今後の成長性が大きく期待されている銘柄として有名なのはエヌビディアだと思います。皆さんご存じの通り、半導体(GPU)の今後の成長余地が大きく、さらに市場が拡大していくと想定されています。さて、エヌビディア以外にも今後の成長性が大きく期待されている銘柄があるのをご存じでしょうか。それがイーライリリーという製薬企業です。
あまり聞きなれない企業だね
実は、時価総額トップ10に入るぐらいの巨大企業なんだよね
イーライリリーが注目されているのは、肥満症治療薬(通称やせ薬)を開発した事です。特に、国民の4割が肥満症であるとされている米国において注目度が高く、自分で注射を打つだけで食欲を抑えられる肥満症治療薬は手軽なやせ薬として世代を超えたブームとなっているみたいです。
肥満症治療薬の入手は比較的簡単に出来るようで、医師とオンライン診察で体重や健康状態を伝えるだけで処方される事が多く、週1回の注射をするだけで効果が期待できます。中枢神経に働きかけて少量の食事でも満腹感を覚えることで減量をアシストします。保険適用なら高くても1カ月25ドル(約3800円)ほどで利用できるため、手軽に購入することができるみたいです。
今ではオンラインでの入手をより便利にするために、イーライリリーはアマゾンと提携してアマゾンのオンライン薬局「アマゾン・ファーマシー」が配送や患者の問い合わせに対応するようになっています。
人々が痩せたいという願いは非常に強く、肥満症治療薬の需要は膨大にあります。イーライリリーの業績も好調を維持しており、最新の決算(2024年度1Q)でも糖尿病治療薬「マンジャロ」の売り上げは前年対比で3.2倍もの大幅増加となっています。
この薬の凄い点は、食欲を抑制するという事です。これらの薬(GLP-1受容体作動薬)を使用している家庭の食品支出は非使用世帯に比べて6ー9%減少しており、確実に食費の抑制につながっています。特に、スナック菓子・アイスクリームなどの嗜好品は購入量が確実に減っている状態となっています。
お菓子などの嗜好品が肥満に繋がるのは誰もが分かっている事ですが、食欲などに勝てずに購入してしまうのですが、その大元の食欲を抑制することで、お菓子などへの興味もそぎ落とし、痩せたいという意欲も合わさって相乗効果を上げていきます。
健康を維持できるという事において肥満を解消するという事は非常に良い事なのですが、一方でお菓子などの食品メーカーにとっては需要が減少するという事は死活問題に発展していきます。
肥満症治療薬が拡大していく事で、あまり健康的ではない製品を製造・販売している企業はビジネスモデルを見直す必要性が出てくる可能性があるようです。
市場調査の結果では、糖分や脂肪分などを含む商品を製造・販売する企業にたいして、今後は分量を減らしたり・レシピを見直したりする必要があると回答した割合は75%にものぼっており、大多数の人々は健康志向に傾いていくと想定されています。
アナリストの中には、「不健康な食品を新しい石炭」と考える人々も出てきており、環境汚染への懸念から石炭が急速に排除されていったのと同様に、不健康な食品も肥満などの健康を害する要因となる事から肥満症治療薬の拡大によって急速に排除されていく可能性があると指摘しています。
多くの人々に長らく愛されてきて、世界中の人々の嗜好品となっているコカ・コーラやマクドナルドなどの鉄板企業も、戦略を誤ると徐々に業績が傾く危険性があるかもしれません。
そんな黒船になりかねない肥満症治療薬。
今後も更なる拡大が想定されており、ただ単に肥満症治療薬を扱っているイーライリリーなどの企業の業績が上昇していくだけでなく、それによってあおりを受ける企業も出てくるかもしれませんね。
コメント