米国の消費は堅調とも見えるし、イマイチともいえる

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日本でもお馴染みになってきた感じがあるブラックフライデー。今年の米国のブラックフライデーの売上高は前年を上回っており、前年対比で売上は 4.1%増加となっていたようです。オンライン売上だけでみてみると 9.1%増加となっていて、いずれも前年を上回る売り上げを記録している事から今年の個人消費が堅調のようであるという見方が報道されていました。

景気が悪くなってきていると言われているのに意外だよね

確かに数字だけ見ると好調だけど、ちょっと違う気がするかな

売上だけをみると、去年よりも全体でもオンラインでも増えているので個人消費が好調をキープしているようにみえるのですが、インフレや注文数などを考慮しながら確認してみると、好調とまでは言えないのではないかなと思う感じです。

「ブラックフライデーの売上比較(去年の伸び率、今年の伸び率)」

項目(売上)2024年度の伸び率2025年度の伸び率前年度との伸び率の差
全体3.4%4.1%+0.7%
オンライン10.2%9.1%-1.1%

オンラインでの販売については、前年を下回る伸び率だったのですが、実店舗とオンラインを合わせた全体では前年度を上回る伸び率だったので、これだけをみると前年よりも個人消費は好調だったみたい見える感じとなっています。

ただ、インフレを考慮すると、それほどでもない感じになっていきます。現在のインフレ率が 3.0%前後で推移しているので、3.0%のインフレで考えてみると、実質ベースでいうと売上全体の伸び率は +1.1%程度、オンラインでも +6.1%ぐらいとなってしまいます。

売上自体は、インフレを考慮した実質でも前年よりも 1.1%は上昇しているので、まあギリギリ堅調とは言えるかもしれませんね。

でも、もう少し細かくみていくと、個人消費はちょっと弱っているのではないかなと思う感じになっていきます。「注文数」や「取引あたり(1回の注文あたり)の購入点数」でみると、前年を下回っているんだよね。

「注文数」・・・・・・・・・・-1%
「取引あたりの購入点数」・・・-2%

前年よりも、売上は少し伸びているけど注文数などは前年よりも減っているんだよね。これはどういう事かというと、商品の単価は上がったおかげで売上は増えているけど実際に売れた商品の個数は減っているという事だよね。

これは、消費が二極化しているみたいなんだよね。K字型消費(中低所得層と高所得層の間で消費行動が二極化)になってしまって、支出を増やす高所得者と節約志向を強める中低所得者に分かれてしまっているようなんだ。富裕層は高額品を消費し続けているけれども、中間層以下はインフレによる生活費圧迫のために欲しかったものを買うのではなく、必要な物を安い時だけ買うという傾向が強まっているようです。

なので、売上だけをみていると確かに大きく伸びているので個人消費が堅調のように感じるけれども、実際にはインフレによるかさ上げが大部分を占めており、インフレ下でも所得に余裕のある裕福層の消費は依然として堅調だけれども、中間層(中低所得層)はインフレによって生活防衛的な支出に追われているという感じになっているみたいだね。

日本もだけど、数字だけをみると売り上げなどが過去最高を更新しているかもしれないけど、庶民からするとインフレに賃金上昇が追いついて行っておらず、生活レベルは向上されておらず、数字ほど経済(個人消費)は好調とはいえない感じだよね。

   

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