追い風になってきたのかもしれませんね。

   

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