日本でも度々議論になっている金融資産課税の導入。財政審議会や与党税調などで議論されている中では、「 1億円以上の純金融資産(貯金・株式・債券)」や「 3億円以上の総資産(不動産を含む)」などを中心に税率を 0.5%として考えられているようです。では、他の国々では金融資産課税はどのようになっているのでしょうか。

海外では金融資産課税を実施している国はあるのかな



欧州の何か国かは金融資産課税を導入しているよ
ヨーロッパを中心にいくつかの国が金融資産課税を導入しています。ノルウェー、スペイン、スイス、オランダ、イタリアなどが金融資産課税を導入しており、保有している金融資産(貯金、株式、債券など)に対して課税をしています。
「ノルウェー」
個人の純資産(株式・不動産等含む)に対して、資産規模 1800万円以上から最大で約 1.1%課税(国税+地方税合算)
「スペイン」
純資産 82万ユーロ(約 1.3億円)超から 0.2%~ 3.5%課税(累進課税)
「スイス」
約 1000万円程度から年間 0.1~ 1%程度の課税(州税として各州で課税)
「オランダ」
想定利回り×課税率で資産に対して課税。少し複雑な課税方法。実質的な富裕税
「イタリア」
外国資産に限定して保有税を徴収。イタリア在住者の海外金融資産に 0.2%課税
これらの国々が金融資産課税を導入していますが、金融資産課税を導入したものの、その後に金融資産課税を廃止した国もあります。フランスやドイツ、オーストリア、スウェーデン、フィンランドなどは一度は金融資産課税を導入しましたが廃止しています。
なぜ金融資産課税を廃止したかというと、金融資産課税を導入した事によって裕福層が他の国々へと移住してしまったからです。資産家たちが保有資産への課税を逃れるために海外へと移住を始めてしまい、結果として減収となってしまった事から金融資産課税を導入したものの廃止へと転換しています。
また、起業家なども保有している自社株に課税される事で多額の納税が必要となってしまい、それを嫌って他国で起業したりするケースも起こり、結果として自国の発展の妨げになるという判断によって、金融資産課税を廃止したようです。
他国の例をみると、実際に金融資産課税を行っている国は意外と少なく、過去に導入した国でも廃止している国が結構あります。そして、現状では金融資産課税を行うよりは相続税・キャピタルゲイン課税強化の方向性に舵を切って対応するケースが主流となっているみたいですね。
なので、日本においても相続税の強化やキャピタルゲイン課税(金融所得課税)の強化の可能性はやはり高く、金融資産課税については当面の間は大丈夫なのではないかなと思っています。
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