アリババの株価と業績の乖離

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サッカーのワールドカップが開催されましたね。

今までは、仕事の都合で見れなかったり、深夜や早朝の試合をみて激しい眠気に襲われながら仕事をしたりしていましたが、自由な時間を過ごしている今は好きなだけワールドカップが見れる事が幸せだなと思います。こんなにガッツリとワールドカップを観戦できるのって学生時代以来です。

グループステージ(1次リーグ)から、「ドイツ×スペイン」のような楽しみな試合があったりと今からワクワクしています。もちろん、日本戦も全てリアルタイムに観戦できるのが非常に嬉しいです。

日本を応援しつつ、本気でハイレベルな試合を堪能したいと思います。

さて、話を投資に戻して・・・今回はアリババについて。

目次

NY市場に上場した時のアリババ

アリババがNY市場に上場したのは、2014年9月19日。この時は、中国株をやっていた投資家だけでなく、多くの投資家にも注目される事となり、普通のニュースにもアリババがニューヨーク市場に上場した事が報道されたほどの大きな出来事でした。

その当時の世界最大のIPOとなり史上最大の資金調達規模(2兆7000億円)となっていました。公募価格は上方修正された予想数値の上限である68ドルと決定して、投資家達の引き合いの強さが認識されました。

上場初日の終値は、93ドルとなっており公募価格の約40%上昇となっていました。大型案件のIPOとしては上々の滑り出しだったと思います。上場した初日の終値において時価総額はすでに米国IT企業と肩を並べるほどの規模になっており、アマゾンやフェイスブックよりも時価総額が大きかったことを考えると、投資家の期待値の高さが分かると思います。

ちなみに、私も上場初日にアリババの株を98ドルで購入していました。

ん?終値よりだいぶ高いよね??

初日の最高値付近で掴んだw

この頃は、まだほとんどの証券会社で米国株に対する特定口座での対応は導入されておらず、一般口座での購入となっていました。なので私が購入したアリババも一般口座に入庫されました。アリババが上場した2014年9月から3か月ほど経った2014年12月から私の利用している証券会社では米国株での特定口座利用が導入されました。

あの当時は、まだまだ外国株への投資は敷居が高い時代だったんですよね。

アリババの上場初日の株価と現在の株価

現在のアリババの株価は過去の最高値から考えると非常に大きく下落しています。2年前の2020年10月17日の317.14ドル(NY市場)が最高値ですが現在の株価は80.48ドルと75%も下落している水準です。

さて、アリババがニューヨーク市場に上場したのは8年前の2014年9月19日。上場初日の終値は93.89ドルでした。

8年経過した今の株価が80.48ドルなので、上場初日の株価よりも下の水準になっているという状態です。

上場した8年前と現在の売上や営業利益を比較すると大きく成長しています。

時期売上営業利益
2014年7月~9月168億2900万元43億4500万元
2022年7月~9月2071億7600万元251億3700万元

上場した8年前と現在の売上と営業利益の比較では、売上は12倍、営業利益は5.7倍になっています。

それでも株価は8年前の上場時よりも下回っている状態です。カンファレンスコールでも8年間で中国のGDPは2倍になっただけであるがアリババは12倍に成長しているとアリババの経営陣は言っていましたが、確かに売り上げなどをみていると充分な結果を出していると感じます。

にも関わらず株価が非常に軟調なのは、やはり昨今の中国当局による規制強化の影響が非常に色濃く反映されている結果ですよね。最近では習近平氏に権力が集中している事から、経済や企業の行く末は習近平氏の鶴の一声しだいであり、どう転ぶか分からないという不確定要素が強く影響していますよね。

上場時の通期決算と現在の通期決算

四半期の決算だと業績のブレがあるかもしれないので、通期の決算(1年間の決算)でアリババの業績を確認してみましょう。

年度売上営業利益純利益PER
2014年度
上場前の通期決算
525億0400万元249億2000万元230億7600万元52倍
2015年度
上場後最初の通期決算
762億0400万元231億3500万元241億4900万元21倍
2022年度
最新四半期4回分の合計
8593億6300万元783億6500万元30億4500万元112倍

こうやってみると、売上は大きく伸びているけど、それに比較すると営業利益の伸びは少なくなっていますね。純利益にいたっては大きく減っていますからね。純利益が減少してる大きな要因はのれんの減損や投資収益の減少によって赤字計上の時があるから純利益は大きく減っていますね。

投資収入の減少などは一時的な影響なのかもしれませんが、中国当局の規制や締め付けが今後も続く事になるのであれば投資収入などは改善しないかもしれないので利益への影響は一定水準で発生するかもしれませんね。

上記の表に記載しているPERはその時点での業績に対するPERなので、予想PERで確認してみましょう。

「各年度ごとの通期決算発表時点の次年度予想PER」

  • 2015年度決算時点 予想PER28倍
  • 2016年度決算時点 予想PER20倍
  • 2017年度決算時点 予想PER26倍
  • 2018年度決算時点 予想PER20倍
  • 2019年度決算時点 予想PER24倍
  • 2020年度決算時点 予想PER17倍
  • 2021年度決算時点 予想PER11倍
  • 2022年現在の時点 予想PER10倍

こうやってみると、アリババは翌年の業績に対して、予想PER20倍ぐらいでだいたい取引されていた感じですね。これが2021年頃から大きく低下していきます。

中国当局が強い規制を発動した頃からアリババの期待値は大きく落ちていますね。

まとめ

確かにアリババは上場から考えると大きく成長しています。ただ、収益性に関しては中国当局の規制強化や締め付けなどが影響して近年は非常に厳しくなっています。今後もこの傾向が続くのであれば収益性は伸び悩むのかもしれませんね。

売り上げなどの伸びだけをみていると、上場の時の株価よりも現在の株価の方が安くなっているのは非常に不思議な感じがするのですが、あの頃のような成長性や期待感はなくなってきているということですね。

売上や利益が二桁成長するのが当たり前の高成長銘柄だったのが、今では売上の伸びも一桁台に落ち込んでおり、収益性も劣化している事が期待値を押し下げています。

そして何よりも一番問題なのは、信用不安ですよね。

中国政府の動向や中国当局の規制の状況によって売上や利益が大きく損なわれる事になりかねない事からリスクを取る投資家が敬遠している状態となっています。

それは予想PERにもはっきりと表れていて、アントが上場中止になった2020年の後半ぐらいから期待値は落ちてきており、不用意にリスクを取りにいかなくなってきているということです。

業績だけをみていると、上場の頃と株価が変わらないのはおかしい感じがするのですが、需要と供給という面から考えると信用不安が大きいアリババはリターンを取り逃がしたとしても安易に手を出さないようにリスク管理をしている投資家が多いという事なのでしょうね。

新体制になった習近平氏が規制を緩めるような対応をすれば、アリババは急上昇する可能性が高いと思いますが、そうなったとしても高いリスクが払拭されたわけではない状態なので、過度に期待せずに現状の評価が通常の状態だと思いながら保有するのがいいのかなと思います。

  

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