去年の夏ぐらいにおける2023年度の米国政策金利(FFレート)の予測は、1回(0.25%)の利上げをおこなって4.75%がターミナルレート(利上げの最終到達地点)であるという感じでした。それが少しずつ想定が切り上がってきており、去年の秋頃には、2023年度の米国政策金利は2回(0.25%×2回)の利上げをおこない、ターミナルレートは5.00%になるだろうと予測されていました。
年末から年始にかけて、米国政策金利の予測は更に上昇しており、2023年度の利上げは3回(0.25%×3回)行って、ターミナルレートは5.25%になるという所にまで進んで行きました。
そして、現在では2月の強い雇用統計を受けて、2023年度の利上げは4回(0.25%×4回)ほど実施をして、ターミナルレートは5.50%になるという予測が大勢を占めるようになりました。
徐々にターミナルレートが引き上げられているよ
利上げの打ち止めが後ろ倒しになっていますね
利上げによるダメージはドンドンと蓄積していき、いずれは景気に強いダメージを与えるようになってしまいます。
現時点での米国政策金利のターミナルレートの状況
2月の雇用統計は力強いものが多かったです。非農業部門雇用者数は18.5万人という予想を大きく上回る51.7万人という数字を叩き出し、失業率は3.4%と近年では一番低い失業率になっていました。
消費者物価指数は予想の6.2%よりも高い6.4%となっておりインフレが高止まりしている状況です。小売売上高は予想の1.8%よりも高い3.0%、個人消費支出は予想の1.3%よりも高い1.8%となっており、消費の好調さを表しています。
こういった状況を受けて、今年は2月に0.25%利上げをした後は、3月と5月と6月に0.25%ずつの利上げをおこない、それを年内は維持するという感じになってきています。
上昇を続ける景気後退確率
利上げが続く状況を受けて、景気後退確率も上昇を続けています。
クリーブランド連邦準備銀行が公表しているイールドカーブから算出した景気後退確率はドンドンと上昇を続けており、2023年12月の景気後退確率は64.4%と高い数値となっています。
これは、ITバブルの時やリーマンショックの時を上回る高確率となっています。
また、FRB(米連邦制度準備理事会)の中で利上げを決める会合であるFOMC(米連邦公開市場委員会)において、必ず投票権を持つ重要な連邦銀行であるニューヨーク連邦準備銀行でも景気後退確率を発表しており、ニューヨーク連邦準備銀行に掲載されている景気後退確率は、2023年12月に57.1%とこちらの方でも高確率になっています。
まとめ
時間の経過と共に引き上げられ続けている政策金利。現在のターミナルレートは5.50%となっており、少なくともそれを年内は続けていくという想定となっています。
連邦銀行が掲載している景気後退確率はドンドンと高確率になっており、景気後退は避けられない状況になってきていると思います。
景気後退が近づいてきており、金利も引き下げられない状況が重なっていくと、急速な景気後退を引き起こす事に繋がりかねない状況になる可能性も高まっていきます。
もちろん、FRBはインフレを抑えつつ、景気後退も出来るだけ起こさないように努めていくと思いますし、出来れば景気後退を引き起こさないように配慮を続けていく努力を重ねるでしょう。
ただ究極の選択として、FRBがインフレ退治と景気後退による企業業績悪化回避のどちらを最終的に取るのかというと、インフレ退治になっていくと感じます。
株式市場は、その時々の状況によって一喜一憂する場面が今後も増えていくと思いますが、少し反発したぐらいで「底打ちをした」と思わないように、慎重に先行きをみていきたいと思っています。
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