米国では高いインフレに苦しんでおり、インフレを抑えるために去年は政策金利を急激に引き上げていました。今年には金利の引き上げはストップしてインフレは落ち着くだろうという見通しが強かったのですが、最近は今年も引き上げが続くのではという憶測も出てきていますね。
米国だけでなく日本でもインフレがじわりじわりと忍び寄ってきていますよね。皆さんのご家庭の光熱費はどんな感じですか?
よしぞう家の電気代などは、去年よりも使用料は5%も減っているのに電気代は去年よりも25%ぐらい上がっていて少しびっくりしました。
食料品や日用品も値上げが続いているよね
デフレに慣れていたので値上げが続くと痛いですね
スーパーに卵を買いに行ったら、少し前までは100円台で買えていた物価の優等生の卵が278円だったのもに驚きました。
日本も米国もインフレに悩まされていますね。
さて、今回はそんなインフレなどに絡む雇用統計のお話です。
歴史的低水準の失業率
先日発表された雇用統計は力強い数字があがってきており、米国の労働市場は以前として強い状態が続いているようです。失業率は歴史的な水準となっており53年ぶりの低水準となっているみたいですね。
では、近年の失業率がどのぐらいの割合で移行していたのかをみてみましょう。
失業率
年度 | 失業率 | GDP成長率 |
---|---|---|
2017年度 | 4.1%~4.8% | +2.26% |
2018年度 | 3.7%~4.1% | +2.92% |
2019年度 | 3.5%~4.0% | +2.29% |
2020年度 | 3.5%~14.7%(コロナ発生) | -3.41% |
2021年度 | 3.9%~6.7% | +5.67% |
2022年度 | 3.5%~4.0% | +1.64% |
2023年度(1月のみ) | 3.4%(53年ぶりの低水準) | ーーー |
失業率は通常の状態でだいたい3%後半~4%前半ぐらいですね。それを考えると、失業率が3.4%という歴史的にも低い水準だったことは、まだ雇用の状況は悪化しておらず安定した収入を得ている人々が多い状態であり、失業率だけをみているとリセッションの足音すら響いていない感じがするという事になりますね。
失業率が上がっていけばリセッションに近づいているんだなという雰囲気も高まってきますが、これほど低いという事はまだまだ企業の人手不足が続いており、雇用は安定しており収入も確保されている状態になりますね。
非農業部門雇用者数も大幅な増加
非農業部門雇用者数に関しても、力強い状況が続いており、2023年1月の非農業部門雇用数は予測値が18万5000人だったのに対して、実績値は51万7000人と大幅に上振れています。
これに関しては季節的な要因などもあり、少しイレギュラーな感じだったみたいですが、それでも雇用は今のところは堅調であるという事には変わりないと思います。
非農業部門雇用者数
年月 | 予測値 | 実績値 |
---|---|---|
2022年09月 | 25.0万人 | 26.3万人 |
2022年10月 | 20.0万人 | 26.1万人 |
2022年11月 | 20.0万人 | 26.1万人 |
2022年12月 | 20.0万人 | 22.3万人 |
2023年01月 | 18.5万人 | 51.7万人 |
最近の非農業部門雇用者数は市場の予測値を上回る事が多かったのですが、今回に関しては想定以上に大きく上振れしており、非常に力強い雇用統計となっていましたね。
政策金利の動向
失業率や非農業部門雇用者数などの雇用統計が力強かった事もあり、リセッション(景気後退)への懸念は弱まってきた感じになっています。市場ではリセッションになるとの見通しが強かったため、今年中には政策金利を引き下げる事もあり得るだろうという認識も一部ではありました。それがリセッションが遠のくとなれば利下げが行われないまたは利下げの時期が先送りになるという事になります。
雇用が強く、景気も堅調であれば、インフレが収まらない要因となりかねません。インフレが収まらなければ当然ながら利下げするどころではなく、更に利上げを続けないといけないというジレンマに陥る可能性も出てくることになります。
当初では、今年度の政策金利は5.25%を上限にして利上げがストップして、年末までには利下げが始めるという見通しがあったのですが、それが変わってくるかもしれません。
今のフェデラルファンド先物(先物市場に上場されている米国の政策金利)をみてみると、このような見通しが有力となっています。
年度 | 政策金利 |
---|---|
2023年3月 | 5.00%(0.25%利上げ) |
2023年5月 | 5.25%(0.25%利上げ) |
2023年11月 | 5.50%(0.25%利上げ) |
2023年12月 | 5.75%(0.25%利上げ) |
この予測で行くと、年末に利下げが始めるどころか逆にまだまだ利上げが続いていく想定となっています。
ちなみに2023年12月は、5.75%に利上げする確率が33.1%、5.50%のままで据え置く確率が32.6%とほぼ同じ確率となっており、僅差で0.25%利上げする確率が上回っている状態となっています。
まとめ
インフレを抑えるためには、政策金利を引き上げないといけない事になってしまいます。今回の雇用統計がたまたま力強かっただけであればいいのですが、今後も引き続き雇用統計が力強い状態が続くと、金利の引き上げが当然ながら継続していく事になります。
今でさえ経済に悪影響を及ぼしているといわれているほどの高金利な状態から更に引き上げ続けないといけない状態になってしまうのであれば、株式市場への強い影響を与えかねない状態になってくると思います。
市場が想定しているのは5.25%程度までの金利引き上げであり、もしもこれを上回って金利の引き上げが続くのであれば株価へのダメージを大きいと感じます。
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