儲かっている人をみると「楽して儲けている」と感じる方が一定数いるみたいです。なので儲かっている人に対して「少しぐらい分けてくれたらいいのに」と不満に感じる事があるらしいです。公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用が黒字だったというニュースがあった際にも、「だったら黒字分を還元しろよ」という意見がチラホラあったりしていました。

将来のために運用しているのに、今の段階で還元したら増えないよね



将来よりも目先の利益が欲しくなるのだろうね
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、7~9月期の運用実績が 14兆4477億円の黒字だったと発表していました。運用資産別では、国内株式が 7兆484億円、外国株式が 6兆3663億円、外国債券は 1兆9389億円の黒字で、国内債券は 9059億円の赤字だったようです。
今年の9月末時点での運用資産額は 277兆6147億円となっていて、市場運用を始めた 2001年度からの累積収益額は 180兆1843億円となっているようです。
この報道を受けて、「運用して黒字ならすぐに還元してくれよ」、「黒字部分で社会保険料を引き下げてくれよ」という意見が出ていました。気持ちは分からなくもないのですが、将来の為に運用しているものを利益が出ているからといって今の段階で使ってしまうと意味がないですよね。
少子高齢化のため、今後は高齢者が増えて、年金保険料を納める若年層が減っていきます。そうなると、支給は増えるのに供給(年金保険料支払い者)は減っていくため年金制度はジリ貧になっていきます。支給額を減らしていく必要が出てくるし、年金保険料も更に引き上げないといけなくなってしまいます。
そうなると、多くの人々が不満に思い、制度設計自体が厳しくなってきます(まあ、現役世代が高齢者世代の年金を負担するという賦課方式がマズいというのはいったん置いておいたとして)。
それを少しでも解消するため、今の内から年金積立金を運用して、少しずつ増やしていき、将来的に支給が厳しくなってきた時に補助できるようにしているのに、せっかく増えてきた段階で黒字を使ってしまったら、将来の取り分が少なくなってしまいます。
個人の資産運用でも同じような事が言えると思うのですが、タネ銭は大きければ大きいほど余裕が出てきます。はじめのうちは苦しくても、我慢して運用を続けていくからこそ、資産は大きく増えて将来的に楽をする事が出来ます。
映画「マルサの女」で、国税局査察部の調査官がお金持ちに「なぜ、そんなにお金持ちになれたのですか?」という質問に答えた富豪のセリフを私は今でも忘れていません。こういった感覚がないとお金は増えていかないのだと思っています。
「金を貯めようと思ったらね。使わないことだよ。100万あったって、使えば残らない。10万しかなくても、使わなけりゃ、まるまる10万残るんだからね。あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップを置いて水ためているとするわね。あんた、喉が渇いたからといって、半分しかないのに飲んじゃうだろ。これ最低だね。なみなみ一杯になるのを待って、それでも飲んじゃだめだよ。一杯になって、溢れて、ふちから垂れてくるやつ。これを舐めて我慢するの。」
まあ、ちょっと極端といえば極端なのですが、基本的にはこういった考え方が無いとお金は貯まらないですよね。
少し増えたからといったすぐに使ってしまうのではなく、タネ銭はしっかりと増やしていって、溢れてくる分(配当など)だけ使う事で資産を減らさないようにすることが必要だよね。


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