米国経済や米国株市場の手綱を握っているFRB議長。パウエル議長率いるFRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)を通じて米国の金利政策を一手に引き受け、経済指標やインフレ指標、労働指標などを考慮しながら金融政策を決定しています。

FRB(米連邦準備理事会)は経済の番人みたいだね



金利の動向によって今後の経済状況が変わってくるから重要だよね
基本的には、景気過熱時(インフレ時)には金利を引き上げて景気を冷やし(インフレを抑え)、不景気の時には金利を引き下げて経済の活性化を促すようにしており、その時々の経済状況やインフレ状況に応じて臨機応変に金利を上げ下げしています。
不景気になりつつある現在、トランプ大統領はインフレを警戒して金利引き下げに慎重なパウエルFRB議長に対して、「一刻も早く解任すべきだ」と発言し、政府中枢でもパウエル議長の解任を検討しているようです。
基本的には、FRBは政府とは独立した機関となっており、経済の安定に寄与するための金融政策を確保する為に、政権の政策などに左右される事がないように独立性が保持されています。
なので、基本的には大統領と言えども自由にFRB議長を解任する権限はありません。
ただ、「正当な理由」がある場合においては大統領が解任する事が出来ます。しかしながら、あくまでも「正当な理由」が必要であり、政策の不一致(金利を引き下げない)などでは解任の正当な理由とはならず、重大な職務怠慢、犯罪行為、または倫理違反などの明確な問題に限定されています。
それでも、とんでも理論をいきなりぶち上げる事のあるトランプ大統領なので、強引に解任する事はあるかもしれません。金利を引き下げない事で経済(株式市場)を混乱させたとして重大な職務怠慢にあたるなどと言い出すかもしれませんね。
もしもそうなった場合には法廷闘争に発展する可能性があり、解任の正当性を裁判にて争う事になるのですが、三権分立と中央銀行の独立性が重大な争点となり、裁判所も解任の正当性を承認する可能性は低いと考えられています。
なので、トランプ大統領が強引にパウエル議長を解任しても、政治的・経済的混乱を招くだけであり、結局は解任は違法との判決が出る事になる可能性が高いので、さすがにイエスマンが多いトランプ大統領の周辺でもパウエル議長を解任する事に対しては反対意見が出てくると思います。
ただ、経済が低迷したり株式市場が大きく下落したりすると、その責任をパウエルFRB議長に押し付けて、利下げをするように圧力を強く掛け続ける事はするでしょうね。「利下げをしないFRB議長は愚かだ」「景気が悪くなったのも、インフレになったもの、FRB議長が仕事をしないからだ」などなど、難癖をつけて利下げを強く促していくのだろうな。
第1次トランプ政権の時も、「パウエル議長を解任する」「利下げをしないから経済が悪くなるのだ」とパウエル議長を非難し続けて、結果としてパウエル議長は予防的利下げという形で利下げを実施する事になったので、今回も利下げを求めて圧力を掛け続ける事になると思います。
インフレの状況、経済の状況、関税による貿易戦争、そしてトランプ大統領からの圧力と、パウエル議長には様々な難局が降りかかっていますが、経済の番人としてFRBの職務をしっかりと守って、経済を上手く誘導して株式市場の上昇につなげて欲しいですよね。
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