CPI(消費者物価指数)の発表がありましたね。
消費者物価指数は市場予測を上回る8.2%(市場予測は8.1%)でした。これを受けて取引開始直後の株価は大きく下がっていますね。
市場予測を上回る数値となっており、いまだに消費者物価指数は高い水準になっています。これは急に下がるものではないので、当面は高い水準が続くものと思われます。
一方で、利上げについては継続して大きく引き上げる事が濃厚であり、今後も金利は上昇していきます。
景気の上昇と共に徐々に金利が上がっていくのであれば問題ないと思うのですが、急激な金利の上昇は景気に大きなブレーキをかけ、しかも景気が減速した際にはインフレが継続していれば利下げを行う事が困難な現状においては、非常に困った状況に追い込まれていくと思います。
基本的な利上げの対応
景気が強くなり過ぎると、FRBは利上げをして景気を冷ます事をします。
最近で言えば、リーマンショックから景気が回復してきたという事で、2015年には金利を引き上げます。景気が順調に伸びてきたという事もあり、その後も金利を少しずつ引き上げていきます。
景気が伸びるままに任せていると景気が行き過ぎて(調子に乗り過ぎて)バブルを誘発する可能性が高まっていきます。景気がいいのは良い事ですが、それがバブルになるのは非常に困る事です。後々の悪影響が大きすぎるのでバブルにならないように景気が高まり過ぎていくと景気をワザと減速させるために利上げを行います。
ところが2018年頃から景気がそろそろ減速するのではないか(景気の頂点に達してきたのではないか)という懸念が持ち上がり、株価も大きく下がる局面がありました。
そこで、FRBは2019年になると、景気の減速を食い止めるために金利の引き下げを行います(まあ、トランプ氏による強い圧力があったから利下げをしたという副要因もあるけどね)。
利下げによって景気が持ち直すと判断された事により、株式市場の再び上昇をする事となります。
このように、景気が良くなってくると利上げをして景気が行き過ぎるのを抑制して、景気のスピードをコントロールし、景気が悪くなってくる(減速する)と利下げを行って景気の下支えをする事になります。
今回の利上げは、景気が良いからドンドンと利上げをして景気を冷ますというのではなく、インフレが強くなり過ぎてインフレを抑えるために利上げをしてインフレを冷ましていくというために利上げを行っています。
これは普段の景気上昇時の金利のサイクルとは違う形となります。
今回の利上げ
今回の利上げは急速に金利を何度も引き上げています。それは、インフレが収まらないからですよね。
消費者物価指数(CPI)は高い水準を保っており、FRBが目指す2%台には程遠い水準です。
従来であれば、利上げをやり過ぎて景気が落ち込むようであれば、利上げを中止して逆に利下げをすればいいのですが、今回は簡単には利下げが出来ない可能性があります。
景気が悪くなってきてもインフレを放置するわけにはいかないFRBはインフレが低下していかないうちは利下げに踏み込めないかもしれません。
中途半端にインフレを放置してしまうと、結果として「インフレも収まらない」「景気も悪化している」という最悪の事態に突入してしまうかもしれないからです。
スダグフレーションの出現ですよね。
経済や株式市場にとって、最悪のボスキャラであるスダグフレーションが出てくれば、まさに暗黒時代の到来となってしまいます。
それだけは避けたいFRBは、インフレを全力で叩くことにコミットするだろうと思います。ゆえに、「景気を犠牲にしても物価高を定着させない(インフレを叩く)」というジャクソンホールの時のパウエルFRB議長の強い発言へと繋がっていく事になります。
インフレが続く限りは利上げは続いていきます。
急激に引き上げた利上げの影響が現れてくるのはこれからです。金利を大きく引き上げたからといって即時に何かしらの影響が起こるわけではないです。影響が出るのは暫く経ってからです。近年まれにみる強く大きな急速利上げを行った代償は何かしらの予期せぬトラブルを招く可能性が高まってしまいます。
そして、今回は大きく引き上げた金利を急に引き下げる事が難しいです。
普段であれば、何かしらの経済トラブルが起これば大幅利下げを行って、一気に経済を支える事をするのですが、今回はリーマンショックやコロナショックの時のような大規模な大幅利下げが困難な状況にある事から、利下げを行ってとしても中途半端な対応しかできない可能性の方が高くなります。
そうなると不測の事態になってもグダグダな状態に終始する可能性が高まってくるという事になります。
投資は確率論でもある
投資は、確率論に近いものがあります。
未来を予測する事は不可能であり、あらゆる事態が起こる可能性があります。それはグッドケースの場合もあるし、バッドケースの場合もあると思います。
私達投資家は、どの程度の確率で物事が起こるのかを自分なりに判断して、自分の資産とリスク許容度などを考慮しながら対応を検討する必要があります。
今後、景気が悪化するなどの株価によくない事が起こる確率が高いと判断するならば、リスクが高まる事は避けて、あえてリターンを狙う必要もなく、無難な対応を行うという事も最善な手の1つであると思います。
あくまで、確率や可能性の問題なので、どっちに転ぶのかは実際にその場になってみないと分かりません。でも、分からないなりに自分の判断で投資を続けていくことで自分の投資感や投資の軸が養われていくのだと思います。
とりあえず、私の判断では急速に引き上げた金利は経済に悪影響を及ぼす可能性が高く、景気後退や企業の業績悪化は避けられないと思います。
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