近年は技術の発展により私達の生活の様々な事が便利になっていきました。コンピューター社会から、ネット社会へと移行していき、そしてAI社会へと進化して行っています。
現代の社会を支えているコンピューターやパソコン、AIなどに必要不可欠なものが半導体です。ネット社会の石油ともいわれており、半導体がなければネット社会が成り立たないほど重要な存在となっています。
あらゆるものに半導体が入っているよね
半導体がなければ最先端の技術も使えないですからね
現代社会を、そして未来のAI社会を支える重要な半導体。その半導体を支配する事が世界を支配する事でもあるといえる状態になっている事から、半導体企業の重要性が非常に高まっています。
今回は、そんな半導体の支配を狙う国のお話です。
世界の半導体を支配する企業
今、世界の半導体をリードしている国や企業として真っ先に上がるのが、台湾であり、TSMC(台湾積体電路製造)ですよね。世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)です。
昔の半導体企業は設計も生産も同じ企業が行う事が多かったのですが、今は設計を行う企業(ファブレス企業)と生産を行う企業(ファウンドリ企業)が分業されています。
ファブレス企業は、ファブレス(工場を持たない)という名称がついているように自社で工場を持たずに、開発と設計を行い、生産は外部企業に委託しています。半導体で有名なファブレス企業としては、エヌビディアやクアルコムなどがありますよね。
ファウンドリ企業は、ファブレス企業から依頼を受けて半導体の生産を専門に行う企業です。半導体で有名なファウンドリ企業はTSMCです。TSMCは、世界の半導体受託生産の半分を占めるほどの能力があります。
そして、世界トップクラスのファブレス企業からの依頼を引き受け続けた事で技術力が格段に上昇して、今では世界最高水準の技術力・生産能力を保有する様になりました。
世界最先端の5ナノの半導体を安定的に大量生産できる企業は、TSMCとサムスン電子だけであり、更にその先の最先端半導体である3ナノや2ナノの大量生産を行う予定なのも、この2社になります。世界のトップ企業達も最高峰の半導体を生産するにはTSMCなどに頼るしかなく、世界の半導体生産を牛耳っているTSMCは非常に強い力を持っています。
半導体を制する者が未来を制する
AIや自動車の自動運転、未来型都市のスマートシティ、そして最近話題になっているチャットGTPなど、あらゆる先端技術に半導体が必要となっており、最先端の技術を開発・運用していくには最先端の半導体が必要不可欠となっています。
半導体を制する者が未来を制する事となり、半導体企業の重要性がますます高まってきています。
そんな中で、世界の覇権を争っている米国と中国の半導体開発競争も過熱気味となっており、巨額の資金を援助しながら自国に有利になるように働きかけています。
ただ、やはり米国が今まで蓄積してきた経験や技術力は一歩抜きんでており、米国が有利な状況を保っており、中国への最先端の半導体輸出を禁止するなどして、中国の影響力が高まらないように手を打っています。
一方の中国は、何としてでも半導体の技術を向上させて、米国と肩を並べる技術大国になる事を目論んでおり、虎視眈々と世界の覇権を狙っています。
天才投資家のリスク回避
そんな中で、半導体の将来性に期待していた天才投資家もリスク回避に動いていました。
ウォーレン・バフェット氏は2022年7月~9月にかけて半導体生産大手のTSMCに巨額の投資を行いました。
しかしながら、地学的なリスクがあると判断したバフェット氏は急遽売却を決意します。そして、2022年の年末には購入したTSMCの株式の85%を売却しており、今ではTSMCに投資していた分は全て売却をして、TSMCへの投資から撤退しました。
バフェット氏が懸念したのは、台湾有事の危険性です。
バフェット氏は長年保有を続けてきた中国の電気自動車最大手のBYDへの投資も清算し始めています。BYDの株式を徐々に売却しており、保有比率は毎期ごとに減少しています。
TSMCもBYDも、どちらともバフェット氏は成長性を認めていますが、万が一のさいのリスクを考慮して投資継続を回避しており、中国が台湾に侵攻する可能性が以前よりも高まっていると判断しているようです。
中国の思惑
中国にとって、台湾は是が非でも手に入れたい国であり土地です。
政治的にも経済的にも重要なものであり、習近平氏にとっても中国による台湾統一は自身を中国において歴史的な指導者として名を残すために必要な事であり、党大会でも「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と述べているほどです。
従来は中国の国家主席は2期10年で交代するはずだったのが、習近平氏は憲法を改正してまで権力の座に留まり、異例の3期目がスタートした事で習近平氏の権力は強まり、ライバル政治家を政権中枢から追い出した事で独裁色が高まりました。
習近平氏に逆らうものがいなくなれば、不測の事態が起こっても忠告するものがなくなり、間違った方向性へと突き進む可能性が出てきてしまいます。
今の中国がすぐさま台湾に侵攻するという訳ではないですが、台湾に侵攻する可能性は以前よりも高まってきている状態であり、それはロシアのウクライナ侵攻の結果によっては現実的になるかもしれません。
中国が台湾を統合すると、政治的な面だけでなく、経済的・技術的にも大きな影響を与えます。世界最先端の半導体を生産している企業を吸収する事が可能となるからです。
中国の技術発展に必要不可欠な半導体技術を中国は自前で作り上げるのには厳しい現状にあるのですが、台湾を併合するとその技術を根こそぎ奪い取る事が可能となり、国際的な非難を浴びてもやり遂げる理由が一つ増えた事になります。
まとめ
今後の技術発展において、半導体は欠かせないパーツとなります。その半導体を手にしたものが世界経済を支配するといっても過言ではないです。
世界中の企業が最先端の半導体開発に躍起になっており、最先端半導体の生産を主導している台湾の動向に注目が集まっています。
中国企業や台湾企業の成長性は、今後も高い成長性を維持するものと考えられていますが、その前提として重要なのは中国・台湾地域の政治的安定です。
仮に中国が台湾侵攻などの暴挙に出るような事があれば、中国企業・台湾企業共に暴落する事が間違いないです。
中国企業や台湾企業のリターンが今後高くなる可能性はありますが、中国企業等に投資をするのであればリターンだけに目を奪われずに、リスクも考慮しながら、投資比率を調整する必要があると思います。
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