今年も数日が経過して、仕事が始まったり株式市場が始まったりと1年がスタートしましたね。
去年は1年間を通して相場がズルズルと下がっている状態であり、厳しい相場だったのではないでしょうか。FRBがこれほど大きな利上げを連続(0.75%の連続利上げ)して行うとは思ってもいなかったし、インフレがここまで高まるとも思っていませんでした。
去年は、色々な事があった1年間だったと思います。一番ビックリしたのはロシアのウクライナ侵攻ですよね。ロシアによるウクライナへの侵攻などは米国が警告していましたが、本当に侵攻するとは思っていませんでした。しかもロシアがあっという間に占領すると思っていたのですが、ウクライナの力強い抵抗によってロシアが予想以上に苦戦するとか、ロシアの装備が思いのほか貧弱だったりとか、想定していた事と現実は大きく異なるのだなと実感しました。
ドル円相場も、円安になるとは思っていましたが1ドル150円に達するぐらいの円安になるとは思っておらず、つくづく為替相場は読めないものだなと改めて思いました。
色々と新たな学びがあった1年間でしたが、そんな1年も終わり新しい1年が始まっています。
株式市場の動きを読むことは難しくて出来る物ではないですが、今年はどんな1年なのかを分からないなりに考えてみようと思います。
不景気がやってくる
今年は不景気が訪れる可能性が高いと思っています。もちろん、景気が落ち込まずに持ち直してくれる方が有難いのですが、基本的には景気悪化は避けられずに、どれだけ深いものになるのかが焦点になってくるのではないかなと思っています。
急激な政策金利の上昇はじわじわとあらゆる所にダメージを与えていくと思います。年始には0.25%だった政策金利は、すでに4.5%にまで引き上げており、僅か1年間で4.25%も上昇した事になります。金利を急激に上げた事に対する反動はいずれ現れてくると思います。
政策金利に強い影響を与える消費者物価指数は6月を頂点として徐々に下がってきています。しかしながら、現在はまだ7.1%と高水準を保っており、FRBが目標としている2%台にまで戻すにはまだまだ時間が掛かる事になります。
消費者物価指数が下っていかないと政策金利を引き下げていく事は難しい事から、今後も政策金利が高止まりする事が暫くは続くと思います。
また、雇用状態が強い状態が続いたり、失業状態が高くなったりしないなどの雇用環境が強いままであってもインフレ圧力が続くことによって金利の引き下げは出来ない状態となる事から、政策金利の高止まりが暫く続く可能性があるという事は、経済へのダメージも引き続き与える事になると思います。
景気の先行きを観察するうえで指標の1つとなる「景気先行指数」なども、マイナスが続いています。通常では、3か月連続でマイナスが続くと景気後退の可能性が高くなると言われており、4か月連続でマイナスになった場合は8回中7回は半年以内にリセッションが起こっています。
現在は、4か月連続のマイナスを通り過ぎて、8か月連続でマイナスとなっており、そろそろリセッションとなってもいい頃合となっています。
景気の先行きを確認するもう1つの指標のである「ISM製造業購買担当者景気指数」も景気後退へと落ち込んでいます。
製造業購買担当者景気指数は、指数が50を超えていれば景気上向きであると判断され、50を下回っていると景気が落ち込んでいると判断されます。
11月から製造業購買担当者景気指数は50を下回っており、景気が落ち込んでいる事を示唆しています。
いくつかの指標は景気後退へのシグナルを発しており、今年の景気後退は避けられない状況へと進んでいるのではないかと思われます。
今後の展開次第ですが、景気が後退しているのに雇用状態が強いなどの要因によって政策金利の引き下げなどを行えないという事態になるようであれば、景気の悪化は更に深いものになっていく可能性もあるかもしれませんね。
企業の業績悪化へ
企業は、こういった景気の動向に敏感になっており、すでに対策を打ち始めている企業もチラホラと出てきています。
特にIT企業の多くは人件費を削るなどして、利益を確保する事に取り組み始めています。
主な企業の人員削減の現状
アマゾン
10月 小売部門における年内の採用凍結。
11月 広告部門やクラウド部門の採用を当面凍結。
不採算事業部門を見直して他部署への異動を検討するよう指示。
過去最大規模のレイオフで従業員1万人の削減決定。
01月 1万人の削減予定を1万8千人に拡大する。
グーグル
10~12月期の人員増を前期比半分以下に抑える。
マイクロソフト
人員削減方針を表明 従業員の1%である約1000人を削減
メタ
従業員の13%にあたる1.1万人を削減
ツイッター
従業員を3750人解雇して半減させる
リフト(ライドシェア大手)
従業員の13%にあたる683人を解雇
ディズニー
採用凍結と人員の一部削減を決定
HP
今後3年間で従業員の10%にあたる6000人を削減。
ストライプ(オンライン決済大手)
従業員の14%にあたる約1100人の人員削減
ゴールドマンサックス
12月に4000人の人員削減を発表
マイクロン(米半導体大手)
12月に従業員を10%削減すると発表
セールスフォール
1月に従業員を10%削減(8000人)すると発表
多くの企業は人員削減へと舵を切っています。経営陣も今年は業績悪化が見込まれると想定しており、少しでも利益を確保するために人員削減を行いながらコストカットに動いているようです。日本などとは違って、米国は業績が悪化しそうになるとレイオフを実施するなど対応を取るので分かりやすいですよね。
景気悪化 → 企業の業績悪化 へと続いていく事になりそうですよね。
株価下落へ
景気悪化で注意が必要なのは、企業の業績が悪化するという事もありますが、それ以上に倒産による連鎖的な負の影響が起こる可能性を考慮する必要があるのではないかという事です。
通常の景気悪化のケースでは、好景気→不景気という循環になっているのですが、今回に関してはコロナ禍であり好景気というよりは景気悪化を持ちこたえたままで不景気に突入するという極めて厳しい状況だと思います。
コロナ過で多くの企業がダメージを受けています。その状態で景気悪化へと突入すると、現状でさえダメージを負っている状態なのに更に追加でダメージを被る事になり、そのダメージの積み重ねに耐えきれずに倒産する企業も現れてくると考えられます。
最近になって倒産の公算が大きくなって株価が急落した小売りチェーンのベッド・バス・アンド・ビヨンド(BBBY)もコロナ禍によって業績の悪化が加速して立て直す事が出来ずに倒産の危機に陥っています。
政策金利の上昇により、資金調達する際の金利も大幅に引きあがっており、今後は運転資金に苦慮する企業も増えてくるのではないでしょうか。
景気悪化に政策金利の高止まり、企業業績の悪化、そして倒産の増加などによって、連鎖的に困窮する企業が加速度的に増加する事を考慮すると、株式市場への動揺は大きなものになる可能性があるのではないかと思います。
まとめ
今年の景気悪化は避けられないのではないかと考えています。
そして、コロナ過によるダメージを引きずったままで景気悪化に突入する事で倒産する企業が増えていくと思います。
こういった事が強く認識されるようになるのが今年の前半だと考えています。今年の前半はバッドニュースが多くみられる事になり、それに伴って株価も大きく下がる事になるのではないだろうかと推測しています。そして、夏頃まではグダグダな展開が続いていくものだと考えています。
ただ、秋から年末に向けては少しづつ株価も回復していくのではないだろうか。
まだ今年の秋や年末ぐらいの景気状態は悪いままだと思いますが、株式市場は一足先に動いていくものであることから景気の最悪期であると思える秋ぐらいには株式市場は一足先に反転していくのではないかと思っています。
今年の前半は、株式市場にとって厳しい状況が続いていくと考えています。しかしながら、秋ごろからは少しづつ戻していく展開になっていくのではないでしょうか。
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