現在の米国株市場はインフレ退治のために利上げをしている最中です。
まだまだ利上げが続くことが予測されており、利上げが続く限りは株価の下落は収まらなという意見が多くなってきました。
そのため利上げが一段落して、利下げが行われる事を心待ちにしている投資家が多くなってきました。利下げを待ち望む理由の多くは、利下げをしたら株価が上がるからというものが多いみたいです。
皆が利下げを待ち望んでいるのね
でも、利下げしたら株価が上がるという訳ではないと思うよ
多くの人がいうように、利下げしたら本当に株価が上昇するのだろうか?
基本的な政策金利の操作
基本的な政策金利の動きは、一般的には景気上昇時に金利を引き上げて、景気減速時に金利を引き下げるというものです。
「景気上昇 → 金利引き上げ → 景気低迷 → 金利引き下げ → 景気持ち直し」
このサイクルを繰り返す事になります。
なので、金利を引き下げる事で景気が持ち直して株価が上がると思われているのかもしれませんが、金利を引き下げるのは1回だけではなく数回に分けて何度も行われます。なので、金利を引き下げたからといって景気がすぐに持ち直すわけではないです。
今の金利を引き上げている状況をみてもらうと分かると思いますが、金利を引き上げたからといって、すぐに景気が落ち込むわけでもないし、すぐにインフレが収まるわけではないです。何度も何度も金利を引き上げる事でダメージがボディーブローのように効いてくるのです。
同じように、金利を引き下げた場合もすぐに効果が現れるわけではなく、何度も何度も引き下げる事で効果が表れて景気が持ち直してくるという事になります。
つまりは、今後金利の上昇が頭打ちとなり、金利を引き下げる時期にきたとしても、金利を引き下げてすぐに景気が持ち直すわけではなく、景気が持ち直すにはしばらく時間がかかるという事です。そして、企業の業績もまだ持ち直しておらず、金利を引き下げたからといって、株価もすぐに上昇する訳ではないと思います。
もちろん短期的な動きでいうと金利を引き下げれば、それを好感して株価が上がる事もあると思いますが、景気や企業の業績が低迷している限りは株価は低迷を続けていきます。
過去の金利引き下げ時はどうだった?
今までも金利を引き下げたことは何度もあります。景気が良い時期が続くと、それに伴って利上げをしていきます。その後、景気が減速する事によって、利下げをして景気の下支えをする事になります。
利下げをした当初は株価が上がる事もありますが、それでも景気がまだ下降していたり企業の業績が低迷したままであれば、株価もいずれ下がっていきます。そして、更なる金利の引き下げが行われ、またそれを好感して株価が上がる事がありますが、景気や企業業績が伴わなければ、再び株価は下がってきます。これを繰り返しながら何度も何度も利下げが行われていきます。
では、近年で大きな下落となっていたITバブルやリーマンショックの頃を確認してみましょう。
ITバブル崩壊時の利下げと株価
ITバブルの頃の利下げと株価の動きがどうなっていたのかを確認してみましょう。
ITバブルの頃は、13回ほど利下げをしています。まずは、最初の利下げの時はやはり利下げを行うと株価は上昇しています。しかし、次第に株価は勢いを無くしていきます。
その後も、何度も利下げを行い、その度に株価は反発しますが、景気や企業業績が回復しない限りは反発も一時的なものにとどまり、株価は再び下落していく事になります。
結局は、利下げを行ってからある程度の時間が経たないと景気も企業業績も株価も戻ってこない事になります。
リーマンショック時の利下げと株価
リーマンショック時の利下げと株価の動きがどうなっていたのかを確認してみましょう。
リーマンショックの時は、まずはサブプライムローン問題が起こります。それによって利下げを行うのですがやはり利下げをすると株価は上昇しています。
しかし、経済状況が良くなければ株価はいずれ下がっていく事になります。そこで何度も利下げを行い、景気の下支えを行います。株価も利下げによって一時的に上昇する事はあっても、景気の動きと同じように下落していきます。
やはり、利下げを行ったからといってすぐに景気が持ち直すわけでもなく、利下げを何度も行い、ある程度の時間が経過しないと景気も株価も持ち直しません。
まとめ
最近は、利下げさえすれば株価は持ち直すから利下げを待っていればいいという意見が多くみられるような気がします。
でも、利下げをしてもしばらくの間は株価は低迷したままだと思います。
もちろん利下げを好感して一時的に株価が上昇する事はあると思いますが、1回の利下げごときで株価が底を打って右肩上がりの上昇に転じる事はないと思います。
来年には利上げもひと段落して、利下げに転じる場面があるかもしれません。
しかしながら、「利下げ=底打ち」と決めつけていると、利下げ後の反発に勢いよく飛び乗って痛い目にあう可能性が高まってしまいます。
慌てなくてもいいと思います。景気の動向を確認しながら、恐る恐る投資をしていくぐらいで充分だと思います。
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