強い雇用統計などが続いており、景気はまだ好調を維持しているみたいですね。それでも今年中に景気後退に陥るという懸念はまだ強く、株式市場も不安定な日々が続いています。ハイテク企業を中心として景気後退へ向けて人員削減を急いでおり、大手テック企業はすでに人員削減に着手しています。
まだ景気の腰折れはしておらず、暫くは景気悪化にはならないとは思いますが、いずれ景気悪化へと進んで行く可能性は高いのではないかなと考えています。
ノーランディングで着地してほしいよね
そうですね。せめてソフトランディングにして欲しいよね
金利が大きく引き上げられているので景気の失速が引き起こされる可能性は高いと感じますが、最小限の景気減速に留めて欲しいですよね。
さて、景気だけでなく長期的な王者に君臨していた企業でさえも急に失速する事もあります。今回はそんな企業のお話です。
王者インテルの減配
長らくパソコン市場において王者として君臨していた企業にインテルがあります。皆さんもよくご存知の企業だと思います。
特に私達の世代では「インテル、入っている!」というCMのイメージが強く残っており、パソコンの半導体と言えばインテルが当たり前という時代が長らく続いていました。
そんな王者インテルが近年では非常に苦しんでおり、先日はついに大幅な減配の発表がありましたね。
インテルは、四半期配当を1株当たり0.125ドルに引き下げました。これは、前回の配当と比べると66%も減額しており、実に16年ぶりの低水準になっています。この発表の際には大規模な設備投資も控えるとの発表もありました。
2020年7月には、半導体業界において30年間も守り続けた時価総額トップの座をエヌビディアに奪われるなど、インテルの低迷が続いています。
業績も伸び悩んでおり、売上や利益は伸び悩んでいます。
インテルの業績
インテル | 売上 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年 | 708億4800万ドル | 233億4400万ドル | 210億5300万ドル |
2019年 | 719億6500万ドル(+1.5%) | 224億2800万ドル(-3.9%) | 210億4800万ドル(-0.1%) |
2020年 | 778億6700万ドル(+8.2%) | 238億7600万ドル(+6.4%) | 208億9900万ドル(-0.1%) |
2021年 | 790億2400万ドル(+1.4%) | 220億8200万ドル(-7.5%) | 198億6800万ドル(-4.9%) |
2022年 | 630億5400万ドル(-20.2%) | 23億3600万ドル(-89.4%) | 80億1700万ドル(-59.6%) |
売上の伸び悩みと共に利益も減少を続けており、苦しい展開が続いています。かつては最先端の半導体といえばインテルが製造していたのですが、今ではTSMCやエヌビディアにその地位を奪われており、半導体の王者の風格は崩れ去りつつあります。
株価も大きく下落をしており、ライバルとエヌビディアと比べると反発出来ていない弱さが際立ちます。
インテル株価(2018年~2023年)
エヌビディア株価(2018年~2023年)
株価も下落を続けており、時価総額が逆転して以降もエヌビディアとの差は広がっており、かつては時価総額トップ10の常連だったインテルの面影がなくなりつつあります。
安定的に増配を続けてきた配当さえ減配に陥るほどの苦境に立たされている現状となっています。
かつては時代を席巻してきた企業
インテルと同じようにかつては時代をリードして世界を引っ張ってきた企業があります。絶対王者と呼ばれていた企業なども気が付けば坂を転がるかのように転落していき、新興企業に王者の座を奪われてしまう事があります。
かつて、IBMは世界のIT企業をリードする絶対王者として君臨していました。時価総額トップ10の常連企業であり、パソコンが普及してきた現代においてITシステム導入・運用管理・アウトソーシングなどのあらゆる局面でビジネスコンサルティングを行うIBMは長期的に絶対王者として君臨していくと言われていました。
企業が高度なITシステムを導入する際にはIBMは欠かせない企業として考えられており、長らく安泰だと思われていました。
それが今では立場が逆転してかつての存在感は消え失せ、アマゾンやマイクロソフトなどの企業に追い抜かれ、時代に取り残されまいと必死に食らいついています。巨艦IBMは時代の変化への対応を迅速にとる事が出来ずに、ズルズルと後退していったのです。
IBMの株価(1990年~2010年)
パソコンの普及と共に大きく成長していったIBMの株価は、2000年ごろから低迷を始めていき、その後は10年近くも伸び悩んでいく事になります。配当を出す企業だったのでまだマシでしたが、その当時の王者であるIBMを保有していても、報われることなく長期間の株価低迷に付き合う羽目になってしまうのです。
「永遠の不発弾(※株価が上がらないという意味)」という有難くないニックネームを頂戴する程になっていますよね。
現在の絶対王者
現在において、絶対王者として君臨している企業と言えば、アップルやグーグル、アマゾン、マイクロソフトなどになりますよね。これらの企業は超大型IT企業としてプラットホームを抑えており、長期的に安定して成長していくと言われています。
グーグルの検索エンジンやマップ、メールなどは誰もが使用しており、今後も継続して使用していく事になると言われており、アマゾンのネット通販は世界中の人々が今後も更に利用していく事で今以上に拡大していくと言われており、クラウド事業においても、企業の導入が加速していく事で安定した成長が続くと言われています。
マイクロソフトも安定したオフィスソフトに守られて今後も継続した成長が約束されており、近年は新しく力を入れているクラウドの成長性がマイクロソフトの安定性に大きく寄与すると予測されています。
今の私達の生活を考えながら現代の絶対王者をみていると、今後10年以上は安泰な気がしますが、長期的に成長する事が間違いないと思い込んでいると、時代の流れについていけずに株価の低迷に巻き込まれる事があるかもしれません。
IBMやインテル、または長き時代に渡って世界のトップ企業として君臨していた巨大コングロマリット企業GE(ゼネラル・エレクトリック)なども、かつては絶対王者として君臨しており、転落する時代が来るとは想像できていませんでした。
現代の絶対王者であるアップルやグーグル・アマゾン・マイクロソフトも、いつかは失速して次世代の企業にバトンタッチをする事があるかもしれないという事は頭の片隅にいれながら投資を続けていく必要があるという事を、インテルが大幅な減配をして苦しんでいる姿を見ながら感じています。
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