大きく上昇したかと思えば、大きく下落したりと、市場のニュースに一喜一憂する相場が続いていますね。ボラティリティが大きい状態が続いており、10月から続いていた上昇基調が崩れつつあります。今後の目安はS&P500の直近の安値圏である3783ポイントを突き破る事があるのかどうかになってきています。
金融不安が高まれば、あっさりと抵抗線を抜いてくるかもしれませんね。
リーマンショックみたいになるのかな?
リーマンショックと今の金融不安を少し見比べてみましょうか
という事で、リーマンショックの頃の状況と今の金融不安の状況を少しだけ見比べてみようと思います。
リーマンショックの頃に倒産した銀行のレベルってどれぐらいなの?
リーマンショックの原因や経過を語りだすと、その前のサブプライムローン問題から語り始めなくてはならないので、かなり話が長くなってしまいます。なので、そのあたりは飛ばして、リーマンショックの象徴とされるリーマンブラザースの破綻がどのぐらいの規模だったのかを今回破綻したシリコンバレー銀行の規模と比較してみましょう。
今も投資家の中で最悪の大暴落とされているリーマンショック。そして、その時に倒産したリーマン・ブラザース。投資をしていれば、リーマンショックという言葉を皆が知っていると思いますが、ここ数年で投資を始めた方にとっては、リーマン・ブラザースと聞いても「大きな企業なのかな」と思うぐらいで、企業規模などはあまりピンと来ないかもしれませんよね。
リーマン・ブラザースは、大手投資銀行(兼大手証券会社)であり米国で第4位の名門投資銀行でした。破綻前まではトリプルAの格付けを保有していました。トリプルAの格付けを持っている企業は非常に少なく、アップルやマイクロソフト、J&Jなどの超優良企業の数社しかトリプルAを保有していません。
そんな優良企業でもあったリーマン・ブラザースが突然破たんします。米国史上最大の倒産と言われたリーマン・ブラザースがどのくらいの規模だったのかというと、資産総額は6130億ドル(81兆円)で従業員は2万5000人ほどいたそうです。まさに巨大金融機関だったのです。
今回破綻したシリコンバレー銀行がどのくらいの規模だったのかというと、資産総額は2090億ドル(27兆円)で従業員は4500人となっています。
企業名 | 資産総額 | 従業員数 |
---|---|---|
シリコンバレー銀行 | 2090億ドル | 約4500人 |
リーマン・ブラザース | 6130億ドル | 約2万5000人 |
単純に比較すると、リーマン・ブラザースの1/3ぐらいの規模という事になりますね。つまりはリーマンショックの時は、今回のシリコンバレー銀行の3倍の規模になる金融機関が破綻したという事になりますね。
今回の3倍のインパクトがあったというイメージになりますかね。
保護されているが救えるのかという不安
今、金融不安が高まって株価が下落基調になっているのは、他にも破綻する銀行が出てくるかもしれないという疑心暗鬼が起こしている不安心理ですよね。先行きが見通せない不安と、同じような原因で破綻する銀行が続いていくのではないかという懸念が引き起こしている安全資産への逃避行動です。
ただし、市場がパニックになっているという状態ではないです。なぜならば金融当局は破綻したシリコンバレー銀行への支援を行っており、預金は全額保護されます。また経営不安が高まっていたファースト・パブリック銀行に対しては大手民間銀行が支援を表明しています。
金融当局や大手銀行などは金融不安を和らげるために手を打っています。それでも、「他にも何か起こるのではないか」「支援しきれない状況になるのではないか」という先行きが見えない不安がリスクを取る姿勢を委縮させて、投資を回避する雰囲気になっていると言えます。
とはいえ、まだ規模の大きな金融機関に対して不安が高まっているという感じではなく、大暴落を引き起こすような感じではないです。
リーマンショックの時は更なる不安があった
リーマンショックと聞くとリーマン・ブラザースの破綻のイメージが大きいのですが、リーマンショックで株式市場が大きく下落した原因の1つはAIGの経営危機です。大きくて潰せない金融機関は政府が救済するという投資家の想定を覆してリーマン・ブラザースを救済せずに破綻させた事によって、経営危機にあった巨大金融機関のAIGも破綻してしまうという大きな不安がパニック暴落を後押ししていました。
AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)は、当時世界最大の保険会社であり、1兆1000億ドル(148兆円)以上の資産、従業員数10万人以上という巨大グローバル金融機関でした。
日本の保険会社で規模をイメージすると、「かんぽ生命」と「日本生命」が同時に破綻するようなものです。かんぽ生命と日本生命が同時に破綻なんかしたら大混乱ですよね。
企業名 | 資産総額 | 従業員数 |
---|---|---|
シリコンバレー銀行 | 2090億ドル | 4500人 |
リーマン・ブラザース | 6130億ドル | 2万5千人 |
日本生命 | 5800億ドル | 3万人 |
かんぽ生命 | 6800億ドル | 8000人 |
AIG | 1兆1000億ドル | 10万人 |
この巨大保険企業AIGは、まさに破綻寸前でした。政府が救済しなければ破綻は免れないのですが、リーマン・ブラザースを支援しなかったことでAIGの破綻が現実的なものになっていきました。株式市場は最大限の恐怖に包まれたのです。
結果として、AIGには政府の支援が入る事で破綻は免れたのですが、その後も株式市場の混乱と不安は続いていくのでした。
今回の不安はまだ高まっていない
今回のシリコンバレー銀行の破綻は、確かにそれなりの規模の銀行の破綻という大きな出来事であり、多方面への影響はあるけれども巨大銀行が破綻したという訳ではなく、預金の全額保護という政府の救済処置もある事から、不安感は高まっているとはいえ、大きな混乱と言うほどではないと感じます。
ただ、だからといって混乱が収まって株価が上昇していくというものでもないと思っています。
今後の焦点は、景気悪化に伴って、金利を簡単に引き下げる事が出来るのかという所になっていきます。
インフレが速やかに収縮していくのであれば良いのですが、なだらかに減少していく程度であれば利下げも緩やかに下げる事しか出来ません。インフレが停滞するようであれば、利下げすら困難で現状維持が精一杯の対応となる事もあり得ると思います。
そうなると、景気悪化の深度はドンドンと進み、企業業績の悪化が顕著となり、株価の大幅な下落へと繋がってしまいます。
景気悪化に伴い、インフレも解消していき、利下げもスムーズに行う事が出来る環境になるという楽観的な想定は難しいのではないだろうか。
- 景気悪化が思ったより深刻
- インフレが思ったより収まらない
- 利下げをスムーズに出来る環境ではない
これらのうち、どれか1つでも発生すると株価への下落圧力は強くなります。複合的に同時に発生するようであれば、何かしらの突発的な事態が起こる可能性が高まるなどのなかなか厄介な状況となってしまいますよね。
まだまだ、今後は予断を許さない展開になっていると感じます。
まとめ
急激に引き上げた利上げの影響は、突然降ってわいてきたように訪れます。
事前にそれが何なのかが分かればいいのですが、思ったところ以外に綻びが出来て、最初は小さかった穴があれよあれよと言う間に大きな穴へとなっていき、ボロボロと崩れていく事があるかもしれません。
今まで起きた○○ショックや○○暴落なども、だいたいは事前には想定していなかった出来事や想定していても軽く見ていた事が気が付けば大事になっていたようなものが多かったので、今はそれほど大したことではなくても、後からみれば「あの時が分岐点だった」と感じる事があるかもしれませんよね。
すでに逆イールドが発生して半年以上が経過しており、「2年債と10年債」・「3か月債と10年債」ともに金利差はITバブルの崩壊やリーマンショックの頃を上回る金利差になっており、景気後退の確率は非常に大きくなっています。
リーマンショックのような大暴落に至るには、まだ材料が足りないのですが、それでも一定の下落に対する警戒は保ちながら、注意深く経過を観察していく必要があると思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
突然のアメリカのシリコンバレー銀行の破たんにビックリしていますが、このままリーマンショックのような金融不安が起きる可能性が否定はできなくなったと思います。
ヨーロッパでも元々問題が盛り沢山であったクレディ・スイスの経営不安も発生しています。
現在、アメリカの中央銀行FRBから借り入れしている金融機関も借入金額が急増しているので、私たち日本人が思っている以上にアメリカの金融機関は経営状況が良くない可能性があり得ますね。
私が保有しているPRU(生命保険会社)ALL(損保会社)PFG(金融会社)もシリコンバレー銀行の破たん以降急落して損切りラインに達してしまったので、3月20日に損切りをしますが、思わぬ余波を受けてしまいました。
リーマンショックの時は、サブプライムローンが破たんしてからどんどん金融機関が破たんして1年以上経ってからリーマンショックが発生しました。
今回の金融不安も今後多少の金融機関の破たんがあったとしても本格的な金融不安に発生しなければいいのですが、どうなるかは全く読めない状況になってきました。
一寸先は闇ですね。
アメリカ政府の債務上限問題もありますし、今年は去年以上に難しいアメリカ株の状況になる可能性が高いと思います。
お互い、この難局を乗り越えましょう。
こんばんは、せいさん。
シリコンバレー銀行の破綻やシグネチャー銀行の破綻と相次ぐ銀行破綻やクレディスイスの破綻危機など、最近は突発的なイベントが盛りだくさんでしたね。
米国では破綻した銀行の預金は全額保護すると表明したり、スイス政府はクレディスイスへの支援を表明したりと、事態の鎮静化に動いていますが、それでうまく乗り越えれるのかは未知数ですよね。
今は耐えているものでも、時間が経てば時限爆弾のようにジリジリと限界が近づいていって、時間と共にトラブルが炸裂する危険性もありますよね。
まさに、先行きが不透明で、不安定な状況が今後も続いていきそうですね。
せいさんが仰るように、お互い無理をしない範囲で上手く乗り越えていきましょうね。