インフレも少しずつ落ち着いてきており、利上げは終了したという想定が市場ではスタンダードになっています。あとは、現在の高金利がいつまで続くのか? そして、利下げはいつから始まるのか? に焦点が移っており、FRBによる利上げ終了宣言は出ていませんが、市場では利上げ終了という雰囲気が支配しています。
来年には利下げが始まるのかな
早ければ、6月頃から利下げが始まるというのが市場の想定のようです
利上げが終了したとなると、今まで下落を続けていた米国債券ETFなどは下落が終了して、上昇し始める事になります。
基本的には、金利が上がれば債券価格は下がり、金利が下がれば債券価格は上がる事から、今後は利下げが焦点となってくるのであれば、米国債券ETFは上昇傾向となっていきます。
今回は、魅力的な水準となっている米国債券ETFについてのお話です。
米国債券ETFの王道「BND」
米国債券ETFへ投資をするとなると、結構色々な種類の米国債券ETFがあるんですよね。短期債券が中心だったり、長期債券が中心だったり、短期も長期もバランスよく配分されていたりと、色々な種類の米国債券ETFがあります。
「どれに投資したらいいのだろう?」と本当に迷うぐらいです。なので、ここでは簡単にそれぞれの商品を紹介していきたいと思います。
まずは、債券への投資と聞くと、「安定していて値動きが少ない」というイメージがあると思います。
この安定して値動きが少ないというイメージに合致する米国債券ETFが「BND(バンガード米国トータル債券市場ETF)」です。
バランスよく短期・中期・長期の米国債(国債、公益、政府モーゲージ担保証券などを含めた政府系債券)で運用しているETFで、値動きは非常に少なく安定した動きをしている米国債券ETFです。
値動きは少ないですが、分配金(配当金)があり、コツコツとインカムゲイン(利息や配当などの収入)を狙っていくのに適しており、株式が下がる局面では上昇してくれるケースが多く、下がっていても下落率は非常に低いので安定感があります。
米国債券ETFでは最大の資金を集めており、米国債券ETFの王道といえば「BND」になるのではないでしょうか。
ちなみ余談ですが、「AGG」も「BND」と同じような米国債券ETFであり、運用会社が違うだけで、あとはほとんど「BND」と変らない感じです。
値動きを狙うなら長期債券
安定しているのが「BND」や「AGG」などのバランス型の米国債券ETFであるならば、株式と逆相関(株と逆の動きをする)が強く、債券の割には値動きが比較的激しいのが長期債券に投資をしている米国債券ETFです。
主に20年以上の米国長期債券に分散投資しているETFなどは、値動きが金利の動向に強く左右され、金利が上昇すると大きく下げますが、金利が低下していくと大きく上昇していく動きとなります。
債券でありながら値動き(キャピタルゲイン)を狙いつつ、インカムゲインも手に入れる事が出来るという投資先ですが、その分だけ当然リスクが高くなってしまいます。守りの為に取り入れる債券投資というよりも攻撃的に運用する債券投資といったイメージになります。
債券投資では、「デュレーション」という指標があります。債券を保有することによって利子および元本を受け取ることのできるまでの期間を加重平均したもののことで、簡単にいうと回収期間がどれくらいなのかという指標です。このデュレーションには、もう一つの意味があり、それはこの数値が高いほど金利に対する値動きが大きいという事になります。
例えば、安定している米国債券ETFの「BND」と20年以上の米国長期債券に投資している「EDV」のデュレーションを比較してみると、こんな感じです。
デュレーション
「BND」 6.2年
「EDV」 24.6年
全然違いますよね。「BND」は6.2年なのに対して「EDV」は24.6年となっており、4倍ぐらいの差が開いています。「EDV」は安定している「BND」と比べるとそのくらい値動きが大きく、リスクが大きい債券投資という事になります。
長期債券投資の比較
債券の値動きの基本は、「金利が上昇したら価格は下落して、金利が下落したら価格は上昇する」というものです。
現在の米国政策金利は高金利となっており、利上げが続いていましたがそろそろ利上げは終了する局面となっています。そして、今後は利下げが焦点となっていく事になります。
今後は金利が下がっていく可能性が高いのであれば、理論上では金利に対する値動きが大きい(デュレーションが大きい)長期債券ETFは値上がりする可能性が高いという事になります。
そこで、私は米国長期債券ETFに投資をする事にしたのですが、米国長期債券ETFも色々と種類があります。なので、ここでいくつかの米国長期債券ETFを比較してみようと思います。ちなみに、私が投資をしたのは、「EDV」と「TMF」です。
項目 | EDV | TLT | VGLT | TMF | 2621 |
---|---|---|---|---|---|
運用会社 | バンガード | ブラックロック | バンガード | ディレクション | ブラックロック |
経費率 | 0.06% | 0.15% | 0.04% | 1.00% | 0.14% |
運用対象 | 20年超割引債 | 20年超米国債 | 10年超米国債 | 3倍レバレッジ | 為替ヘッジあり |
分配利回り | 4.06% | 3.76% | 3.79% | 3.92% | 2.86% |
運用額 | 27億ドル | 443億ドル | 87億ドル | 32億ドル | 7億ドル |
デュレーション | 24.6年 | 25.2年 | 22.7年 | 25.9年 | 25.7年 |
どれもが基本的には、20年以上の米国債に投資するETFになりますが、「VGLT」だけが10年以上の米国債に投資するETFになるので、超長期の米国債に投資するETFという事であれば「VGLT」は選択肢から外れる事になります。
「TMF」は超長期米国債に投資しつつ、それに3倍のレバレッジをかけて運用する超攻撃的な商品になります。ハイリスク・ハイリターンな債券投資となります。
「2621」は日本で上場している米国債券ETFです。他のETFは米国市場(NY市場など)に上場しているので米国株式として購入しますが、「2621」は日本市場で購入するので円ベースで購入できます。為替ヘッジが付いているので為替ヘッジのコストは必要となりますが、その代わり為替変動リスクを軽減するので円高になっても円換算した時のダメージは軽減されます。
超長期米国債ETFで一番メジャーなのは、「TLT」になります。長期米国債ETFの中では運用額も一番多く、多くの人の選択肢に入るのが「TLT」だと思います。
私が選択した「EDV」は、「TLT]よりも経費率も低く、分配金も多いのですが、少しだけ値動きが大きく(リスクが高く)なります。現時点でのデュレーションでは、「EDV」よりも「TLT」の方が高いですが、普段は「EDV」の方が高いです。チャートなどで値動きなどをみていても、「EDV」の方が値動きが大きいと感じます。
長期金利は今がピークだとすれば今後は下がる一方なので、そうなると米国長期債券ETFの価格は上昇していくはずです。その際に、「TLT」よりも少しだけリターンが高い「EDV」の方が美味しいかなと思ったので、私は「EDV」を選んでみました。
それと、更にリターンを高める事が出来るので3倍レバレッジの「TMF」にも投資をしています。
為替ヘッジがある「2621」も検討したのですが、為替ヘッジのコストが必要となり、通常の場合、為替ヘッジのコストは米国と日本の短期金利の差となり、約4%ほど為替ヘッジのコストが掛かる事になります。これを超えるだけのリターンがあればいいのですが、為替の予測は難しいし、為替ヘッジのコストをカバーできるかどうかも分からないので、今回は選択しませんでした。
理論上は、今後は米国の金利が下がっていく事になるだろうから、円高に振れる事になるし、債券価格も上昇する事になるはずなので、為替ヘッジ付きの米国債券投資は理にかなっていると思います。ただ、自分で投資した事のない商品に過剰に自信過剰になるのもどうかと思ったので今回は控えておきました。
まとめ
米国長期債券ETFには、いくつか種類があります。どれに投資すればいいのかは個人の好みに任せるとして、私は「EDV」と「TMF」に投資をしました。
「EDV」が240万円分と、「TMF」が180万円分、投資をしています。
米国債券ETFにおいて、値動きが少なく安定した運用を目指すのであれば「BND」や「AGG」になるだろうし、リスクを取って攻撃的に運用するのであれば、超長期米国債券ETFになると思います。
超長期米国債券ETFの中でも、王道なのは「TLT」です。それよりも少しリスクを取って値動きを高めるのであれば「EDV」になるだろうし、もっとさらにリスクを取ってリターンを高めたければ3倍レバレッジを掛けている「TMF」になるだろうし、そこまでリスクを高めなくても円高を考慮して為替ヘッジは効かせておきたいのであれば「2621」になると思います。
各々のスタンスに合わせて、米国債券ETFを選んでいただければいいのではないかなと思います。
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