本題に入る前にお知らせです。
最近はブログを「火曜・木曜・土曜」の週3回更新にしていたのですが、また出来る限り毎日更新をしてみようかなと思って今週から毎日更新しています。ただ、基本的には「火曜・木曜・土曜」の更新で、残りの「月曜・水曜・金曜」は軽い内容で(少し短めに前日の相場の様子や出来事などを中心に)更新していこうかなと思っています。
ただし面倒になれば更新回数は減ってしまうかもしれませんが、とりあえずまた毎日更新に戻してみようと思っています。なので、皆さま、よければ毎日ご訪問いただければ嬉しいです。
それでは、本題に入りたいと思います。
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チャイナリスク。昔から言われ続けてきた言葉であり、特に中国株投資では頻繁に言われて続けてきた言葉でもあります。そんなチャイナリスクは、今では中国株だけでなく、日本株や米国株でも言われるようになり、中国経済に依存している企業・中国比率が高い企業はチャイナリスクと向き合う必要があります。
中国経済は商売的には魅力的なのだけどな
政治体制がちゃんと機能していれば、非常に良い市場なのだけどね
世界最大の米国経済を追いかけていく中国。そして、その中国に追い抜かれまいとする米国。この2国間の主導権争いは、時として政治問題に発展していき、政治・経済を巻き込んだ規制や制限に発展していきます。そして、それに伴って中国で経済活動をしている企業には何かしらのダメージが降りかかっていきます。
このように中国の政治・経済から一定の影響を受ける企業が沢山あるのですが、その中でも中国の影響を強く受ける代表的な米国企業と、一方で中国の影響を受けない米国企業のそれぞれについて、今回はお伝えしていこうと思います。
中国依存の高い企業のリスク
従来は、中国依存が高い企業は将来性が見込める企業とされている時期がありました。
豊富な人口は背景に、爆発的な消費力を行使する中国という市場は、各国の企業にとっては宝の山となり、多くの企業が中国市場へと進出していきました。
その爆発的な消費力は現在も企業にとっては重要な成長エンジンとなっており、企業戦略に大きく組み込んでいる企業が沢山あります。
また、消費力だけでなく、生産をも中国に依存している企業も多く、安価な人件費を元に安くて安定的な品質を提供できる中国は企業にとって重要な生産ラインでもありました。
ところが近年は、米中の経済摩擦や政治的懸念によって、中国へのリスクが高まっています。
貿易摩擦や経済戦争の影響によって輸出入の制限を米国・中国共に仕掛けてくることがあり、それによって企業の経済活動に大きな支障が出る事があります。
また、中国国家主席の習近平氏への権力集中による中国の独裁化によって、政治的判断による企業への強い規制や制限が課される可能性があり、これらも企業の活動を大きく損なう事になります。
そして、最大の懸念とされているのが中国による台湾侵攻です。中国が武力によって台湾を強制的に領土化する事があれば、中国に進出している企業や台湾経済に強く依存している企業は非常に強いダメージを受ける事になります。
アップル
中国依存が高く、経済的にも株式市場的にも影響力が強いとされている企業の1つが「アップル」です。
最近でも、中国当局が政府機関や国有企業に対してiPhoneを含めた外国製スマホの使用禁止を検討しているとの報道によりアップルの株価が下落しただけでなく、米国株式市場全体の下落へと波及する程の影響力がありました。
中国当局がアップルのiPhoneを名指ししたのは、米国依存を減らして中国製品の普及に努めたい思惑があり、中国企業のファーウェイが最新スマホの「Mate 60 Pro」でほとんどの部品を中国製品で作り上げた事によって、中国政府が自国の技術に自信を深めたという経緯があります。
アップルは、売上に対する中国の割合が約20%ほどあり、売上の高い比率で中国に依存しています。アップル製品の生産拠点の中国比率は35%あり、アップルは中国依存を減らすためにサプライヤー(製造企業)にベトナムやインドなどのアジアの国々への移転を徐々に推奨しています。
2025年までにはiPhoneの生産量の25%をインドで生産できるように取り組んでいます。アップルのiPhoneの世界生産量の70%を受け持っており台湾のEMS大手、鴻海(ホンハイ)の生産工場の大半は中国にあり、これらも中国依存を引き下げるためにインドなどへと分散している最中です。
テスラ
「テスラ」も中国依存が高い企業の1つです。
テスラは、販売・製造共に中国依存が強く、EV(電気自動車)の心臓部分である蓄電池の領域で中国企業に生産を依存している割合が40%あります。そして、テスラの売上の約20%を中国市場が占めている事から、テスラの事業において中国は最重要市場と位置付けられています。
テスラの生産工場は、上海・カルフォルニア・ベルリン・テキサスにありますが、上海工場の生産台数はテスラの生産台数全体の約60%を占めるほど大きな生産量を誇っており、上海工場なくしてテスラの生産は成り立たないほどの需要な生産拠点となっています。
そのため、テスラは中国当局と蜜月の関係を築いており、政府高官との関係性を重要視しています。
ナイキ
「ナイキ」も中国依存が高いとされる企業です。
ナイキの売上における中国の割合は約15%となっており、ナイキは中国でも人気の商品となっています。
中国でのNBA(米国バスケットボール・プロリーグ)の人気拡大によってナイキの売上は大きく上昇していったが、それに伴って中国依存が強くなってきています。
あまりにナイキが人気なので、中国のスポーツ用品ブランドであるリーニンやアンタなどは、ナイキのロゴを真似している言われているぐらい(ナイキのロゴをひっくり返したようなロゴとなっている)ナイキを意識していると考えられており、それほど中国市場においてナイキのブランド力・人気は高い水準となっています。
ナイキのロゴ
リーニンのロゴ
アンタのロゴ
エヌビディア
「エヌビディア」も中国依存が高い企業です。
エヌビディアの売上高における中国の割合は約20%となっており、中国市場はエヌビディアにとっても大切な市場です。
エヌビディアは世界最先端のGPUを販売しており、GPUは今後のAI開発や自動運転などあらゆる最先端技術に必要な製品であることから、世界の覇権を争う米国と中国における摩擦のやり玉にあがりやすい製品であり、非常にチャイナリスクが高い企業となります。
経済だけでなく、軍事面でも米国と中国は対立しており、先端技術は軍事面においても最重要であるため、GPUを使用した製品を使った最先端軍事機器の開発を阻止するために、米国がGPUの輸出停止を指示する事もありえます。
またエヌビディアのGPUの生産は、その大半を台湾セミコンダクターに依存しているため、もしも中国が台湾を侵攻するなどの暴挙に出た場合には、壊滅的なダメージを受ける可能性もあります。
スターバックスやキャタピラー
「スターバックス」や「キャタピラー」も中国依存が高い企業として有名です。
スターバックスは、売上の70%が米国からの売上である事から売上に対する影響は米国市場が一番強いので、中国からの影響は少なそうにみえるのですが、売上の15%は中国からの売上となっており、さらに今後は中国市場に力を入れていく事になっている事から、ますます中国依存が高まっていく企業です。
現在、スターバックスの中国における店舗数は6000店舗ほどなのですが、これを2025年までに9000店舗へと現状から3000店舗も急拡大させる計画となっています。
スターバックスも中国市場を今後の成長エンジンとして活用しようとしている企業の1つです。
そして、キャタピラーも中国経済に影響をうける企業の1つです。
建設機械メーカーとして世界最大規模を誇るキャタピラー。その世界シェアは25%もある業界のドンなのですが、そのキャタピラーも中国比率が約10%となっており、中国市場に影響を受ける企業となっています。
国土の広い中国は、まだまだ開発の余地があり、そこに建設機械メーカーとして食い込んでいく事は世界シェアトップを守る事によって重要である事から、キャタピラーは中国依存を強めていっています。
中国に依存しない企業
このように中国に対する依存を強めている企業がある一方で、中国に依存していない米国企業も存在します。
アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどの米国大手テック企業です。
世界中のネット環境を牛耳っている米国のテック大手企業ですが、中国の独特な政治体制によって中国では強制的に排除される対象となっており、中国では基本的に経済活動を行っていません。
特に、グーグルなどはグレート・ファイアウォール(金盾)という中国独自の検閲システムを組み込む必要がある事から、中国市場からは撤退しており、一切ノータッチとなっています。
アマゾンも中国市場からは撤退しており、唯一経済活動をしているマイクロソフトも、中国における売上比率は2%程度の軽微なため業績に大きな影響は与えません。
中国では米国大手テック企業が参入出来ない市場環境になっていたため、中国独自の企業が育っており、アリババ(EC企業・クラウド企業)やテンセント(ゲーム企業・クラウド企業)、百度(検索エンジン)、キングソフト(オフィスソフト)などが巨大企業となっており、中国だけでなく国際的にも大企業となっています。
まとめ
従来は、有望な経済市場と言われていた中国も、政治的な要因によってチャイナリスクとして、経済的にも大きなリスクを抱えた国として認識されるようになってきました。
投資する私達としては、各企業の成長性だけでなく、中国という市場にどれほど依存しているのかという点も考慮した上で投資を検討していく必要が出てきています。
アップルやテスラ・エヌビディアなどは、今後の成長性を期待されており、特にテスラやエヌビディアなどは新しいAI時代を迎えるにあたって新たなプラットフォーム企業となると期待されていますが、中国依存が高い事もあり、中国に何かしらの問題があれば、大きな影響を受ける可能性がある事は投資をする際には考慮しておかなければなりません。
突発的に起こる可能性のあるチャイナリスクを避けたいのであれば、アマゾンやマイクロソフト・グーグルなどの中国依存が低い企業へ投資をしていくなどの回避策を取る必要があると思います。
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