豊富な人口と労働力を元に経済成長を遂げて世界経済に大きな影響力を持つようになった中国。しかし、その中国も一人っ子政策を行っていた事から若年層の人口が減ってきており、従来のような成長力を続ける事が困難になってきています。日本も高齢化社会へと突入していますが、中国も高齢化社会へと突入しつつあります。
それでも中国の経済拡大は続くみたいだね
まだまだ人口が多いので暫くは伸びていくみたいです
経済成長はまだ続くとみられていますが、以前のような高成長を見込むのは難しくなってきており、労働人口も減少していく事から今後は徐々に先進国に近い成長率になっていくと想定されていますが、それでも人口は依然として多いため、国全体のGDP自体はしばらく伸びていくようです。
衰え始めた中国に変わって、伸び盛りの国として注目されているのが、インドとブラジルです。かつては、ブリックス(BRICS)の一員として話題になっていたインドとブラジル。中国の急速な台頭と共に忘れ去られていきましたが、中国が失速しつつある現状において再び脚光を浴びるようになってきました。
今回は、そんな成長性が期待されているインドとブラジルを比較してみようと思います。
現在の国別GDPと2030年の国別GDP
まずは、各国の経済力をみる数値とされているGDPを比較してみましょう。
現在の国別GDPと2030年になった時の国別GDP予測をみて、順位にどのような変動があるのかを確認していきましょう。
2023年 | 国名 | 2030年 | 国名 |
---|---|---|---|
1位 | アメリカ | 1位 | 中国 |
2位 | 中国 | 2位 | アメリカ |
3位 | 日本 | 3位 | インド |
4位 | ドイツ | 4位 | 日本 |
5位 | インド | 5位 | ブラジル |
6位 | イギリス | 6位 | ロシア |
7位 | フランス | 7位 | ドイツ |
8位 | ロシア | 8位 | イギリス |
9位 | カナダ | 9位 | フランス |
10位 | ブラジル | 10位 | メキシコ |
現在のトップであるアメリカは2030年になると中国に追い抜かれる展開となります。ただ、中国のトップに躍り出るのは人口が多いという事が一番大きな影響となっており、人口が微増でも成長を続けていくアメリカの方が経済的な国力の高さを維持していると想定されています。
さて、2030年になると大幅に順位を伸ばしている国があります。それがインドとブラジルです。この2国も豊富な人口を背景に経済成長を続けていくのですが、中国とは違ってインドとブラジルは労働人口も増えていく事から質の高い経済成長を行っていくとされています。
あと、ロシアも2030年には順位が上がっていますが、現在はウクライナに侵攻して先進国から総スカンを食らっている事から経済が低迷(悪化)すると思われ、ロシアはこのランキング予測のように上位に位置している事は難しいのではないかと思います。
インドとブラジルの人口推移予測
人口が増えていく事で自然と経済(GDP)も増えていくと言われているので、インドとブラジルの人口の推移が今後はどのようになっていくのかも見てみましょう。
まずは、インドの人口推移予測
インドの人口はしばらく右肩上がりの状態が続き、2065年ぐらいまでは人口の増加は続いていきます。インドの人口に関しては問題ないですね。今から40年ぐらいは人口が増え続けているので、私達が投資を続けている間はインドの人口は増え続けている状態になっています。
さて、ではブラジルの人口推移予測
ブラジルは、2045年ぐらいには人口が減っていく想定となっています。あと20年ぐらいで人口が減っていくという事になります。インドと比べると人口が減っていくのは早いですね。
人口の増加はインドの方が長く続いており、ブラジルよりも長い期間経済成長が続くのではないかと想定されており、人口増加に伴って労働人口も増えていくと考えられています。
インドとブラジルの人口分布
経済成長に重要だと言われている人口の増加。ただ人口が増加するだけでなく、労働人口が増えていく事が大切であり、特に若年層が増えていく事が将来的な労働人口や消費人口を増やしていく事になります。
人口分布図などでも釣り鐘型になっており、下の層(若年層)が豊富な国の方が経済が伸びていく要素が高いと言われています。
では、インドとブラジルの人口分布と人口推移の予測とをみてみましょう。
まずは、インドの人口分布図(人口ピラミッド)
次は、ブラジルの人口分布図(人口ピラミッド)
インドもブラジルも、どちらも釣り鐘型の人口分布となっていますが、どちらかというとインドの方が10代・20代の若年層が多く、ブラジルは20代・30代の働き盛りの層が多い感じですね。
これが、2030年になるとどうなっていくのかをみていきましょう。
まずはインドの2030年の人口分布図
そして、ブラジルの2030年の人口分布図
インドもブラジルも年数が経つと人口のボリュームゾーンもその分だけ上に移行していく感じになっています。
インドはそれでもまだ10代・20代・30代の人口分布が多いので、まだまだ余力がある感じです。一方のブラジルはというと、ボリュームゾーンは30代・40代となっており、まだ労働人口・消費人口は豊富でありながらも、人口分布図は釣り鐘型ではなくなってきていますね。
ちなみに、私達の国である日本をみてみましょうか?
日本の2030年の人口分布
怖い・怖い(笑)。下の部分が細すぎて今にも倒れそうな分布図だよね。
人口のボリュームゾーンが50代・60代となっており、高齢化に突き進んでいるのが一目瞭然ですね。
インドとブラジルの問題点
労働人口が豊富で、今後も人口増加が見込まれているインドやブラジルですが、経済成長するにあたって問題点は当然ながらあります。
インドは、不良債権の増加と慢性的な財政赤字、そしてカースト制度などの古い習慣(体質)による阻害があります。
インドは、まだまだ発展途上国であり、国内のインフラも未整備な所が多いので、インフラ支出に力を入れているのですが、逆にそれが不良債権を生む要因となっており、不良債権が拡大していくようであれば経済成長に悪影響を及ぼしたり、時には経済不況を助長する可能性もあります。
また、インドは財政赤字と貿易赤字の双子の赤字です。慢性的に財政赤字となっており、それに加えて貿易でも輸出よりも輸入が方が多い状態が長く続いており、財政・貿易共に赤字となっています。
それとインド特有のカースト制度も経済に深い影を落としています。基本的にカースト制度は廃止(法律で禁止)されていますが、まだ国民の意識の中には残っており、就職や賃金に差別が行われていたりと身分制度のような形で残っている場合があります。これが自由な競争や意欲的な労働を妨げる要因となっており、裕福層と貧困層の格差を広げる事となり、インド経済の安定的な成長除外要因となっています。
一方でブラジルの問題点は、政治的不安定と複雑な税制度、インフラ整備不足などがあります。
政治的に不安定なお国柄であり、伝統的な格差社会であることから貧富の差も激しく、政治的対立の深さと汚職もはこびっている事から政治的不安定が経済の安定性を阻害しています。
また、税制度も複雑であり、活発的な企業活動を妨げており、海外からの企業進出も妨げる要因となっている事から産業技術の発展が進みにくい構造となっています。
それと、インフラが未整備なため、基本的な交通インフラや公共サービスが不足している事から国民への均等なサービスに欠けており、教育不足や労働環境不足が貧困層を生む結果となり、貧困層が国民の半分(約50%)を占めるという現状となっています。
インド、ブラジル共に人口が増加して労働人口も増えていくという経済成長にとっては成長エンジンとなる強い要素がありますが、それぞれに経済成長を阻害する要因を抱えています。
まとめ
近年は、中国経済が台頭して世界経済への影響を強め、中国の時代と言われる事もありました。ただ、中国は人口減少が始まっており、労働人口も減っていく事から高齢化社会へと急速に進んでいくと想定されています。そんな中国に変わって、新興国の雄となる可能性が高い国としてインドとブラジルがあげられています。
インドとブラジルであれば、個人的にはインドの方が、成長力・持続力・可能性の全てにおいてブラジルよりも期待値は高いと思います。
ただ、ブラジルもポテンシャルは高く、元々が低い水準からのスタートとなっているので、高成長の余地は残っていると考えられます。
中国も政治体制がうまく機能すれば、しばらくは経済成長が期待できるのですが、現状では少し厳しいかなといった印象です。
なので、インドやブラジルなどの今後の成長国の様子を観察しながら、投資対象としてインドやブラジルを今後のポートフォリオに組み込んでいく事で未来のお宝銘柄が見つかっていくかもしれませんね。
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