通常の利上げと現在の利上げの違い

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また米国株の調子が悪くなってきましたね。

景気の減速感が強く意識されるようになってきており、先行きの不透明さが大きく感じられるようになってきています。

自分なりの相場の見通しや今後の展開をブログに書こうと思おうと、どうしても暗い話題(下落の話題)になってしまうので、何か明るい話題の方がいいかなと思うのですが、いい話があまり思いつきません。

早く景気が持ち直して株価も上昇していって欲しいですよね。上昇相場が待ち遠しいです。

さて、本日は通常の利上げと現在の利上げについてのお話をしたいと思います。

目次

通常の利上げ

景気が拡大していくと景気が行き過ぎてバブルみたいに過熱しないように景気を抑えるために利上げを行って景気高騰の鎮静化を図ります。

通常であれば、利上げは少しずつ行っていきます。近年では、0.25%が一つの基準となっています。なので、0.25%ずつ利上げをしていくのが通常の利上げになります。

不景気が過ぎていき景気が持ち直して徐々に回復していくと、景気が行き過ぎないように少しずつ利上げを行っています。

景気が持ち直していた2003年6月~2006年6月まで3年間では、0.25%の利上げを合計17回と小刻みに実施して、1.0%だった政策金利(フェデラル・ファンド金利)を5.25%まで引き上げます。

その後、サブプライムローン問題やリーマンショックなどがあり、再び金利を引き下げます。リーマンショック後は、これ以上はさげれない限界水準の0.25%まで金利は低下しました。

リーマンショック後は景気の回復も緩やかであり、しばらくは0.25%の金利のままでしたが、2015年に景気は力強いと判断すると、金利を徐々に引き上げていきます。

2015年12月~2018年12月の3年間で、0.25%の利上げを合計9回実施して、0.25%から2.5%に政策金利(フェデラル・ファンド金利)を引き上げます。

このように通常の利上げは、0.25%ずつ小刻みに上げていく形になります。

現在の利上げ

では、今の利上げはどういった感じで進んでいるのだろうか。

今年に入ってから政策金利をどのくらいの幅で引き上げてきたのかを一つ一つ拾ってみましょう。

政策金利(フェデラル・ファンド金利)の引き上げ幅
3月 0.25%
5月 0.50%
6月 0.75%
7月 0.75%
9月 0.75% or 1.0%

最初の3月の時点では、0.25%と普段と同じ引き上げ幅になります。しかし、5月には普段の0.25%の倍の0.5%の引き上げ幅を行います。

そして、続く6月には0.75%とかなり大幅な引き上げを実施します。通常の利上げ幅が0.25%だという事を考えると、6月の0.75%は非常に大きな引き上げになります。

6月だけでも急速な引き上げ幅になるのですが、7月には再び0.75%の引き上げを続けており2回連続で非常に大きく引き上げています。これで政策金利は2.5%になりました。

更に、今月の9月には同じように0.75%の大幅引き上げの実施が確実視されています。状況によっては、1.0%の引き上げという更に大きな引き上げを行う可能性も示唆されています。

リーマンショック後の景気が好調な時の政策金利は、2.5%でした。2015年~2018年まで3年間かけて少しずつ引き上げて2.5%にまで引き上げています。

今回は、たったの半年ほどですでに2.5%まで引き上げています。そして、今後はこの金利を更に上回る金利になっていく事になります。今月の引き上げ幅が0.75%であれば、3.25%にまで引きあがります。

あまりにも急激な金利の引き上げを行っているのが現在の状況です。

金利は景気のブレーキ役

金利を引き上げていくのは、景気にブレーキを掛ける為です。景気も行き過ぎるとバブル経済を誘発して、悪影響を及ぼします。例えるならば、お酒を飲んで調子に乗り過ぎてハメを外すようなものです。陽気になるのはいいのですが、陽気になり過ぎてやり過ぎるようなものです。

経済も調子に乗り過ぎるとバブルを引き起こして、あらゆる所に迷惑を掛けます。景気が調子に乗り過ぎた結果がバブルです。

なので、調子に乗り過ぎそうになるとそれを諫める人が必要となります。それが景気に対する金利の役割です。金利を引き上げて、注意を促し、景気の行き過ぎを留める事になります。

普段は、少しずつ少しずつ景気にブレーキをかけていきます。ポンピングブレーキのように、何度も少しずつ景気の速度を落とすようにしていきます。

ところが、今回は急ブレーキを踏んでいる状態です。

しかも、何度も。

我々が運転の時にポンピングブレーキを踏むのは、運転者や同乗者が慣性の法則で体が前に持っていかれてぶつかったりしないようにしたり、後ろの車が追突しないように注意を促している訳です。これが急ブレーキになってしまうと、慣性の法則で体が前に持っていかれてしまうし、後ろの車に追突されてしまうかもしれません。

景気に急ブレーキをかけるのも同じようなものです。景気が前のめりにこけたり、何かのトラブルが起きて後ろからトラブルに突っ込まれる可能性が高まってしまいます。

もちろん、急ブレーキをかけても何も起こらない時もあります。でも、急ブレーキをかけた方が何かが起こる危険性は各段に高くなってしまいます。

景気減速の際にアクセルが踏めない

金利は、景気のブレーキ役でもあります、一方で景気のアクセルにもなります。

景気が悪化すると金利を低下させてアクセルを踏み込むように市場に資金を流していきます。なので、景気が悪化すると金利を低下させて景気が持ち直すように試みます。

特に、リーマンショックやコロナショックのような大きな問題が起きた時には思いっきりアクセルを踏むことがあります。

普段は、0.25%刻みで金利を引き下げるのですが、大きな問題が起こると引き下げ幅も大きくします。

リーマンショックの時は、2008年10月に0.5%の引き下げを行い、更に同じ10月に緊急利下げとして再度0.5%の追加利下げを行っています。2008年の10月は0.5%利下げを2回行ったので、短期間で1.0%の利下げをした状態になります。

その2か月後の12月にも0.75%という大きい利下げを行って、更に景気の下支えを行うことをしています。

コロナショックの時も、2020年3月に緊急利下げで0.5%を下げた後、すぐに同じ3月に再び1.0%の利下げを行い、合計で1.5%の大きな利下げを行っています。

このように景気の悪化が著しい時には、アクセルをベタ踏みしてアクセル全開で景気の悪化を乗り切ろうとします。

さて、ここで問題なのが今回のケースで今後景気減速になった時に、アクセルを踏み込めるのだろうかという事です。

通常は景気の行き過ぎを防ぐために金利を引き上げていきます。今回は、インフレが高過ぎるのでインフレを叩くために金利を引き上げています。そうなると、景気が悪化してもインフレが収まっていなければ金利を引き下げる事が出来ません。

景気が悪化しても景気のブレーキを踏み続ける事になりかねないという事になります。

辛うじてアクセルを踏んで景気を下支えした(金利を下げる事が出来た)としても、何か大きめのショックが起きた時にインフレがまだ一定の高さにあればアクセルをベタ踏みする事が出来ない(金利を大幅に引き下げる事が出来ない)可能性が出てきます。

ズルズルと景気後退が長引いたり、予期せぬアクシデントが起こる可能性が出てくるという事になりかねないです。

予期しにくい今後の想定

これからは、まだしばらくは金利の引き上げを続ける事が想定されています。通常以上に強いブレーキを何度も何度も繰り返し行っている状態です。

その強いブレーキを掛けている理由が景気が非常に強いから急ブレーキをかけているというのではなく、インフレが高いからという理由なのであれば、景気が急ブレーキに耐える事が出来るのかは疑問が大きく残るのではないだろうか。

急ブレーキをかけたことによる反動で予期せぬことが起こる事も有り得ます。今後の予測はより一層難しくなっていると思います。ただ言えることは景気悪化の可能性は非常に高くなっているという事ではないだろうか。

金利の急上昇は色々な所に圧力を与えます。企業の資金調達などにも影響を与えるし、設備投資費用などにも影響するだろうし、住宅ローンの急上昇は消費者の金利返済や返済を受ける企業の業績にも悪影響を与えるでしょう。

どこに火が付くのかなんて誰にも分からないと思います。ただ言えることは、色々な所で火の手が上がる確率が上昇しているという事です。

あくまでも確率が上がっただけで、必ず何かトラブルが起こるという訳でもないし、何も起こらずに多少の景気後退だけで済かもしれません。

それでも、危機への確率が通常と比べて格段に上昇しているのであれば安全策を取るという事も1つの手段だと思います。

  

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