米国株市場は去年からの勢いを引き継ぎ、今年も今のところは比較的上昇傾向となっています。S&P500も史上最高値を更新していて、5000ポイントを超える水準に到達しています。このまま相場が順調に上昇傾向が続いていくのかを左右するポイントとなるエヌビディアの決算がいよいよ本日(日本時間22日の早朝)に発表されます。
エヌビディアの決算がどうなるかワクワクするよね
期待感が高い分、取りこぼすと相場は反動を食らう可能性もあるよね
エヌビディアの決算が市場の期待を超える事ができるかどうかは、中国での売上の状況次第と思います。果たして、高い市場の期待を乗り越えて、更に誰も辿り着いた事のない高みへと進んでいくのか?
もうすぐ、米国株市場全体の行方をも左右するエヌビディアの決算となります。
今期のエヌビディアの決算について、前回の決算においてエヌビディアのガイダンスではこのような想定になっています。
前回の決算発表時に想定していた今期のガイダンス
売上 196億ドル~204億ドル(中央値200億ドル)
粗利益率 74%~75%(中央値74.5%)
去年(2023年度第4四半期)の売上は 60億5100万ドルだったのですが、今期の売上の市場予測では203億7800万ドルと約3.3倍の大幅増加の予想となっており、エヌビディアが前回の決算で開示したガイダンスの上限あたりの数値となっています。
前回の決算では、市場予測を大幅に上回る売上を叩き出していましたが、今回も市場予測を上回る事ができるかが大きなカギとなっています。
市場予測を上回るようであれば株価は10%近く上昇する可能性もあるし、逆に市場予測に届かないようであれば(もしくは市場予測と同程度だったとしても)株価が10%近く下落する事もあるという、両極端な結果となりかねないほどの状況となっています。
それほど市場の期待が高いという事なのでしょうね。
エヌビディアの売上が伸びるかどうかの重要な要因に中国の需要状態があります。米国政府による規制によって、エヌビディアの最新GPUは中国に出荷する事を禁止されています。ゆえに、前回の決算でもエヌビディアは「中国はデータセンター部門の売上高の20〜25%に寄与しているが、規制の影響によって大幅に減少するかもしれない」と述べていました。
米国商務省は最先端のAIチップの中国への新たな輸出制限を発表しており、Nvidiaの「A100」、「A800」、「H100」、「H800」プロセッサが規制の対象となります。このため、エヌビディアは輸出規制に準拠した新しい 中国用のAI チップを設計することになり、急遽中国用に開発した「H20」というAIチップは、1月下旬ぐらいから販売を開始しています。
「H20」は、規制されている「H100」や「H800」よりも性能の低いAIチップとなっており、「H20」の一部の性能については競合のファーウェイの「Ascend 910B」よりも低いと言われています。
米国政府の規制が入る前までは、エヌビディアのGPUは中国におけるAIチップ市場で90%以上のシェアを誇るなどしており圧倒的なガリバー企業だったのですが、規制の影響によりファーウェイなどにシェアを侵食されており、中国でのシェア争いが激しくなってきています。
中国のIT大手企業であるバイドゥ(百度)は、エヌビディア製のGPUからファーウェイ製のGPUに乗り換えるなど、中国企業において国産GPUを使用する例が増えてきています。
中国の国産半導体メーカーである海光信息技術が開発したAIチップは、エヌビディアの「A100」の8割程度の性能を持っているようです。エヌビディアには及ばなくても、それなりの性能で良ければ中国製のAIチップでも代用できる例が増えてきているようです。
米国政府の規制の影響で、今回の決算にどのぐらいの影響があったのか? そして、来期の売上ガイダンスにおいて中国への規制の影響が大きく出てくるのか? などによって、エヌビディアの状況が大きく変わってくると思います。
個人的には、中国への規制の影響は一定レベルで出てくると思います。もちろん、高い水準の業績を叩き出すだろうけれども、市場の高い期待に応えられるほどの決算内容ではないのかなと現時点では思っています。
市場の期待が高過ぎる分、失望した時のショックが大きく跳ね返ってくるため、決算発表後のエヌビディアの株価はそれなりに大きく下落する事になると考えています。
ただ、だからといってエヌビディアの将来性が損なわれていくという訳ではなく、一時的に株価が下落する場面があるならば、そこは絶好の買い場なのではないかなと思います。
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