好調を維持している米国株市場。ハイテク銘柄を中心に買いが集まり、特にAIに関連する銘柄は暴騰を続けています。去年までは景気後退によるハードランディングの危険性が浮上していた時もあったのに、今ではソフトランディングが主流であり、景気後退自体が起こらないという想定まで出てきます。
米国株は絶好調だね
嬉しいし、有難い事だけど、浮かれ過ぎないようにしたいよね
そんな中で、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの動向がニュースに上がってきていました。米国株が絶好調な市場環境の中で、バフェット氏はどんな行動をしていたのか?今回は、それを確認していきたいと思います。
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、2月14日に2023年末時点の保有銘柄リストを米国証券取引委員会に提出していました。米国の大手機関投資家は、四半期ごとに米国証券取引委員会に「フォーム13F」という報告書を提出して、保有銘柄を開示する必要があります。これは、米国に上場する株式が報告対象となっているので、バークシャーの場合は日本の商社への投資などは報告対象外となっています。
では、主なバークシャー・ハサウェイの2023年度10月~12月の売買状況を確認してみましょう。
売却(購入) | 企業名(銘柄名) | 売却(購入)株式数 |
---|---|---|
売却 | HPインク(ヒューレット・パッカード) | 7966万株 |
売却 | パラマウント・グローバル | 3040万株 |
売却 | BYD | 1099万株 |
売却 | ストーン | 1069万株 |
売却 | アップル | 1000万株 |
売却 | D.R.ホートン | 596万株 |
購入 | シリウスXMホールディングス | 3055万株 |
購入 | オキシデンタル・ペトロリアム | 2388万株 |
購入 | シェブロン | 1584万株 |
購入 | リバティーメディア | 882万株 |
これをみると、まず目を引くのがアップルを一部売却している事ですよね。バフェット氏が率いるバークシャーがアップルの株式を売却するのは3年ぶりとなります。ただ、アップルの株式は大量に保有しているので売却したといっても保有するアップルの1%程度の割合だけを売却した形となります。
集中投資をしているアップルを利益確定しているという点は、注目ですよね。バークシャーのポートフォリオの中でも、アップルの比率は約50%となっており投資先の半分がアップルの株式となっています。米国株市場がAIブームに沸いて上昇している中で、バフェット氏が一番自信を持って保有しているアップルを売却して利益確定しているのが印象的です。
他に売却した銘柄では、PC大手のHPインク(ヒューレット・パッカード)は保有株を8割ほど売却、メディア大手のパラマウント・グローバルは保有株を3割ほど売却しています。
一方で、購入している銘柄は、シェブロンやオキシデンタル・ペトロリアムなどの石油関連銘柄であり、原油価格が下落して株価が下げていたので、押し目買いをしているみたいですね。
バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中でも、シェブロンは5位、オキシデンタル・ペトロリアムは6位に位置しており、ディフェンシブな銘柄の買い増しを強めていた感じですね。
バークシャー・ハサウェイのポートフォリオ(2023年12月末時点)
順位 | 企業名 | 保有比率 |
---|---|---|
1位 | アップル | 49.2% |
2位 | バンク・オブ・アメリカ | 8.9% |
3位 | アメリカン・エキスプレス | 7.1% |
4位 | コカ・コーラ | 7.0% |
5位 | シェブロン | 6.6% |
6位 | オキシデンタル・ペトロリアム | 5.1% |
7位 | クラフト・ハインツ | 3.4% |
相場が好調でハイテク銘柄が上昇している中で、アップルを売却して利益確定を行い、下がっていたディフェンシブな銘柄のシェブロンやオキシデンタル・ペトロリアムなどの石油関連銘柄を買い増していたバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ。
どうしても相場が上昇すると、上がっている銘柄が買いたくなるのが人情なのですが、そんな時ほど好調な銘柄の一部を売却して、下がっているディフェンシブな銘柄を買い増して、今後に起こるかもしれない景気後退に備えるという事が安定的な運用を続ける為には必要な事のかもしれませんね。
バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの動きをみながら、そんな事をふっと思い出した休日でした。
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