今年の米国株市場の話題の中心の1つは、「利下げの時期と回数」ですよね。「いつから利下げが始まるのか?」そして、「年内に何回の利下げが行われるのか?」、それが株価にも大きな影響を与える為、利下げの時期と回数は非常に重要になっていきます。
市場では年内6回の1.5%の利下げを想定していたね
FRBの方は、年内3回の0.75%の利下げを想定しているみたいだね
市場では、今年は何度も利下げを繰り返すという想定となっていますが、FRBはより慎重な姿勢を続けており、利下げをしたとしてもインフレを警戒しつつ、FRBは年内3回の利下げを行う程度と市場想定の半分ぐらいの想定となっています。
市場の要求に押される形で利下げが繰り返されるのか? それとも、FRBは慎重姿勢を貫き続けるのか? どちらになるのかによって株価の動きも大きく変わっていくと思います。
私は、利下げは6月から行われて、年内に4回~5回の利下げが実施されると思っています。では、今回は利下げの時期と回数についてのお話です。
さて、そんな感じで多くの投資家が注目している利下げの時期ですが、基本的には失業率がコア消費者物価指数(コアCPI)を上回らないと利下げを行わない感じとなっています。
現在の失業率は、3.7%です。そして現在のコア消費者物価指数(コアCPI)は、3.9%です。まだ失業率の方が低いです。インフレの指標とされているコア消費者物価指数が低下していき、失業率の方が上回らなければ利下げを実施しずらい状況となります。
過去、90年間で利下げを行った際に、失業率がコア消費者物価指数を下回った状態で利下げをしたのは、たった5回しかなく、1942年、1969年、1974年、1980年、1981年だけとなります。
インフレの再燃を気にするFRBにとっては、失業率がコア消費者物価指数を下回っている異例となる状態での利下げは行わないでしょう。では、最近の失業率とコア消費者物価指数(コアCPI)の状態を確認してみましょう。
最近の失業率とコア消費者物価指数(コアCPI)
年月日 | 失業率 | コアCPI |
---|---|---|
06月 | 3.6% | 4.8% |
07月 | 3.5% | 4.7% |
08月 | 3.8% | 4.3% |
09月 | 3.8% | 4.1% |
10月 | 3.9% | 4.0% |
11月 | 3.7% | 4.0% |
12月 | 3.7% | 3.9% |
失業率に関しては、景気が悪くなっていけば上昇してくのですが、今のところは意外と労働需要は力強く、失業率が少し上昇しても、また低下したりとしながら経過しており、現状は3.7%程度ですが、ここから下がっていくというよりは現状ぐらいに留まるか、少し上昇していく感じだと思います。
一方で、コア消費者物価指数(コアCPI)に関しては徐々に低下してきています。政策金利を5.5%という高い水準に維持しており、高金利の影響を受けてインフレは徐々に落ち着いてきており、時間が経過する度に順調にコア消費者物価指数は低下しています。
このままコア消費者物価指数が順調に低下していけば、3月のFOMCの頃には、失業率とコア消費者物価指数の関係は逆転しており、失業率の方がコア消費者物価指数よりも高くなっていると思います。
失業率とコア消費者物価指数の数値が逆転しても、FRBは暫くは慎重な姿勢を崩したくはないと思います。なので、3月のFOMCでの利下げはないと思います。
5月には、市場からの利下げの圧力が高まっていきそうですが、過去にFRBは利下げの判断を早まった為に再びインフレ退治に苦慮した経験がある事から、まだ慎重な姿勢を続けそうです。なので、5月には利下げをする時期として問題はなくても、利下げを先送りにしてもう少し様子をみたいと考えるのではないかと思います。なので、5月のFOMCでも利下げを行わないのではないかと思います。
そして、6月になれば、失業率やコア消費者物価指数も逆転状態(失業率の方が高くなっている)になっており、コア消費者物価指数も順調に下がっており、他の経済指標なども順調に推移しているようであれば、6月には満を持して利下げに踏み切るのではないかなと思います。
なので、個人的には6月頃から利下げが始まると想定しています。そこから、毎回利下げを行っていくと想定すると、年内の利下げ回数は、4回~5回程度となり、市場の想定とFRBの想定の中間ぐらいで落ち着くのではないかなと思います。
コメント