X(旧Twitter)やブログなどで投資のお話をみていると、少し違和感があるなと感じた事は、「リターンが高いから正解」と単純に評価する事があるという点。例えば、こういった意見があった。
「S&P500よりもナスダックの方がリターンがイイのだからS&P500に投資をしているのが意味が分からない。素直にナスダックに投資してればいいのにリターンが劣化するS&P500に投資していてもパフォーマンスが悪いだけだよ」
間違ってはいないと思うけど、ちょっと極端かな
リスクを受け止めれるのかなと感じるかな
S&P500とナスダックを比較すると、確かにナスダックの方がリターンがイイです。なので、ナスダックに長期投資をしていれば、ナスダックの方が大きく増えるから結果論としてはナスダックに投資をしている方がいいという事になります。
でも、結果だけみて投資できるのであれば誰でも投資で大成功できると思います。リターンだけをみたり、結果だけをみて、「投資は、こうすればいい」というのであれば、それは机上の空論だと思います。
S&P500とナスダック
改めて説明する必要はないと思いますが、まずはS&P500とナスダックの基本情報をお伝えしていこうと思います。
S&P500
米国市場の主要500社に投資をしている代表的な株価指数。米国株式市場の約80%を占める時価総額比率となっており、おおむね米国株市場全体に投資をしているといえる
ナスダック総合
ハイテク銘柄や新興企業が中心のナスダック市場に上場している約3000社を時価総額加重平均した株価指数。
さて、ではS&P500とナスダックのチャートを比較してみようと思います。
リーマンショック後の2009年ごろから現在までのS&P500とナスダックのチャートを確認しながら、それぞれのリターンはどのくらいの差があるのかを見ていきましょう。
2009年頃からのS&P5000とナスダックのチャート(青線S&P500、緑線ナスダック)
2009年ごろからであれば、青線のS&P500は424%の増加となっており約5倍に増えている事になりますね。充分満足できる結果だと思います。一方で、緑線のナスダックの方はというと、847%の増加となっており約9倍に増えている事になります。こちらは更にリターンが高くS&P500の2倍ぐらいは増えている事になりますよね。
リーマンショック後に、S&P500に300万円投資すれば1500万円になっていたけど、同じ時期にナスダックに300万円投資をしてれば2700万円になっていたという事になります。
こうやってみると、ナスダックに投資をしていればいいという事になるのかもしれません。
切り取る時期
こういうチャートでの比較は、切り取る時期によって全然違う景色が見える事があります。
いつでもナスダックがS&P500を凌駕しているという事ではないです。S&P500を下回ってしまっている時も当然ながらあります。
先ほどは、リーマンショック後からのS&P500とナスダックのチャート比較しましたが、今度は ITバブル崩壊の頃の2000年頃からのS&P500とナスダックのチャート比較してみましょう。
2000年頃のS&P500とナスダックのチャート(青線S&P500、緑線ナスダック)
こちらの時期で確認してみると、S&P500は229%の増加となっており約3.2倍に増えている事になります。一方で、ナスダックの方は183%の増加となっており約2.8倍となっています。S&P500の方がリターンが高いし、ナスダックの方は多くの期間でS&P500に対して大幅にリターンが悪化しています。
投資する時期によっては、明らかにS&P500に投資をしていたほうがマシという期間があります。
投資する時期やタイミング
投資のパフォーマンスや結果なんて、投資する時期やタイミングによって大きく異なっていきます。
そして、その検証結果も切り取る時期によって、良いようにも悪いようにも見せる事が可能であるし、自分の都合のいいように解釈することも出来ます。
一つの結果やチャートだけを頼りに結果を導き出すのではなく、それぞれの長所と短所と理解しながら、それでも「こちらの方がいい」と思うのであれば、それに投資していけばいいと思うのですが、リターンだけに注目して「こっちが正解だ」というのは私には少し違和感があります。
ナスダックは確かにS&P500よりもリターンが高いですが、その分、安定感はS&P500よりも少し欠けているので、そのあたりのリスクを飲み込んでもリターンを追い求めるのであればいいと感じますが、「長期保有すればS&P500よりもリターンがイイのだからナスダック一択だろう」という想いだと、相場が崩れた時などに足元をすくわれるのではないかなと思います。
「長期的なリターンが優れている方が良い」のであれば、それこそナスダックよりもS&P500に3倍レバレッジを掛けた「SPXL」などを保有した方がいいという事になります。
「SPXL」の方がナスダックよりもはるかにリターンが高いですが、浮き沈みが非常に激しい「SPXL」を長期保有できる投資家などは極わずかの投資家のみです。
リターンが高いものを長期的に保有するという事は、高いリスクも長期的に受け入れるという事になり、普通の投資家には、なかなか安定して保有できるようなものではないです。
なので、リターンだけに目を奪われたり、一部だけのチャートで判断したりせずに、リスクとリターンを考慮しながら、総合的に判断した上で投資を行っていく方がいいのではないかなと思います。
もちろん、リスクも認識したうえでメリットの方が上回ると判断した結果ナスダックに投資をするという事になったのであれば、大丈夫だと思います。
さて、今回の内容は、YouTubeにもアップしています。動画でみると、ブログとは違う魅力などもあると思いますので、ぜひYouTubeの方も見てくださいね。
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