政策金利が発表されましたね。特に波乱などはなく、事前の市場予測の通りに0.25%の利上げが行われました。7月に0.25%の利上げをする事はほぼ確定路線だったので何も問題ないのですが、重要なのは今後の政策金利がどのような経緯をたどっていくのかという事だと思います。
市場や大半のアナリストの想定は、今回の利上げが最後の利上げとなり、年内は現状を維持しながら来年から利下げに転じるというものです。
早く利下げしてほしいよね
インフレとの兼ね合いもあるから、安易には利下げできない感じですね
今後の金利局面はどのようになっていくのか?それを想定するうえで重要なのがパウエル議長の発言です。FRBがどのように考えているのかの一端が垣間見えるパウエル議長の発言を確認しながら、今後の金利を考えていきたいと思います。
政策金利の現状
まずは現状の政策金利を確認していきたいと思います。現在の政策金利は、5.50%となっています。今年のFOMCのスケジュールと金利の状況を確認してみましょう。
FOMC開催日 | 政策金利 | 変更幅 |
---|---|---|
2023年02月02日 | 4.75% | 0.25%利上げ |
2023年03月22日 | 5.00% | 0.25%利上げ |
2023年05月4日 | 5.25% | 0.25%利上げ |
2023年06月15日 | 5.25% | 変更なし |
2023年07月27日 | 5.50% | 0.25%利上げ |
2023年09月21日 | 未定 | 未定 |
2023年11月02日 | 未定 | 未定 |
2023年12月14日 | 未定 | 未定 |
2022年3月16日に利上げを行ってからは、今年の5月まで毎回利上げを行っており、10回連続の利上げとなっていました。それが6月に一旦利上げを休止して様子をみる事となります。しかしながら、7月になると再度利上げを再開しました。
今後の予定は未定となっていますが、FRBがどのようなスタンスでいるのかは、パウエル議長の発言を確認する事である程度は推測する事が出来ます。
では、FOMCの後に会見していたパウエル議長の発言を確認していきましょう。
パウエル議長の発言内容
2023年7月27日に行われたFOMCの後のパウエル議長の発言を順番に見ていきましょう。
パウエル議長の発言内容(抜粋)
FRBは最大限の雇用と安定した物価を促進するという使命に取り組んでいます。インフレ率を2%まで引き下げる事に引き続き強くコミットしています。物価の安定がなければ労働市場の好調な状態を維持する事は出来ない。FRBは金融政策のスタンスを大幅に引き締めてきた。引き締めの効果が十分に発揮されるのはこれからだ。今後、追加の金融引き締めが必要かを判断するには、引き続きデータに依存したアプローチをとっていく。
最近の指標は経済活動が緩やかなペースで拡大している事を示唆している。個人消費の伸びは年初から鈍化しているようだ。住宅セクターの活況は幾分持ち直してきたものの、住宅ローン金利の上昇を主な要因として依然として1年前の水準を大きく下回っている。金利の上昇と生産高の伸びの鈍化も企業の固定投資の重荷になっているようだ。
労働市場は依然として非常にタイトであり、力強いペースである。失業率は3.6%と低水準が続いている。労働力率(15歳以上の人口の内、働いている人と完全失業者の人数を15歳以上の人口で割った値)は去年から上昇しており、特に25歳から54歳の労働力率が高い。労働需要は依然として利用可能な労働者の供給を大幅に上回っている。
インフレ率は依然として長期目標である2%を大幅に上回っている。5月までの12か月間で個人消費支出(PCE)価格指数は3.8%上昇し、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数は4.6%上昇した。6月の消費者物価指数(CPI)の12か月変動率は3.0%で、コア消費者物価指数の変動率は4.8%だったインフレ率は昨年半ばから幾分緩やかになったとはいえ、インフレ率を2%に戻すにはまだ長い道のりがある。
FRBは、高インフレが購買力を低下させ、特に食料・住宅・交通といった必需品のコスト上昇に対応できない人々に大きな苦難をもたらす事を痛感している。FRBは、高インフレが雇用と物価にもたらすリスクに対して細心の注意を払っており、インフレ率を2%に戻す事に強くコミットしている。
FRBの利上げによる引き締め効果は、特に住宅や投資などの金利の影響を受けやすい経済セクターの需要に現れている。しかし、私達が続けている金融引き締め効果がインフレ率に現れてくるには時間がかかるだろう。加えて、景気は家計や企業の信用収縮による逆風に直面しており、これが経済活動・雇用・インフレの重荷となる可能性が高い。
FRBは、インフレ率を長期的に2%に戻す為に適切と思われる追加的な利上げによる引き締めの程度を決定する際に、金融引き締めの累計や金融政策が経済活動やインフレ率に影響を与えるタイムラグや現状の経済・金融情勢を考慮している。会合ごとに入ってくるデータを精査し、それらが経済活動に与える影響やインフレの見通し、そして起こり得るリスクのバランスを考慮しながら決定を下す。
結論として、FRBはインフレ率を2%の目標に戻し、長期的なインフレ期待を良好に維持する事にコミットしている。インフレ率の低下には、トレンドを下回る成長と労働市場の軟化が必要である。物価の安定を取り戻す事は、最大限の雇用と安定した物価を長期的に達成するために不可欠である。
パウエル議長の発言の要約
次は、パウエル議長の発言内容を要約してみましょう。
パウエル議長の発言内容(要約)
- 雇用と物価の安定が使命
- インフレ率を2%まで引き下げる事にコミット
- 今後の利上げはデータ次第
- 経済活動は緩やかに拡大している
- 個人消費の伸びは鈍化している
- 労働市場は依然としてタイトで力強い
- 失業率は低水準が続いている
- 特に25歳から54歳の労働力率が高い
- インフレ率を2%に戻すにはまだ長い道のり
- 利上げの効果が表れるには時間がかかる
- 追加利上げは利上げの効果が表れるタイムラグを考慮
- インフレ率の低下にはトレンドを下回る成長と労働市場の軟化が必要
インフレ率を2%に引き下げる事に全力を挙げるが、今後の追加利上げはデータ次第であり、利上げの効果が表れるには時間がかかる事から、利上げの効果が表れるタイムラグを考慮していく方針。
現状では、経済活動は緩やかに拡大しており、労働市場も力強い。インフレ率は徐々に低下しているが、インフレ率の更なる低下には、経済の減速と労働市場の軟化が必要な事から、もう少し様子をみながら検討していく。
まとめ
今回のFOMCでは、0.25%の金利引き上げを行いましたが、今後の利上げについては、これから出てくる経済データを確認しながら様子をみていくといった感じの様ですね。
雇用統計や経済指標が弱くなっていくようであれば、現状から利上げをする事はなく経過していくだろうし、雇用統計が今後も力強く、それに伴って経済指標が回復していくようであれば、追加利上げもやむなしという雰囲気になってくるのかもしれません。
とりあえず、利上げの効果にはタイムラグがある事から、現状ではこのままで様子をみていく方向性になっていきそうです。
余程の事がない限りは、当面は利上げが休止(または終了)といった感じになりそうですね。
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