消費者物価指数や生産者物価指数が市場予想よりも低い数値となっており、思っていたよりもインフレが鈍化しているように感じられるため、今後の利上げは今月が最終の利上げになるという想定が多くなってきました。
今年は今月の利上げを最後に、このままの水準を保ちながら、来年になってから徐々に利下げしていくというのが一般的な想定となってきています。
利下げするなら、来年は株価が上がるよね
利下げをすると株価が上がるとは限らないですよ
市場では利上げの終了を好感して株価が上昇しており、利下げを待ち望んでいます。なので、利下げが行われると本格的に株価が上がるような気がするかもしれませんが、実際には利下げをしても株価が上がらずに下がる事があります。
今回は、利下げと株価についてのお話です。
基本的な動き
まずは、基本的な経済や株価の動きを確認していきましょう。
景気が好調になると、景気が過熱し過ぎないために利上げをして景気を減速する様にします。でも、利上げをすると景気にブレーキが掛かるので、いずれは不景気になっていきます。
不景気になってくると、今度は景気を支えるために利下げをして景気の回復をサポートする様にします。
景気好調 → 利上げ → 景気減速 → 不景気 → 利下げ → 景気回復 → 景気好調
というような感じの循環を繰り返す事になります。
一方で、株価の動きはどうなのかというと、一般的には利上げは景気を減速させるから株価の下落に繋がり、利下げは景気の回復を行うから株価の上昇に繋がると言う事になっています。
利上げ → 株価下落
利下げ → 株価上昇
ただ、この株価の動きは短期的な場合であって、長期的には経済の動きと利上げや利下げなどの金融施策を合わせながら株価が動いていく事になります。
リーマンショックのケース
利下げをしても、景気が悪化するようであれば株価の上昇にはつながりません。
分かりやすい例として、リーマンショックの時の利下げを見ていきましょう。
リーマンショック前は、利下げを行う事への期待感から利下げ前は株価が上昇しています(オレンジ線)。そして、最初に利下げ(赤丸が利下げをした日)をした後は、利下げを好感して株価は急上昇しています。
リーマンショックの時の株価の動きと利下げの時期(赤丸が利下げの日)
ただ、その後はジリジリと下げており、時折利下げを行うと少し反発する事もありますが、景気が悪化しているようであれば株価の下落は止まりません。
利下げをしても株価の下落は続き、そのうち経済がクラッシュし始めると株価は暴落をする事になります。
ITバブルのケース
利下げをしても株価が下り続けるケースとして、ITバブルもみてみましょう。
この時も経済の変調に伴って利下げをしますが、利下げをして株価が反発しても、その後に経済が回復していなければ再び株価は下落をしていき、何度利下げを行っても株価の下落は続いていきます。
ITバブルの時の株価の動きと利下げの時期(赤丸が利下げの日)
何度も何度も小刻みに利下げを行っていますが、短期的な株価の上昇には繋がっても持続する事が出来ていません。少し利下げをしたぐらいでは、そう簡単に経済を持ち直す事が出来ないのです。それゆえに、株価は下がってしまいます。
まとめ
イメージ的には「利下げをすると株価が上昇する」という感じに思えてしまうのですが、実際には「利下げをするほど経済が痛んでいる」という事であり、経済が痛んでいるという事は株価は下落をしてしまうという事になります。
利下げ前などは、利下げを行う事を好感して株価は先走ったように上昇する事があります。そして、実際に利下げが行われた時も、利下げを好感して株価が上がる事があります。
ただ、それはドーピングと同じように瞬間的なものであり、持続した経済の回復が見込めなければ、薬が切れた患者のように、次なる利下げを求めてしまいます。
でも、景気が戻らなければ利下げをしても、結局は株価は下がってしまうのです。
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