イスラエルとハマス(パレスチナ)の争いが株価に与える影響

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最悪の事態に発展する可能性のあるハマスのイスラエルへの攻撃。双方が報復の連鎖へと突入する事で泥沼化する可能性もあり、イスラエルが招集している予備兵の動員が終わり次第、ガザ地区への地上部隊の展開が行われるようであれば、更に犠牲者は増える事になります。

一刻も早い和平を願いたいね

民間人への犠牲が拡大しないように早期の停戦を願いたいですよね

ハマスの奇襲による混乱に乗じて、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」からの砲撃もあったようです。

イスラエル北部と国境を接するレバノン側から8日早朝、イスラエルが実効支配するゴラン高原のシェバア農場地区に砲撃がありました。パレスチナ人への連帯と称してヒズボラがシェバア農場にあるイスラエル軍の3つの拠点にロケット弾などを発射したようです。これに対し、イスラエルはレバノン南部に砲撃を行ったようです。

ハマスとイスラエルの戦闘に加えて、他の勢力が参加してくることで、争いが他国へと広がっていくと中東戦争へと発展しかねないので、非常に不安定な状況となっています。

今回のブログ記事は、紛争や戦争における株価の動きについてです。

目次

前回の中東戦争における株価の動き

前回の中東戦争は、第4次中東戦争と言われています。

1973年10月6日に、エジプトとシリアがそれぞれイスラエルに攻撃を開始しました。この日は、「キム・キプール」と呼ばれているイスラエルおよびユダヤ教で一番大切な祝日と言われており、「贖罪の日」という意味で 、その日は 飲食や運転などすべての労働をやめ、1年の罪を反省し自己を悔い改めるという日です。

休日にエジプトとシリアの2か国から奇襲を受けたイスラエルは苦戦を強いられますが、アメリカの支援を受けており自力に勝るイスラエルは徐々に盛り返していき、逆にエジプトやシリアの領土に侵入するほど戦線を押し戻していき、最終的には国連による停戦決議を受けて停戦が成立しました。

開戦後は、S&P500は少し下がっていますがその後は上昇したり下落したりといった感じで一進一退でした。

ところが、急に株価が下っていく局面となります。それが、中東戦争によるイスラエルへの反発のためにアラブ石油輸出国機構が行った制裁処置です。

石油価格の70%引き上げや、生産量の削減、そしてイスラエルを支援した欧米への石油禁輸などを相次いで決定しました。これがいわゆる第1次石油ショックとなり、世界経済および株式市場に大ダメージを与える事となりました。

戦争によって株価が下っていったというよりも、戦争に付随する経済制裁によって世界各国に影響を与えたという事で株価が大きく下落した事になります。

短期的には、10月8日~12月5日の約1か月間にかけて株価は17%下落しています。そして、その後はオイルショックの影響で経済が疲労していったこともあり、翌年にかけて44%も株価は下落する事になりました。

10月8日~12月5日のチャート

10月8日~翌年のチャート

他の紛争や戦争での株価への影響

他の紛争や戦争の際の株価への影響はどうだったのでしょうか?いつくかの事例をあげて確認してみましょう。

まずは、ロシアのウクライナ侵攻

2022年2月24日にロシアはウクライナに侵攻を開始します。

ロシアがウクライナに侵攻を開始した直後は株価が下っており、S&P500は2週間で5%株価が下落となっています。しかしながら、その後は反発しており3週間で11%上昇となっており、元の株価水準ぐらいには戻っていました。

ところが、ここから株価は下落をし始めていきます。原油価格の上昇やインフレによる米国金利の上昇が米国経済をハードランディングに導くという想定が強くなっていき、7か月ほどかけて株価は22%も下落していく事になってしまうのです。

次は、ロシアのクリミア半島併合

クリミア半島併合は、2014年2月27日に武装勢力がクリミアの地方政府庁舎と議会を占拠して「クリミア共和国」になると一方的に宣言、これに呼応してロシアは軍を動員してクリミアを実効支配。

クリミア併合の際には、S&P500は1%ほど下落をしましたがそれほど影響を与えることなく、その後は上昇を続けていく展開となっていまいた。クリミア併合の際には大きな軍事衝突がなく、また経済的な影響も特になかったため、株価への影響は限定的であり、世界経済の好調さが反映されてその後の株価の上昇へと繋がっていきます。

次は、イラク戦争

2003年3月20日に、イラクに対してアメリカやイギリス・オーストラリアの連合国が宣戦を布告して開戦。圧倒的な軍事力でイラクを撃破する。

イラク戦争の際には、S&P500は1か月間で5%ほど下落する事になりますが、その後は大きく上昇していました。圧倒的な軍事力を投入したアメリカが僅か1ヵ月ででイラクを全土をほぼ制圧しており、イラク戦争は僅か2か月ほどで終了しました。

世界経済的にも大きな影響を与えることなく、戦争が早期に終結しており、そもそも米国とイラクとでは戦力に大きな差があり過ぎた事から、イラク以外の周辺国を巻き込むことなく速やかに終結した事で株価への影響もほとんどなく経過しました。

次は、アメリカ同時多発テロ

世界を震撼させた2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ。ジャンボジェット機をテロリスト集団が何機もハイジャックして、アメリカの象徴的な超高層ビルの貿易センタービルやペンタゴン(国防省本部建物)に、乗客ごとジャンボジェット機で突っ込んで自爆テロを起こすという惨劇が起こる。

アメリカ同時多発テロの際には、全米を飛行する航空機は1週間ほど全て飛行禁止となるなど経済活動が一時的にストップするほどの混乱状態となっていた。証券取引所も1週間取引が停止され、取引が再開された1週間後には1日で7%も急落するなどの大きな影響が出ていました。その後も、暫くは下落しており10日間で12%の下落となっています。

ただ、経済への影響は一時的であり、アメリカへの打撃も同時多発テロの以降は特になく、心理的な影響は大きかったものの経済的な影響は軽微にとどまっていた事から、株価の下落は限定的であり、その後は上昇していく展開となっています。

最後は、湾岸戦争です。

1990年8月2日に、イラクが隣国のクウェートに侵攻を開始し、8月8日にクウェートを占領して併合する事になります。これに対してアメリカは多国籍軍を形成して1991年1月17日にイラクと湾岸戦争を行う。

イラクがクウェートに侵攻すると、中東が不安定になり原油価格が高騰する事になります。これにより、株価は大きく下落をしていきます。イラクのクウェート侵攻自体は、あっという間にイラク側の圧勝で幕を閉じるのですが、交際社会はこれに大きく反発し、米国を中心とした軍事制裁が行われる可能性が高まり、更に中東情勢が混乱する事を考慮して株価は更に下がっていきます。

ただし、実際に湾岸戦争が起こると、圧倒的な戦力を有する多国籍軍による早期解決が期待されて、株価は順調に右肩上がりに推移していきます。

まとめ

今までにも様々な紛争や戦争が起こっていますが、基本的な株式市場の動きは何かしらの突発的な出来事が起こった際には一時的に下落をしていくが、その後は持ち直していく事が多いという事です。

紛争や戦争という非日常的な出来事に対して、とりあえずリスク回避という観点から株式が売られる事がありますが、それがその後も長続きするかどうかは経済への影響がどの程度あるのかという事が重要となっていきます。

特に原油価格の高騰などが伴った場合には、その後も株価は下落をしていくケースが多かったです。

特に中東を争いが起こった際には、原油価格への影響が大きく、原油価格の高騰に繋がりやすい事から株式市場が下落を強めるケースがありました。

今回のイスラエルとハマスの争いも、ひとまず株式市場は一時的に下落をしていくと思います。その後の展開については、中東の混乱を引き起こす事になって、原油価格へと影響していくようであれば、株式市場にも更に強い下落圧力が掛かっていきます。

原油価格の動向や産油国の対応に注目する必要があるのかなと思っています。

    

さて、今回の内容は、YouTubeにもアップしています。動画でみると、ブログとは違う魅力などもあると思いますので、ぜひYouTubeの方も見てくださいね。

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