今年の11月には米国の大統領選挙があります。4年に1度行われる米国のみならず世界中が注目している一大イベントですよね。誰が大統領になるのかによって、米国だけではなく世界の動きが変わってしまうぐらい重要なイベントとなっています。
今回はトランプ氏が当選するのかな
わずかにリードしているだけでバイデン氏の可能性もあるみたいだね
事前の予測では、ほぼ五分五分でわずかにトランプ氏がリードしているものの、実際に投票になってみないと分からないぐらい混戦となっているみたいです。
トランプ氏が当選した場合は、前回の大統領就任時以上に強権を発動して個性的な政策運営をしていきそうな感じとなっています。
米国株や米国経済は、当然ながら米国の大統領の施策によって大きく左右されます。では、トランプ氏が当選した場合に彼はどんな施策を実行しようとしているのかとみてきましょう。
トランプ氏の主な政策
個人所得税の減税延長
法人税を引き下げ
輸入品に対して一律10%の課税
中国に対しては60%以上の課税
不法移民の摘発強化
国境管理の強化
EV購入補助を廃止
パリ協定(気候変動対策)から離脱
トランプ氏が当選すると、米国国内に対しては優遇処置を行い、他国に対しては厳しい姿勢を打ち出す方針となっています。
現在実施されている所得税の減税は、前回のトランプ政権の時に成立した法案です。これは来年に失効します。バイデン大統領はこの所得税減税に対して裕福層(年収約6000万円以上)には減税を廃止して税率を引き上げる方針を表明しています。
トランプ氏は、この所得税減税に対しては裕福層も含めて現状を維持して延長することを表明しています。裕福層も含めた所得税の減税が延長されると、裕福層が消費の活性化を促す事から米国の経済成長率は少し押し上げられると想定されています。
また、トランプ氏は法人税も21%から15%に引き下げることを表明しており、大企業を中心に増税を表明しているバイデン氏とは対照的となっています。法人税が引き下げられることで、労働者の所得(給料)が増える可能性があるのですが、それに伴ってインフレ率が上昇する懸念も存在します。
トランプ氏は、輸入品に対して10%の課税を検討しています。また中国に対してはさらに厳しく60%以上の課税を検討しています。
トランプ氏の政策の中で、この関税強化が一番経済に影響があると想定されています。
米国製品への需要が増加して、米国内の雇用などは上昇していきますが、中国を筆頭に他国が報復関税に踏み切る公算が高く、それによって米国経済は1%ほど押し下げられるとみられています。また、世界経済への影響も強く、世界経済は 0.4%ほど押し下げられるとみられています。
こうした関税強化は輸入品価格の上昇を引き起こし、物価が上昇してインフレ率を上昇させる要因となります。
移民問題については、強い姿勢で臨むと想定されており、不要移民の摘発強化や国境管理を徹底すると表明しています。これにより自国民(米国市民)の雇用が保護されるのですが、労働力を担っていた移民が規制されていくと人手不足が続くと予測されています。
また、環境問題ではパリ協定から再離脱して、化石燃料(石油等)を推進するとしています。米国内の化石燃料の利用が促進されて米国経済の成長に寄与するのですが、世界的な脱炭素の流れに乗り遅れる事になり、EV利用の減速につながる事で米国のEV普及が伸び悩むと想定されています。
さて、トランプ氏が大統領に就任した場合の影響をまとめると、減税施策などが米国経済を押し上げる一方で、関税強化によってインフレが再び上昇して、政策金利を引き上げる必要性が生じる可能性があり、米国の財政が悪化すると想定されています。
移民政策によって人手不足が慢性化して賃金上昇によるインフレの懸念があり、また脱炭素から離脱することで米国での電気自動車普及が遅れる可能性も指摘されています。
トランプ氏とバイデン氏のどちらが大統領に就任するのかは、現時点ではわかりませんが、もしもトランプ氏が大統領となった場合には、どのような施策を取るのかによって、米国経済および米国株の行く末が変わっていくので、トランプ氏の施策にも注目していく必要がありますね。
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