かつて私が見た未公開株の末路

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私が投資を始めたのは2004年です。その当時は SNSなどはなく、インターネットはあったけれども情報は限られたものでした。私が投資をしていたのは中国株という今でも怪しさが漂う投資先だったのですが、当時は今以上に怪しさ満開でした。そんな中国株(正確には香港の企業)において、未公開株に投資できるという話題が持ち上がりました。今回は、そんな未公開株に投資をした人たちのお話です。

怪しさ満開の未公開株の世界へようこそ

未公開株なんて、怪しさと怖さしか感じないよね

私が投資を始めた頃は、SNSではなくブログが主流の情報交換の場であり、投資ブログも結構ありました。私が投資を始めてから1年~2年ぐらいが経った頃に、とあるブログで未公開株に投資をしたという事を書いている人がいました。未公開株への投資申込書、未公開株の株券(当時はまだ電子化が行われておらず紙の株券などもあった)、などがブログにアップされていました。

いまでも未公開株に投資をするなんてハードルが高いものなのに、その当時なんて未公開株に投資出来る機会なんて全くない時代でした。そんな時に、未公開株に投資をしたというお話は狭い中国株コミュニティのあいだではあっという間に話題になりました。

その方のブログには、「どうやったら未公開株に投資できるの?」「まだ未公開株に投資できるの?」といった質問がたくさん寄せられていました。ブログ運営者は、その質問に真摯に答えていました。

・1口50万円で投資が出来た
・知り合いの友人から未公開株の担当者を紹介してもらった
・未公開株なので上場するかどうかも未定で分からない
・上場すれば、爆益になる可能性もあるけど、紙くずになる可能性もある
・期間限定での募集だったので、もう締め切り期限は過ぎてしまっている
・上場しない場合は所定の手数料(10%)が引かれるが残りは戻ってくる

未公開株への投資は、このような内容だったようです。リスクはあるが、誰も投資出来ないような未公開株に投資が出来る。上場すれば爆益になる可能性がある(もちろん逆に上場しても紙くずになる可能性もある)。設定期限である5年以内に上場できなかった場合は投資した金額の10%は事務手数料として引かれるが残りは戻ってくるので上場できなくても大部分の資金は戻ってくる。こんな感じの投資案件だったみたいです。

特に、多くの人々の興味を引いたのが「上場しない場合は大部分が戻ってくる」といった部分でした。未公開株で怖いのは上場できなくてすべてが紙くずになる事です。上場してからボロボロになってしまうのは仕方がないとしても、上場すら出来ないのは未公開株に投資するうえで最大の懸念材料です。その懸念材料が手数料10%を引かれるだけで戻ってくるのであれば、リスクも限定的になると考えた人々が多かったみたいです。

ブログには、読者からの問い合わせが殺到して、「未公開株に投資したいけど、今からは無理なのかな?」といった質問も多かったです。そしてブログ運営者は担当者に相談してみたそうです。すると、締め切り期限は切れているけど会社と相談して今から一定人数は受付すると言われたそうです。1人1口50万円のみで、人数限定で未公開株への投資の受付が再開されました。

ブログ運営者から担当者への連絡先を教えてもらった読者の一部の方は、直接担当者と連絡を取り、未公開株への投資へと進んで行ったようです。ブログのコメント欄には「ありがとうござました。間に合いました」という読者からのコメントが沢山載っていました。

未公開株は、半年後には上場を予定しており、その日に向けてブログ運営者やブログ読者たちは和気あいあいと楽しみにしていました。上場予定とされていた半年後が近づいてきたのですが、未公開株の担当者からは何も連絡がない状態だったようです。少し不審に思ったブログ運営者は担当者に連絡を取ってみたそうですが、担当者からは「問題ないです。公開予定日に上場する予定です。若干上場日がズレるかもしれませんが何も問題ないです」と伝えられたそうです。

そして、上場予定日がまさに近づいてきたのですが、未公開株の担当者とは段々と連絡が取れなくなってきており、そして肝心の上場予定日は無情にも何事もなく過ぎていきました。流石に、マズいと感じたブログ運営者は担当者に何とかして連絡を取ろうとしますが、全く音信不通になってしまいます。

契約申込書もあるし、手元に実在の株券もあるので、大丈夫だと思い込んでいたブログ運営者も流石に段々と不安になっていきます。居ても立っても居られなくなったブログ運営者は、香港の事務所に直接行って話を聞くことにしました。そして契約申込書に書かれていた住所にたどり着くと、そこは廃墟のような無人ビルでした。

事実を突きつけられたブログ運営者は「騙されたかもしれない」とブログに書き込みました。すると、今までともに上場を楽しみに待っていた読者から批判が集中してしまいます。

「お前が紹介するから50万円も投資してしまったやろ、責任とれや!」「詐欺を紹介するなんて何してくれてるねん。お前は悪魔か!」「せっかく苦労して貯めたお金をあなたに騙し取られたようなものだ!」と痛烈に批判されまくっていました。

ブログ運営者はそれらの強い批判にも真摯に対応しており、何度も読者に謝りながら、どうにかならないものかと四苦八苦していましたが、もちろん騙されたお金などは戻ってくるはずがありません。何よりも、ブログ運営者自身も詐欺の被害者であり、たまたまブログに未公開株の事をアップしたばっかりに、他の方から紹介して欲しいと言われて良かれと思って紹介しただけであり、悪気があったわけではないです。

そして、耐えきれなくなったブログ運営者は、ブログの更新を中断し、ついにブログは閉鎖されてしまいました。

その後、どうなったかは私には分かりません。でも、間違いなく誰の手にもお金は戻ってこなかったと思います。

多くの投資家が道連れのような感じで詐欺被害にあった未公開株事件。これをみていた私が思った事は、「それでも投資は自己責任である」という事です。

未公開株について書いていたブログ運営者は果たしてボロカスに叩かれるほど悪かったのだろうか? 私は、そこまで悪かったとは感じませんでした。なぜならば、ブログ運営者に騙そうという意図は全くなく、ただ単に自分がやった未公開株について書き込んでいただけで、それについて問い合わせてきた読者に、そのまま紹介しただけです。

そして、ブログ運営者はちゃんとリスクについて、しっかりと書き込んでいました。

・未公開株だから損をする可能性がある
・最悪の場合、紙くずになる可能性がある
・それでも、爆益になる可能性に賭けてみようと思った

未公開株についても、積極的に案内していたわけでもなく、自分はこういった未公開株に投資する機会があったという事を書いていただけで、それに反応した読者が何とかして自分達も応募したいと言っていたから担当者を紹介しただけです。

そもそも、このお話を見ていると分かるように怪しさ満開の投資案件です。リスクしかないと普通の投資家なら容易に判断できる案件です。それでも、万が一の可能性に掛けて未公開株というチャンスに掛けたのであれば、それが詐欺であったとしても、それは自分の判断ミスだと思います。

未公開株なんて素人が手を出すような投資案件ではないと思います。もちろん、上手く行くケースもあるかもしれないし、未公開株が上手く行けば少額でも巨大な爆益になって返ってくることがあるかもしれません。ただ、上手く行くケースなんて本当に宝くじレベルのまぐれ当たりだと思います。

本当に美味しい話は、私達庶民の元には簡単に転がってきません

基本的なお話として、未公開株投資なんてするものではないです。未公開株に投資をする時点で、そのお金は無くなっても問題ないものだと考えるべきです。それでも未公開株に投資をしたいのであれば、そういった全てのリスクを承知の上で申し込めばいいだけです。

どのようなものに投資をしたとしても、どのような情報源を参考にしたとしても、最終的にそれに投資をするという意思決定をしたのは自分自身であり、そこを自覚して投資をしていかなければなりません。

投資は自己責任である

投資の基本なのですが、ついつい忘れがちになってしまう言葉でもあるのかもしれませんね。

   

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