今後の利下げを見越した米国債券への投資

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最近、米国債への投資が少し話題になってきていますよね。普段は、ほとんど話題にならない米国債投資ですが、こういった相場になってくるとチラホラと米国債への投資の話題があがってきます。

株式と違って、基本的には穏やかな値動きをする米国債。株式の値動きとは反対の動きをしたり、暴落時でも緩やかな下落に留まる事もある事から安定的な運用を志す場合にはポートフォリオに組み込んでおくとボラティリティを和らげてくれる存在となります。

米国債に投資している人はあまり見かけないね

玄人好みの投資先だよね

今回は、そんな米国債のお話をしていきたいと思います。

目次

今は米国債ETFにとっては厳しい局面

米国債などの債券を購入する場合には、「現物の債券」を購入する方法と米国債券などを運用している「米国債ETF」を購入する方法があります。

現物の債券を購入する人よりも、米国債ETFを購入する人の方が多いです。それは、現物の債券を購入するにしても日本の証券会社だと取り扱いが少ないという事と、現物の債券は売却などに時間が掛かるので、現物の債券を購入するよりもETFを選択する人が多いです。

ETFだと株式市場に上場しているので、いつでも購入・売却する事が出来るし、ETFの場合は沢山の種類の債券を混ぜ合わせて保有しているのでリスク分散も計れるという事でETFを選ぶ人の方が多いです。

さて、最近になって米国債ETFの話題が増えてきているのは、今の利上げ局面が終わって次の利下げ局面を見越して米国債ETFを購入していこうと検討している投資家が増えてきているからですよね。

基本的に、債券は市場金利(政策金利)が上昇すると価格が下落して市場金利が下落すると債券の価格は上昇する事になります。

債券というものは、発行時に債券金利が決定しており、債券が満期になるまではずっと同じ金利のままです。

例えば、10年債券を金利4%で発行したとします。その後に政策金利が上昇して半年後に発行した10年債券の金利が5%になった場合は、貴方ならどちらの債券を買いますか?

そりゃ、金利が高い方がいいから同じ10年債を買うなら金利5%の方だね

だれでもそうなりますよね。金利の高い方が欲しいですよね

後から発行する債券の方が発行時の金利が高いから人気になって、以前に発行した債券は金利が低いので魅力がなくなって買い手が少なくなります。なので、前に発行している債券は政策金利が上昇すればするほど人気がなくなっていって、債券価格(中途売却時の買取価格)が下がっていく事になるのです。

政策金利が下がっていく(利下げ)時は、これの逆の動きになりますよね。

債券の金利が5%で発行していたのに、政策金利が下がったので新しく発行した債券の金利が3%になったら、新しく発行した債券を買わずに、前に発行していた5%の債券の方が欲しくなりますよね。なので、以前に発行している債券価格(中途売却時の買取価格)が上昇する訳ですよね。

米国債ETFも基本的にはこれと同じ動きになります。金利上昇時にはETFの価格は下がり、金利下落時にはETFの価格は上がります。

今は政策金利が上昇している局面(利上げ局面)なので、米国債ETFの価格は下落しており、米国債ETFにとっては厳しい時期だと言えます。

ただし、利上げが終了して利下げへと転換されると、下落を続けていた米国債ETFは一転して上昇していく事になります。なので、利上げの停止が近づいてきている最近は米国債への投資を検討する投資家が増えてきているという事になります。

なかなか難しい米国債ETFへの投資

金利の上昇が一服すると米国債ETFの下落も歯止めが掛かり、その後に利下げが行われるのであれば米国債ETFは上昇に転じる事から、利上げが中止される少し前の辺りが米国債ETFの底値付近になるという事になります。

そのあたりで米国債ETFを仕込んでおけば、その後の利下げ局面になっていくと米国債ETFは上昇する事から、リターンを見込めるという事で最近は米国債ETFが話題になってきています。

でも、個人的には長期的に米国債ETFをポートフォリオに組み入れる予定で購入するのではなくて、短期的に上昇を取れる(リターンを取れる)という理由で米国債ETFに投資をするのであれば、なかなかタイミングが難しい投資になると思っています。

金利が下れば、米国債ETFなども上昇していくのですが、株式市場も上昇していく事になると思います。

債券などは基本的に緩やかな値動きなので、株式の上昇力と比べると見劣りしてしまいます。ボラティリティを落ち着かせるために債券ETFを組み入れるのであれば問題ないと思うのですが、値動きを期待して米国債ETFなどに投資をするのであれば、なかなかタイミングを取るのが難しいと感じます。

株式が軟調な間は債券ETFでしのいで、株式が上昇しそうになったら債券ETFを売却して乗り換えようと目論んでいる場合であれば、そんなにタイミングよく組み換えできるのかなと思ってしまいます。

リーマンショックやコロナショックの時のように、激しく急速に景気が悪化した場合は金利を素早く大きく引き下げますが、今回のようにインフレに対処するために利上げしているのであれば、多少景気が悪くなっても一気に金利を引き下げるような事はFRBとしても難しいと思います。

時間を掛けながら利下げをする事になると思われるので、米国債ETFの上昇力も緩やかなものになっていくと思います。そうなると、値動きを期待していた当初の目論見とは少し異なってくるのではないかなと感じてしまいます。

普段は、大型テック企業などのグロース株に投資をしていたけれども最近はグロース株の調子が悪く、米国債ETFならば利下げした時に値上がりが期待できるから米国債ETFがいいと感じていたのであれば、米国債ETFがのんびりとした上昇しかせずに、気が付けば大型テック企業が調子よく上昇していく姿をみているうちに、再び大型テックの方が魅力的に感じて、すぐに乗り換えてしまう事になるのではないかなと思います。

それならば、最初から大型テックに投資をしている方が効率が良いのではないかなと感じるわけです。同じタイミングで米国債ETFと大型テック企業に投資したとしても、時間が経過するにつれて大型テック企業のパフォーマンスの方が良くなると思います。ただし、大型テック企業は波が荒いので浮き沈みが激しいですけどね。

米国債ETFは穏やかにポートフォリオを守ってくれる

米国債ETFなどの債券に投資するものは、値動きが穏やかです。また配当(利息)もそれなりに出してくれるので安定したリターンを確保する事が出来ます。その代わり、長期的に保有していても株式ほど大きく値上がりするという事はないです。安定したリターンを確保できるというのが魅力なので、長期的にポートフォリオに組み入れておけば、安定した運用を行う事が出来ます。

ただ、短期的な値動きを狙うのであれば中級・上級者向けになるのではないかなと思っています

利上げ終了付近で購入して、利下げまで保有していれば手堅くリターンを取れますが、大きく上昇するというほどでもないです。それで満足できるのであれば何も問題ないのですが、基本的に株式投資がメインの方はリターンを重視する方が多いです。特にグロース株に投資をしているのであれば、なおその傾向が強いと感じます。

そのような場合に、米国債ETFに投資をして、タイミングよく株式に切り替えて、株式だけに投資をしていたよりもリターンを高めるという事は、なかなか難易度が高いと思います。

長期的なポートフォリオに債券を組み込んで投資資産全体の値動きを穏やかにするという目的で米国債ETFの購入を始めるのであれば、今の利上げ最終局面(もう少し先だと思うけど)で仕込んでいくのは良いタイミングだと感じます。安値で仕込んだ米国債ETFは、安定した値動きと安定した金利(配当)でポートフォリオを支えてくれると思います。

短期目的ではなく、長期目的で債券に投資をする方がいいのではないかなと思っています。

短期目的だったら?

私は普段から債券投資はしていないし、得意ではないので債券投資には詳しくないです。サラッとした知識で、もしも私が米国債ETFに短期的に投資をするとすれば、どれに投資をするだろうか?

米国債ETFは、いくつかあるけれども基本的には同じような条件の債券ETF(長期債を中心に集めているとか、短期債を中心に集めているとか)であれば、パフォーマンスの差はあまりないと思います。

例えば、同じような長期債を中心に投資しているETFでも、若干の差(金利の差や値動きの差)があるけれども、金利が高いものは他よりも値動きが激しいし、金利が低いのもは値動きが穏やかなので、銘柄選択の差はトータルでみれば誤差の範囲だと思います。

例えば、長期債を中心に投資をしている米国債ETFをあげるとこんな感じかな。

EDV   バンガード・超長期米国債ETF
TLT   iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF
SPTL  SPDR ポートフォリオ米国長期国債ETF
2621  iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)

今後の利下げ局面で円高に振れると感じているのであれば、2621みたいな為替ヘッジありを選んでみたら面白いと思うし、米国債ETFを売却した資金は米国株に投資するのであれば、EDVやTLTみたいにドルで保有していても再投資先はドルなのであまり気にしなくてもいいと思うし、それぞれの戦略に応じて、取り入れやすいものにしていけばいいのかなと感じます。

まとめ

投資のポートフォリオに債券を組み込んでいく事は長期的な運用という面からみると非常に良い事です。

基本的に債券は株式市場の動きとは正反対の動きをするので株式の下落をカバーしてくれるし、債券が下落した場合も値動きは株式と比べると比較的穏やかな値動きなのでボラティリティを抑える事が出来ます。また安定的な利子(配当)が支払われる事から心理的な防波堤の役割も果たしてくれます。

特に、株式市場が大きな下落に巻き込まれた時などは債券への投資が非常に力強く感じる場面となるので、長期運用において債券投資が果たしてくれる役割は大きいものがあります。

米国債ETFの中では、BND(バンガード・米国トータル債券市場ETF)であれば、短期債・中期債・長期債をバランスよく保有しており、経費率も0.03%とかなり低く、配当利回りも2.7%ぐらいあるので長期的に保有するのであればポートフォリオに安定感を与えてくれると思います。

丁度今は利上げ最終局面に近づいてきており、債券に投資するには良い環境となっています。

債券投資のメリット・デメリットを考慮した上で、自分の戦略やポートフォリオを見直しながら安定した運用を志すのであれば債券投資を考えてみるのも面白い時期なのかなと感じています。

  

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 米国債券現物は選択肢だと思っています。利回り3パーくらいで固定できるし。為替リスクありますが、米株やETFならば同じくリスクありますしね。

    • こんにちは、ういろーさん。

      現物債券は満期まで保有すれば満額戻ってくるので良いですよね。ETFだと満期がないので価格が変動するからタイミングを図る必要がありますね。
      日本の証券会社で、もっと米国債券の販売が豊富にあればよいのになと思います。

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