新NISAも始まり、投資に興味を持つ人が増えてきましたね。そんな中で手軽に始められて、100円から購入できる投資信託が人気の投資先となっているようです。インデックス投資などの投資信託であれば、安定的な運用ができますよね。
手軽に投資が出来る投資信託は有難いよね
信託報酬(運用管理費用)も低くなって、良い商品も増えましたよね
新NISAによって、国民総投資時代へと突入した日本。人気が高まっている投資信託へも各社が新しい商品を投入して新規顧客の開拓を行いながら激しい競争を続けています。健全な競争は私達投資家にとっては良いですよね。
さて、投資信託の中で一番人気となっているのが「eMAXIS Slimシリーズ」の投資信託ですよね。「eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)」や「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は他を圧倒する勢いとなっていますね。
そんな「eMAXIS Slimシリーズ」の独走に待ったと声を掛けたのが楽天証券です。
楽天証券から新しく販売されたインデックスファンドの「楽天プラス」シリーズは「eMAXIS Slim」のオルカンやS&P500をターゲットとしており「eMAXIS Slim」に追いつけ追い越せといった感じで最近は販売金額を増やしてきています。
今回は、楽天証券が新しく設定・販売している「楽天プラス」シリーズの中から、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と、投資家にも大人気の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のどちらがいいのか比べてみましょう。
「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「 eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、基本的には同じような商品となります。共にS&P500に連動する様に作られているので、あまりパフォーマンスに大きな違いが出る事はないと考えられます。
さて、投資信託を購入する際に、どの投資信託を選べばいいのかの基準の1つとして、信託報酬(運用管理費用)が安い方を選ぶというセオリーがあります。信託報酬は毎年必要となる経費であり、購入した投資家が毎年支払う必要があるので出来るだけ安い方がいいですよね。塵も積もれば山となるといった感じです。では、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬を比べてみましょう。
商品名 | 信託報酬(運用管理費用) |
---|---|
楽天・S&P500インデックス・ファンド | 0.077% |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.09372% |
このようになっています。「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬を比較すると、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の方が低いです。これだけをみると、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」がいいのかなという事になります。
でも、私は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の方をお勧めするかな。では、もう少し細かく両方を確認していきましょう。
「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬を、実際の金額でみてみましょう。
商品名 | 年数 | 運用金額 | 信託報酬 |
---|---|---|---|
楽天・S&P500インデックス・ファンド | 1年 | 100万円 | 770円 |
20年 | 100万円 | 15,400円 | |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 1年 | 100万円 | 932円 |
20年 | 100万円 | 18,640円 |
1年間で信託報酬による差は、100万円を運用していた場合は、162円です。20年間の長期間運用を続けたとしても、3,240円なので、このぐらいの金額の差であれば誤差の範囲内かなと感じます。
ただ、差が小さといっても「塵も積もれば山となる」というように、基本的には少しでも信託報酬が低い投資信託を選ぶのがセオリーです。そういった観点からすれば、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」が有利と言う事になります。
それと、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の場合は、保有しているだけで楽天ポイントがもらえます。「楽天・S&P500インデックス・ファンド」は楽天証券が作った商品なので、楽天証券としてはこれを強く推したいので特別にこの商品を保有していると楽天ポイントがもらえます。
ポイント還元率(年間)は、0.028%となっています。
ポイント還元率 | 100万円運用 | 1000万円運用 |
---|---|---|
0.028% | 280ポイント | 2800ポイント |
100万円運用していると1年間で280ポイント、1000万円運用していると1年間で2800ポイントが貰えます。
楽天ポイントが貰える事などを考慮すると、断然「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の方がお得になっていきますよね。
でも、私は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」をお勧めしてます。では、なぜ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の方をお勧めしているのでしょうか?
まずは、ポイント還元についてですが、ポイント還元についてはお客様を集める為に行う施策であり、客寄せパンダなのでいずれは改悪される可能性が高いです。
楽天証券で過去の行われていたポイント還元では、どんな投資信託を保有していても、投資信託を保有しているだけで毎月全員ポイントが貰えていました。この施策は、口座開設者がだいぶ増えてきたので現在は行っていません。(現在は、新規購入時のみにポイントが貰えるようになっています。)
つまり、ポイント還元制度はあくまでも客寄せに過ぎず、いずれは変更される可能性が高いのです。一定のお客様が集まれば、ポイント還元率を下げるか、もしくはポイント還元自体がなくなる可能性もあります。
あくまでも、ポイント還元についてはオマケと捉えて考えていく必要があると思います。
さて、ポイント還元の制度を除いたとしても、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の方が信託報酬が安いです。でも、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の方を推しているのには訳があります。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、昔から販売されており(2018年に販売開始)、信用と実績があります。一方で「楽天・S&P500インデックス・ファンド」は2023年10月に販売されたばかりの新しい投資信託です。なので、きちんと運用されているかどうかが不明なのです。
キチンと運用されているとは、どういうことなのかというと、投資信託はベンチマーク(この場合、S&P500)との乖離が少ない事が求められます。つまりは、S&P500の値動きと同じにならないといけないのです。これが、ちゃんと出来るのかどうかが未知数なのです。
とはいえ、流石に大きな差が出るような事はないのですが、少しの差でも投資信託としてはベンチマークとの差が出る事はダメだと言われており、新しく販売したばかりの「楽天・S&P500インデックス・ファンド」はそこの評価がまだ出来ていないという事で、推奨しづらいという事になります。
「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、同じS&P500をベンチマーク(目標)に設定されていますが。、それぞれ運営してい所が違うので、保有する商品にも多少の誤差があります。
「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の場合
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の場合
マザーファンドが違うので、中身が多少違ってくるのです。マザーファンドの右横に投資先が書いてありますが、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」は、「米国株式」「上場投資信託証券」「株式指数先物取引」となっていますが、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、「米国の株式」となっています。
この違いは、保有上位を比べてみると分かりやすいです。(2023年12月末時点)
保有比率順位 | 楽天・S&P500インデックス・ファンド | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
---|---|---|
1位 | iShares Core S&P500 ETF(19.3%) | アップル(7.0%) |
2位 | アップル(5.1%) | マイクロソフト(6.4%) |
3位 | マイクロソフト(5.0%) | アマゾン(2.7%) |
4位 | アマゾン(2.5%) | エヌビディア(1.9%) |
5位 | エヌビディア(2.2%) | アルファベット(1.8%) |
このように、同じS&P500に連動する様に作られているけれども、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の方はETF(上場投資信託)を1位に組み入れながら個別株を混ぜて運用している感じとなっているけれども、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は個別株を中心に運用している感じとなっています。
実際にこの運用で指数との乖離はないのか?などは、運用期間がある程度経過していないと分からない事であり、その点で「楽天・S&P500インデックス・ファンド」は2023年10月より販売開始した新しい投資信託であり、最近運用を開始したところなのでどうなるのかが分からず、一方で「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は長年の運用実績がある事から安心材料となります。
さて、ここからが一番大切なのですが、投資信託のコストは、信託報酬(運用管理費用)だけではなく、実質コスト(実際に掛かるコスト)が大切になってきます。
ホームページ等に記載されている信託報酬(運用管理費用)は、あくまでも目安であり、実際の信託報酬は年に1回開示される運用報告書をみないと分かりません。
例えば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のホームページに記載されている信託報酬(運用管理費用)は、0.09732%です。なので、一般的にはこの数値を信託報酬としています。
しかしながら、信託報酬には、「売買委託手数料」や「有価証券取引税」、「保管費用」などの「その他の費用」が含まれていません。これらを含めた実際の実質コストを運用報告書を見ながら確認してみましょう。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の運用報告書(2022年4月26日~2023年4月25日)を参照
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」
信託報酬 0.096%
売買委託手数料 0.002%
有価証券取引税 0.000%
その他費用 0.010%
合計(実質コスト) 0.108%
このように、ホームページ等に記載されている信託報酬は、0.09732%でしたが、実際の必要となる実質コストは、0.108%となります。
さて、では「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の実質コストはどのくらいなのだろうか?
これが、分からないから比べられないのです。最近、作ったばかりの投資信託であり、目安として信託報酬が最安値に設定されているけれども、本当にその通りに運用できるかどうかは未知数です。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」でさえ、多少の誤差が出てしまうし、「その他の費用」を足すと若干上がってしまいます。
投資信託によっては、誤差が大きいものもあるし、また「その他の費用」が意外と高いケースもあって、信託報酬は安いのに実質コストを計算してみたら意外と高かったという事もあります。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、今まできちんと運用されてきた実績があり、そして信託報酬も目安とほぼ変わらない結果を出していますし、その他の費用のあまり掛かっていません。なので、ほぼ記載されている信託報酬通りになるのですが、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」はまだ1年間すら運用していないので、最初の運用報告書すら出ていない事から、実質コストがどの程度になるのかが分からず、結果が未知数と言う事なので積極的には推奨しづらいのです。
「結論」
長々と書いているけど、結局は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の方が無難だという事です
もちろん、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」も、楽天証券が作っているぐらいだから悪い商品ではないだろうし、信託報酬に多少の誤差があっても大きくブレる事はないだろうから、それほど問題にするほどでもないとも言えます。
無難に考えるなら、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」
ポイントが楽しみだったり、少しでも安い可能性を求めるならば、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」
どちらがイイかは、お好みとなります。私の場合は、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」をお勧めしています。
さて、今回の内容は、YouTubeにもアップしています。動画でみると、ブログとは違う魅力などもあると思いますので、ぜひYouTubeの方も見てくださいね。
↓↓YouTubeはこちらからどうぞ↓↓
コメント