長期投資は、簡単ではない

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米国株に投資をしている方々の資産は最近1年で大きく増えたのではないでしょうか。2023年の年始から現在まで、S&P500は36.6%ほど上昇しています。また、為替相場も円安ドル高となっており、2023年の年始から現在までは、13.8%ほど円安ドル高になっています。

株高で円安という米国株にとって最高の条件だったね

米国株に投資をしていれば、かなり大きく資産が増えましたね

2023年の年始から米国株に投資をして、現在にどれくらい増えているのかを為替レートなどを考慮して計算してみると、41.6%の増加となっているので、米国株に投資をしていた方々はウハウハな状態だったと思います。

好調さを維持している事から最近は「インデックス投資なんて長期投資するだけだから簡単だ」という意見がチラホラ聞こえてくるようになってきました。

確かに、インデックス投資は個別株に比べると浮き沈みも少なく、比較的保有しやすい投資商品だと思いますが、「インデックス投資であれば長期投資なんて簡単だ」と思っていると、足元をすくわれると思います。

安定した成長をしているS&P500の1928年からの平均的な年間成長率は、7.5%となっています。なので、単純に考えると、単年ごとには浮き沈みがあり変動する事があったとしても、長期的に投資をしていけば、S&P500は年間約7.5%上昇ぐらいのパフォーマンスになるという事になります。

こういった事から、長期投資をしていれば7.5%程度は増えるのだから、「黙ってインデックス投資を長期ホールドしているだけでいいのだから簡単だ」と言う事になっていくようです。

ちなみに、最近10年間のS&P500の騰落率を確認してみましょう。

年度年末終値騰落率
2014年2058.9011.39%
2015年2043.94-0.73%
2016年2249.2610.05%
2017年2673.6118.87%
2018年2506.85-6.24%
2019年3230.7828.88%
2020年3756.0716.26%
2021年4766.1826.89%
2022年3839.50-19.44%
2023年4769.8324.23%

こうやってみると、全然7.5%に近くないですよね。増える時は大きく増えているし、減る時は大きく減っています。まあ、平均で7.5%ぐらいになるという事なので、当たり前といえば当たり前なのですけどね。

ただ、インデックス投資の平均的なリターンは7.5%位あると言われると、どうしても7.5%ぐらいの値動きを想像してしまうのですが、実際にはインデックス投資といえども結構な値動きをします。

上昇している時は、どれだけ平均値と大きく乖離していてもあまり気にならないのですが、下落時に平均値と大きく乖離してしまうと、結構な動揺が走る事になります。

例えば、コロナショックの時などは結構大きく下落をしたので、動揺した人が多かったと思います。でも、年間リターンでみると、コロナショックのあった2020年は16.26%の上昇で終っているんですよね。これだけみると、下落がなかったように思えてしまいますよね。

でも実際にはコロナショックの時は、わずか1カ月のあいだに 33.9%もの大暴落をしていく事になりました。

コロナショックを経験した人は多いと思います。実際にあの時に、2020年度のS&P500のパフォーマンスがプラスになって、しかも16.26%もの大幅な上昇となると思っていた人は皆無だったと思います。

誰もが2番底があると思っていたし、前代未聞の未知なるコロナウィルスによって、世界中の都市がマヒして、外出禁止が行われ、多くの人命が失われていくのを目の当たりにしながら、株式市場が上昇していくと思っていた人などはいないと思います。

まだ、更に下落していくだろうという想定が大半であり、この時に保有株を手放した人も多かったと思います。

このように、数字だけをみると2020年度は上昇した年という事になりますが、実際には大きく下落をした年であり、多くの投資家が暴落に巻き込まれてしまい、保有株を手放した投資家も多かった時期になります。

あと、2018年も年間のリターンだけをみると、6.24%程度の下落なので可愛い感じの下落に思えてしまいますが、この時はトランプ氏の強硬姿勢によって米中貿易摩擦が過熱しており、9月~12月の間に 19.7%もの大幅な下落となっていました。

結構大きな下落は、近年でも数回あるんですよね。

「でも、いずれは回復していくのだから、どれだけ下落をしてもS&P500をホールドしていればいいだけだから簡単だよね」と言う方も多いです。

確かに、ホールドしていればいいだけなのですが、その簡単な事を簡単に出来ないからこそ、投資で資産を増やす事が難しかったりするんですよね。

投資で資産を増やしている人は、約3割から多くても4割ぐらいだと言われています。つまりは、残りの6割から7割ぐらいの人々は失敗しているのです。

「でも、周りをみても失敗している人(投資で資産を減らした人)は、あまりいないよ」と思うかもしれません。

それは、多くの人は失敗を語らないからです。そして、特に投資の場合は、成功バイアスが非常に強く掛かり、相場に生き残った人しか発信しません。そして、生き残った人々は簡単に「投資はホールドしていればいいだけ」と言いますが、それは生き残れたからこそ「簡単だった」と思うだけで、実際には多くに投資家にとって、暴落時にホールドを貫いていく事は難しいのです。

普通の人は、暴落時には動揺して非常に不安になるものです。そして、インデックス投資といえども「簡単に」ホールド出来る物ではないんです。

暴落に巻き込まれて消えていった人々は、何も語らずに静かに相場を退場していきます。そして、生き残った強い心臓を持つ投資家達だけが、あたかも自分の投資方法が出来て当たり前のように自身の投資を語っていきます。

もちろん、それを真似出来る強い心臓をお持ちの方にはそれでいいのだと思いますが、多くの投資家は普通の心臓しか持っていない、普通の投資家達です。

相場が好調になると、強気な意見や発言が増えていきますが、「自分は普通の投資家なんだ」という想いを常に忘れないようにしながら、暴落の怖さは忘れないようにしていきたいと思います。

   

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