米国株は今後下落相場になる可能性が高まる。

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昨日(2月13日)、消費者物価指数(CPI)が発表されていました。市場の予想を上回る結果となっており、この結果によって長期金利は大きく上昇して4.3%台に乗せ、ドル円相場は円安に振れて1ドル150円台後半となっていました。

思うようにインフレは下がらないね

インフレが再燃したら大変ですよね

消費者物価指数の結果を受けて、米国株市場は大きく下落をしており、2月13日はダウ平均株価が1.3%下落、S&P500も1.3%下落、ナスダックは1.8%の下落と3指数とも約1年ぶりとなる大きな下落幅となっていました。

消費者物価指数の予想外の上昇によって、今後の米国株相場も苦しい展開になるかもしれませんね。

消費者物価指数は、市場予想が2.9%増加を上回る3.1%増加となっており、コア消費者物価指数も市場予想の3.7%増加と上回る3.9%の増加となっていました。FRBやエコノミストは、コア消費者物価指数の方を基調的なインフレの指標として重視しています。

消費者物価指数
前年比 3.1%増加(市場予想:2.9%増加) 
前月比 0.3%増加(市場予想:0.2%増加) 
コア消費者物価指数
前年比 3.9%増加(市場予想:3.7%増加)
前月比 0.4%増加(市場予想:0.3%増加)

順調に下げていくと想定されていたコア消費者物価指数は、市場予想を上回る状態となっており、前月と変わらない増加率となり減速が停滞しています。先月も、市場予想の3.8%増加を上回る3.9%増加となっていた事から、市場の想定よりもインフレは落ちていない状態が続いている事になります。やはり、インフレは一直線に落ちていくわけではなく、インフレを落ち着かせるのは簡単ではないようですね。

もしも、インフレが再加速する兆候が現れれば、終了したと思われていた利上げを再開させる議論が再燃する可能性がある事から、一部の米国金融当局者は利下げに踏み切る前に、より広範囲な物価上昇の後退を確認したい考えを示しています。今回の結果は、早期利下げ観測にとどめを刺す結果となっており、早期利下げ観測は急速に低下しています。

消費者物価指数が市場予想を上回った事を受けて、インフレの再燃を懸念して利下げの時期が遅れるという想定が高まっており、3月の利下げ確率は急激に低下して、一桁台となっている事から3月に利下げが行われる可能性はほぼなくなっています。また、次の5月の利下げについても、利下げ確率は30%程度となっており、大多数は5月も現状維持を見込んでおり、利下げの時期は最短でも6月が濃厚となっています。

市場予測では、早期の利下げを想定していた為に、当初は今年は年間6回の利下げを想定していました。ところが、FRBは従来から年3回程度の利下げを主張しており、市場の想定とFRBの想定には乖離がありました。それが、好調な米国経済の状況を受けて、市場の想定は年5回の利下げに下方修正していたのですが、今回の結果を受けて、市場の想定は更に減少して年4回の利下げ想定となっています。徐々にFRBの想定に近づいてきていますね。

利上げの時期は、徐々に後ろ倒しとなっており、その分だけ現状の高い政策金利が続いていく事になります。高い政策金利は経済へじわりじわりとダメージを与えていきます。積み重なったダメージが続いていくと、景気への悪影響が懸念されていきます。最近は、ノーランディング(景気の後退が起こらずに経過する)という想定も持ち上がっていたのですが、それもかき消されそうですね。

特に、最近話題になっている商業用不動産市場においては高金利の状態をいち早く解消して欲しいと願っているセクターです。高金利が続く事によって不動産ローン金利が高止まりしたままであり、金利負担に耐えれない企業や個人による不良債権が加速する可能性があります。

中小銀行や地方銀行の中には商業用不動産融資に力を入れている所もあり、そういった銀行は高金利が続くと融資が焦げて不良債権が増えていき、それが多発すると体力が持たずに倒産するところが出てくるかもしれません。先月に、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープや日本のあおぞら銀行が暴落したのも、こういった商業用不動産融資の焦げ付きによって損失が拡大したのが原因でした。

商業用不動産融資が多い銀行は、今は出血が止まらない状態だと思います。早く利下げをして止血して欲しいのですが、それが先延ばしになるほどに出血量は増えていき、高金利が続くと出血多量で資金不足となり体力の弱い地方銀行などは倒産する可能性が出てきてしまいます。倒産が連鎖すると、去年の3月にシリコンバレー銀行が破綻した時のような銀行不安が再燃するかもしれません。

米国株は、早期利下げを想定して上昇傾向にありました。長期金利も順調に下がっており、長期金利の低下と共に株式市場の割安感も高まり、そこにAIブームも重なって米国株市場は強気一辺倒な雰囲気となっていました。

企業の業績が下がらないのであれば、上がっていた株価も正当化されますが、景気の後退によって業績が悪化するようであれば、上昇していた株式市場は雪崩を打ったように沈んで行ってしまう可能性があります。

FRBが2%のインフレ目標を達成するという魔法のような想定は予想されていたより困難となり、高金利の状態が市場が想定していたよりも長期にわたって続くことになりそうです。現時点での利下げの開始時期は6月が最有力視されていますが、これが更に遅れるようであれば警戒レベルを引き上げる必要があるかもしれません。

インフレ(物価)の状況米国経済の状況そして利下げの時期、これらに注目しながら米国株の動向を見守っていきたいと思います。

   

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