米国の格付けの見通しを引き下げ。株式市場の動揺に注意。

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先週の金曜日に、ムーディーズが米国の格付けの見通しを従来の「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」引き下げました。ただし、見通しは引き上げたものの実際の米国債への格付けは従来の「Aaa(トリプルエー)」を維持したままになっています。

他の格付け会社は、すでに米国債の格付けを引き下げているよね

残すはムーディーズだけなのですが、ここも下げると厳しいですね

主要な格付け企業は、ムーディーズ以外にもスタンダード&プアーズとフィッチがありますが、すでにスタンダード&プアーズとフィッチは米国債の格付けを最上位のトリプルエーから一段階引き下げているので、ここで最後の砦となっているムーディーズも引き下げが確定となると厳しい展開になっていきそうです。

ムーディーズが格付けの見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」引き下げた事で、長期金利は若干上昇する事となりました。長期金利の上昇は株式市場にとってはマイナスに作用しやすいので注意が必要ですよね。

まずは、大手格付け会社3社(ムーディーズスタンダード&プアーズフィッチ)が、現在の各国の債券の格付けをどのように位置づけているのかと確認してみましょう。

大手格付け会社の格付け状況

国名ムーディーズスタンダードフィッチ
ドイツAaaAAAAAA
オランダAaaAAAAAA
オーストラリアAaaAAAAAA
スイス等の6か国AaaAAAAAA
カナダAaaAAAAA+
米国AaaAA+AA+
韓国Aa2AAAA−
中国A1A+A+
日本A1A+A

最上級のトリプルAには、ドイツ・オランダ・オーストラリア・スイス・ルクセンブルク・デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・シンガポールの9か国がランクインしています。

米国は、ムーディーズがトリプルAを維持していますが、スタンダード&プアーズは2011年にダブルAプラスに引き下げており、今年の8月にはフィッチもダブルAプラスに引き下げています。

今回は、ムーディーズが格付けの見通しを従来の安定的からネガティブに引き下げただけなので、実際の米国債の格付けはトリプルエーを維持していますが、現状の状態が続くようであれば米国債の格付けを引き下げる可能性が高くなってしまいます。

ムーディーズが格付けの見通しを引き下げた背景には、米国の財政赤字の拡大や政治的な分断の高まりを指摘しており、先日の史上初の下院議長の解任や、米国議会が予算案に合意できておらず政府機関の閉鎖の恐れが高まっている事などをあげていました。

今週の金曜日までに米国議会は予算案をまとめて、政府機関の閉鎖を回避しなければ、再び混乱が深まる事になります。

一応、現時点では下院議長が新しいつなぎ予算案を提示しており、その内容が共和党保守派の一部強硬派が求めている支出の即時30%削減や移民政策変更を盛り込まなかった事で民主党が受け入れやすい提案をなっており、つなぎ予算案を通す事で政府機関の閉鎖を回避できる可能性は以前よりも高くなっています。

ただ、予断は許さない状態でもあるため、つなぎ予算案の動向に注目が集まっています。

つなぎ予算案がまとまらず、政府機関の閉鎖が実施される事になると、政府機関の閉鎖が1週間続くごとに米国のGDPは0.2%ずつ減少していくと試算されているため、景気を維持するためには政府機関の閉鎖は回避したいところです。

実際に政府機関が閉鎖される事態となるようであれば、ムーディーズが格付けを引き下げる可能性は高くなってしまい、そうなると米国は最上位の格付けを失う事になってしまいます。

ちなみに、2011年にスタンダード&プアーズが格付けを引き下げた時や今年の8月にフィッチが格付けを引き下げた時も米国株式は下落をしていた事から、もしもムーディーズも米国債の格付けを引き下げるような事があれば、株式市場には動揺が走っていく可能性が高くなってしまいます。

今週のつなぎ予算案が成立するかどうかは非常に注目度が高い案件となっています。

   

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