中国がエヌビディアに対して2020年にネットワーク機器メーカーであるメラノックス・テクノロジーズを買収した事を独占禁止法であると判断したようです。また、中国はエヌビディアの製品(H20)を購入しないように中国企業に通達を出したようです。これにより中国企業はエヌビディア製品の納入を取りやめているみたいですね。これらの報道を受けて、エヌビディアの株価は下落していました。

中国はエヌビディアへの圧力を強めているみたいだね



今では米中の政治的な問題も絡まって複雑化しているよね
エヌビディアは、世界中の企業が AIサービスを構築・運用するために不可欠な半導体において、圧倒的なシェアを占めており、AI半導体市場ではほぼ独占状態となっています。エヌビディアの製品(GPU)が高性能すぎて他に代替えが効かない状態となっているので、必然的にエヌビディアの製品を買うしかない状態です。
圧倒的なシェアを占めており、市場を独占しているからといって、それだけで独占禁止法が適用されるという訳ではないです。商品(製品)が優秀であるから市場を独占する状態になっているというだけであれば問題なのですが、その状態を利用して他社に圧力を掛けたり、有利な状態を作り出したりすると独占禁止法に触れてしまう事になります。
この辺りが微妙な所でもあり、悪い言い方をすれば「言いがかりをつければ独占禁止法を適用する事が出来る」という感じにもなります。
今回のエヌビディアにおけるネットワーク機器メーカーであるメラノックス・テクノロジーズを買収についても、この企業を買収する事で競合相手の参入を阻害する要因となり、市場支配力を意図的に強化したと判断されると企業結合規制(競争規制のおそれ)となり、企業買収による競争排除であると判断されて独占禁止法が適用されるという可能性に繋がっていきます。
そもそも、メラノックス・テクノロジーズの買収については、いったん2020年に中国は承認しています。ただ、承認する際に、欧米は早々と独占禁止法に触れないという事で買収に承認していたのですが、中国は1年近く独占禁止法に該当するかの判断を引き延ばし、他国の判断から大幅に遅れて買収を承認(ただし条件付きだったみたいですが)しています。
今回、その買収について違反があったと認定したようです。ただ、その違反に対してエヌビディアにどのような是正処置をとるのか(罰金なのか、それとも業務的な制限を掛けるのか)は明らかにしておらず、さらに調査を継続するといった立場を取っています。
中国は政治的な判断で独占禁止法を適用する事があります。過去には米中貿易戦争が激化しているという事で、クアルコムがオランダのNXPセミコンダクターズを買収しようとした事に対して、欧米各国が承認していたにも関わらず反対して独占禁止法を適用して買収を阻止しました。
今回のエヌビディアに対する独占禁止法の適用もトランプ政権による関税問題がある事から、その対向処置のような感じで捉えられています。エヌビディアの製品を完全に排除するという事は中国にとっても困る(エヌビディアのような高性能な半導体を中国だけでは作れない)ので、エヌビディアに対して必要以上に過度な強い態度や制裁を科すことはないのではないかなと思います。
なので、独占禁止法に対しては罰金ぐらいは取られるかもしれないけど、その程度だと思います。現在通知されているエヌビディア製品の購入停止についても、米中の関税問題が解決すれば、エヌビディアへの制裁的な処置も解除されると思うので、独占禁止法違反の判断や購入中止の判断自体が覆るかもしれませんね。
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