投資を始めたころの私は、「どうやったら資産を増やせるだろうか?」、「早く増やすにはどうしたらいいのだろうか?」という事ばかりを考えていたと思います。
コツコツと増やしていく事を考えるというよりも、トントント~ンと資産が倍増していくような事を想像していました。
投資を始めた頃なんて、3%や4%の利回りが凄く少なく思えてしまうんですよね。投資を始めた初期の頃は、今思えば恥ずかしいぐらい思い切り勘違いしているなと感じるのですが、投資家ならば10%以上の利回りを取れて当然ぐらいの感覚で考えており、多くのリターンを取るのがいいんだと思っていました。
投資を始めた初期の頃って、どうしてもリターンを重視する姿勢になりがちですよね。
そして、それがもとで思わぬ足元をすくわれる事もあるので気を付けないといけないですよね。
今回は、そんな投資初期の頃のお話しをしたいと思います。
慣れによる感覚のマヒ
私が一番最初に投資をした先は、中国株でした。
まあ、中国株を選んでいる時点でリスクが高いのですが、それでも最初は安定した運用を心掛けていくつもりだったので中国株の中でも比較的安定している企業に投資をしていました。
銀行、空港、高速道路、石油、電力、通信と、中国のインフラを担う企業ばかりに投資をしていました。中国は、空港や高速道路も上場しているんですよね。日本で例えるならば、羽田空港や首都高速道路が上場しているみたいな感じです。こういったインフラ企業ならば潰れる心配もなさそうでしょう。
石油企業や電力企業、通信企業も手堅いですよね。日本で例えるならば、NTT(日本電信電話)の株を買うみたいな感じだから国民に欠かせないサービスを提供している企業と言った感じです。
国民生活に必要なサービスであれば潰れる心配もないし、安定した業績を上げるだろうし、配当金も支払われるから安定した運用が出来ると判断していました。
これらの企業は確かに無くなる事のないサービスなので潰れる心配はないのですが、投資を続けていくうちに段々と感覚がマヒしていくんですよね。
- より高いリターンを
- より大きく増える銘柄を
- 更に資産の拡大を狙える銘柄を
こんな感じで、運用が上手く行っていると、「もっとうまく増やせるんじゃないか」「更に高いリターンを狙えるんじゃないか」なんて思ってしまうんですよね。
相場が良かっただけなのに、自分の実力だと勘違いして、更なる高みを目指そうと欲張ってしまいます。
まあ、そんな時は大抵は痛い目をみますよね(笑)
実力を勘違いする
投資とかって、結構ビギナーズラックになる事がありますよね。私の場合も投資を始めた環境が良かったので、スルスルと資産が増えていきました。多くの方が投資を始めようと思う頃って雑誌やニュースとかで投資の話や話題がよく出てきている頃なので、大抵は最初の頃は上手く行きますよね。
私の投資も順調に増えていました。投資を始めてから綺麗な右肩上がりに投資資産は増えました。
こうなると、「俺って投資が上手いんじゃないか」「俺の銘柄選択眼は実は凄いんじゃないか」って勘違いしてしまうんです。
思い切り恥ずかしいね
あの頃は、マジで思ってました(^_^;)
更に大きく資産を増やそうと思って、小型株に手を出し始めます。成長性がありそうだけど、まだ規模も小さくて不安定な企業。でも爆発力がありそうだからとこういった小型株に手を出し始めて、更に資産を大きく増やそうと目論みます。
相場が良かったから資産を増やせただけの私がそう簡単に小型株などで高いリターンを叩き出せるわけがなく、しかも手を出す銘柄は当時に話題になっていたような銘柄を買っていたので、当然ながら高値掴みになっています。
こういった株は崩れ出すと、ボロボロと崩れていくのであれよあれよという間に株価が下っていきます。
もちろん、私が買った株は大きく下がっていきます。
こういった時に投資が上手ければ、サッと損切りして次に移ったり、資産保全を図ったりできるのですが、そもそも相場が良くてホールドしているだけで資産が増えていたなんちゃって投資家の私が上手く小型株を扱えるはずもなく、オロオロとしているうちに含み損が膨らんで行き、どうしようもなくなってから損切りするという事態になっていました。
相場がイイと何でも株価が上がっていくので、自分の資産もドンドンと増えていくから自分は投資が上手いんだと勘違いしてしまうんですよね。そして、その状態で自分なら更に増やせるという謎の自信が芽生えてきて、小型株に手をだして、ものの見事に撃沈するというお決まりのコースを走っていました(笑)
辛うじて踏み留まって危機回避
その後も、結構ヤンチャな投資を試みようとしている時期がありました。
中国株で資産を増やす事が出来ていたのですが、中国株が上昇していたのは「発展している国」だったからです。だったら、今から発展しようとしている国を見つければいいんじゃないか(次なる中国)という事を考えだします。
そして、次なる中国として目をつけたのが、ベトナムです。
豊富な人口、勤勉な国民性、未発達な工業、これから成長する要素が豊富な国でした。中国株で増やす事が出来たのだから、次に中国のようになる国に先回りして投資をしておけば、ものすごく増えるはずだという単純な発想。
そんなにうまくいくはずないやん
だよね(笑)
でも、外国株は気軽に投資できる環境ではないです。中国や米国といった国でさえ、ここ10年ぐらいで急速に投資環境が整備されて気軽に日本の証券会社から投資できるようになっていますが、一昔前は中国や米国ですら気軽には投資出来ませんでした。
なので、15年以上も前にベトナム株に投資するとなるとかなりハードルが高かったのです。
日本の証券会社では購入する事が出来ず、現地の証券会社に口座を開設しに行かないといけないという非常に高いハードルがあったのですが、丁度ベトナム株が次なる中国だと話題になっていた頃に私設ファンドで投資できるというお話がありました。
1口50万円からで、ベトナム株に投資をする事が出来る。ただし、5年間は一切途中解約が出来ない。状況によってはクローズド期間(一切解約が出来ない期間)が更に2年延長できる権利を運営側は持っている。というような感じのファンドでした。
「次なる中国」ってワードは、魅力的な囁きですよね(笑)
当時の私は、めっちゃ迷いました。
「中国が成長する初期段階に投資が出来ていれば、ものすごく資産が増えていたはず。もう中国はそれなりに成長してしまっているけど、次なる中国となる可能性のあるベトナムに今投資をしておけば、昔の中国に戻って投資をするのと同じ事が出来るかもしれない」
本当に申し込もうかどうか非常に迷いましたが、結局はベトナムファンドには投資しませんでした。
クローズド案件(解約に制限が掛かる)という事が最終的に投資を留まらせる判断材料となりました。
結局、ベトナム株市場はその後は盛り上がらず、そのファンドの成績もボロボロだったので、辛うじて投資をせずに踏みとどまる事が出来ました。
近道はないよ
資産を増やそうと思うと、ついつい大きく増やす事に意識がいってしまって、気が付けば少し怪しい投資案件に惹かれている時があります。
怪しくなくても、より高いリターンを求めてしまって、ハイリスクな投資に手を出しがちになります。
投資はコツコツと歩みが遅くても、ジリジリと増えていくような感じで取り組んでいく方がいいです。でも、他の投資家が速く大きく投資資産を増やしているとちょっと羨ましくなりますよね。
投資は競争するものではないのですが、いち早く資産をふやしたり、いち早く大きく増やしているのを眺めていると、少しでもお金持ちへの近道を探してしまいます。
でも、近道だと思っていた道は、大抵は舗装もされておらず、デコボコですぐに転倒する危険性の高い道が多いです。
そんな道を全速力で駆け抜けようとすると、そりゃ転倒する人が続出しますよね。
慌てて近道をする必要はないし、そんなに慌てなくても大丈夫だと思います。
コツコツとした投資でも、しっかりと長く投資を続けていけば、坂を転がっていく雪玉のように時間が経つとともに徐々に大きくなっていって、ちゃんと充分な大きさの資産に育っていますよ。
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