クラウド大手は文句なしで強い

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クラウドインフラ企業(アマゾンやマイクロソフトなど)が、莫大な資金を次々と突っ込んでデータセンターを構築していく事を不安視した動きが広がっている事で今年に入ってからのアマゾンやマイクロソフトの株価は低迷しています。でも、それは全く問題ないと思っています。

確かに巨額の資金を惜しげもなく突っ込んでいるよね

資金を突っ込んでも、それが回収できれば問題ないよね

確かに、過去に例を見ないほどの巨額の資金をガンガンと設備投資に突っ込んでいる様子をみていると不安になるのも分かるのですが、決算を確認してみても、少しづつ回収の兆しがみえているので問題ないと思っています。

例えば、アマゾンの決算をみてみると、AWS部門(クラウド部門)の売上は23.5%の増加と好調を維持しています。でも、営業経費も27.3%と増加しています。売上の伸び率よりも営業経費の伸び率の方が高く、これではコストが利益を圧迫しているように思えるのですが、営業利益率は35.0%と前期よりも上昇しています。普通ならば、営業利益率は落ちるはずなのですが、逆に上がっているんですよね。

アマゾン売上伸び率営業経費伸び率営業利益率
AWS部門23.5%増加27.3%増加35.0%(前期より上昇)

経費が増えているのに営業利益率が高まっている理由には3つの要因があります。

1つ目は、高マージン分野(AIクラウド)の売上比率の上昇です。

AWSのクラウドサービスのマージン(利益)を分類してみると、汎用クラウドは普通、ストレージも普通、AI推論は高い、マネージドAIは非常に高い、といった感じです。前期と比較しても、マージンの高い AI推論やマネージドAIが増えています。これが今後も増え続けていくので利益も増えていく事になります。

項目前期今期マージン
汎用クラウド65%60%普通
ストレージ25%24%普通
AI推論・マネージドAI10%16%高い~非常に高い

AI関連(Bedrock、Trainium、Inferentia利用案件)は高付加価値・高マージン契約のため、売上全体の利益率押し上げ要因となりました。

もう1つは、売上原価(COGS)の効率改善です。

売上原価(COGS)は、データセンター運転コスト・サーバー償却・電力コスト・トラフィックコストなどが影響するのですが、データセンターの稼働率上昇や電力契約の見直し・冷却効率の改善、サーバー償却スケジュールの最適化などによって、粗利率(Gross Margin)が上昇し、営業経費増を吸収してなお営業利益率が改善しました。

最後の1つは、スケールメリット(規模の経済)が強く働いているという事です。

AWSのコストには半固定費が多いです。データセンターや基幹ネットワーク、基盤ソフトウェア、運用人員などは、例えば売り上げが20%増えたからといっても、既存の設備でも対応できる部分があるためこれらのコストが直接20%も増えるわけではないです。

AWSは典型的なインフラ型ビジネスなので、利用率が上がるほど利益率が改善します。

経費が増えているのは、将来のための設備投資の増加によるものが大きいです。そして、これらの将来への投資は今の収益を圧迫する要因というよりも先行投資のために必要な経費です。

急増する AI需要に対応する為に、設備投資をガンガンと行っているのですが、その費用負担に対して懸念の声が上がっています。しかしながら、AWSは現在は「投資フェーズなのに利益率が上昇している」という状態であり、これは将来的には強い状況を産み出します。

普通ならば、「投資増加 → 利益率低下」という形になるのに、「投資増加 → 利益率増加」という矛盾した状態になっているのは、需要が供給を上回っており、なおかつAI関連が高収益モデルであり、スケールメリットが活かせる事業でもあるからです。

AIインフラを整備しているクラウド大手は、一度インフラを整備してしまえば、あとは定期的な利用料が入ってくるので美味しいです。その美味しさを知っているからこそ、目先の利益よりも将来の利益を目指してガンガンと設備投資に邁進しているだけです。

企業や個人、社会全体への AI実装化が進んで行けば、クラウド大手の強さが改めて分かると思います。

   

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