従来の市場の想定では、政策金利の打ち止めが濃厚であり、来年の早い時期には景気の動向によって利下げもあり得るという想定が主流だったのですが、根強いインフレや強い雇用状況、底堅い景気によって、更なる追加の利上げも視野にいれるような状況となってきました。
年内に利上げはないという人が多かったのにね
相場なんて、誰も読めないものだからね
更なる利上げが行われる可能性が高まってきたのと同時に、来年の利下げもスムーズに行う事が難しくなりつつあり、金利が高い水準で維持される可能性が強まってきました。
投資家や市場が想定したように相場が動いてくれるとありがたいのですが、なかなか想定通りにはいかないものですよね。
さて、今回は金利が高い水準の時に話題に上がる事が多い債券への投資についてです。
債券への投資が大きな話題となっていた4月頃
金利が上昇していた今年の4月頃は、債券への投資が非常に話題になっていました。
金利の上昇がそろそろ終わるから債券投資が魅力的だね
債券への投資で大きなリターンが狙えるビックチャンスだ
こんな話題が多く上がってきており、急に債券への投資を始める人々が増えていきました。債券への投資自体は問題ないと思うのですが、債券への投資をほとんどした事がないのに「今は債券への投資がビックチャンスだ」と強気な発言をする人も多かったです。
基本的に、債券は市場金利(政策金利)が上昇すると価格が下落して、市場金利が下落すると債券の価格は上昇する事になります。
なので、金利が上昇して債券価格が下落しているうちに買っておいて、利下げが始まると債券価格が上昇するから儲かるという事なのです。もちろん、それ自体は間違っていないし、何も問題ないと思います。
ただ、そんなにタイミングよく投資が出来る物ではないし、そもそも普段から債券投資をしておらず、値動きも最近になってから見始めた投資家が簡単にベストなタイミングを掴めるほど甘くはないと思います。
債券への投資を話題になっていた4月にしていたら?
債券への投資が非常に話題になっていた今年の4月。では、その4月頃に債券への投資をしていたら、どういったパフォーマンスになっていたのか?それを少し確認してみようと思います。
債券への投資には、現物の債券を購入する方法と米国債などを運用している「米国債券ETF」を購入する方法とがあるのですが、現物の債券より、米国債ETFを購入する人の方が多いみたいなので、米国債ETFの値動きを確認していこうと思います。
代表的な米国債ETFである「iシェアーズ米国国債20年超ETF(ティッカー:TLT)」を見てみましょう。
話題になっていた4月頃に債券(債券ETF:TLT)に投資をしていたら、結構手痛いダメージを食らってしまう事になっているんですよね。
皆が、「そろそろ債券投資の時期だ」と言っているからといって、それに乗っかっても上手くいくとは限らないです。投資って、なかなか思うようにはいかないものですよね。
債券投資で更に高いリターンを求める
この頃(今年の4月頃)に債券投資が話題になっていた時に、特に注目を浴びていたのがDirexionデイリー20年超米国債3倍ETF(ティッカー:TMF)です。
債券投資にレバレッジを掛けた商品で、値動きが比較的マイルドな債券投資にレバレッジを掛けて大きく狙っていこうという戦略となります。TMFの場合だと、3倍のレバレッジを掛けた動きになっているので、普通の債券ETFに比べると値動きが大きくなります。
この「Direxionデイリー20年超米国債3倍ETF(ティッカー:TMF)」に投資をしていたらどうなっていたのか?
ほぼ半値になっていますよね。暴落しているといってもいい位の値動きだと思います。
債券で大きく儲けようと思って、3倍型レバレッジ商品に投資をしてみたら非常に大きなダメージを被る事になってしまいます。
世の中、やはりそんなに甘い話はないですね。
そもそも債券への投資って儲かるのか?
そもそも債券への投資って、儲かるのだろうか?
何だか「簡単に儲かる事が出来て、今なら高いリターンを取れる」というイメージがあるみたいなのですが、実際はどうなのだろうか?
金利が高くて債券価格が下落していたリーマンショック前の2006年から債券価格が一番高くなっている2020年までの「iシェアーズ米国国債20年超ETF(ティッカー:TLT)」の長期チャートをみてみましょう。
リーマンショック前の高金利だった2006年で一番債券価格が低かった時に債券に投資をして、リーマンショック後の低金利で債券価格が急上昇している時を比較しても、2年間ぐらいで46%程度(1.5倍程度)ぐらいの上昇となります。
まあ、配当金が若干あるのでトータルリターンはもう少しマシになりますが、大きく儲かるというよりは株式市場が下落している中でも上昇しているのでポートフォリオを安定してくれる存在という感じです。
一番低い時期(2006年)と一番高い時期(2020年)をみても、14年かけて約2倍(104%上昇)ぐらいなので、やはり大きく上昇するというよりは、配当金もあって安定しているといった感じですね。
まとめ
話題になった時に投資をしても、その投資が上手くいくとは限りません。タイミングが早かったり・タイミングが遅かったりと色々と上手くいかない事が多かったりします。
ただ、債券への投資自体は金利が高い時に行っておけば、金利が低下した時には恩恵を受ける事が出来るので、今の状況で投資すること自体はイイことだと思います。
TLTの長期チャートなどをみていると、「これだけ下がっているのだから、今がチャンスだ」と感じると思います。
ただ、債券への投資については「大きく儲けよう」と思うよりも、「ポートフォリオの安定化を考えよう」と思いながら株式市場が下落した時の安定剤として投資をしていった方がいいと感じます。
今後、もう少し政策金利が上がる事があるようであれば、債券の価格は更に下がる事になるので今のタイミングで投資をすると更に下がっていく事があるかもしれません。
また、政策金利が高止まりする状況が続いていく事でも債券価格の下落を誘発する要因になるかもしれません。
どうしても「儲けよう」という気持ちが強いと、自分が投資をした価格よりも下がってしまうと損をした気持ちが強くなってしまって手放してしまったり、より儲けようという気持ちが高まると債券3倍レバレッジなどに手を出して損失を大きく拡大したりしかねないです。
債券への投資自体は間違っていないと思うので、「儲けよう」という気持ちよりも「安定を目指そう」という気持ちを持ちながら債券投資と向き合うのが良いのではないかなと思います。
さて、今回の内容は、YouTubeにもアップしています。動画でみると、ブログとは違う魅力などもあると思いますので、ぜひYouTubeの方も見てくださいね。
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コメント
コメント一覧 (4件)
現物の債券ですが、SBI証券でたくさん売っています。
私はSBI証券でアメリカ国債ストリップス債(ゼロクーポン)を6月に自分の個人年金としてたくさん購入しました。
普段は野村證券でアメリカ国債を購入しているのですが、現在は10年以上の長期アメリカ国債を取り扱っていない(売り切れみたいです)のでSBI証券で購入しました。
現物の債券投資に興味があるのでしたら、一度、SBI証券のホームページで取り扱っている債券をご覧になってください。
外貨の社債なども取り扱っていますよ。
教えていただき、ありがとうございます。本文を少し修正しておきました。
SBI証券のサイト見てきました。米国債を沢山売っているんですね。
楽天証券は米国社債はそれなりにあるけど米国債はあまりないんですよね。
選択肢が沢山あるのはいいですよね。
まさに話題だからと2621を買いまして、本日、マイナス21%です
たらればですが、こちらの記事のような考えを購入したときに検討しておけば…
とても参考になりました。ありがとうございます
こんにちは、とほほさん。
ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
短期的には、まだ金利が上昇する可能性があるのですが中期的にはいずれ利下げする局面がやってきます。
そうなると、債券は生きてくる展開となってくるので債券ETFを持っているのは悪くないと思います。
景気悪化により株安、利下げにより金利低下、こうなってくると債券を持っておいて良かったと感じると思うので、少し辛抱が必要かもしれませんがいつかは報われる時が来るのではないかなと思います。