去年1年間好調だった米国株市場。その流れを引き続きながら、今年も好調な勢いは続いており、S&P500なども史上最高値を更新しながら上昇を続けています。去年からのAIブームの勢いは衰えず、今年もハイテク銘柄を中心に上昇をしており、ビックテックが相場を先導しています。
今年もマグニフィセント・セブンに期待できそうだね
AIブームは暫く続きそうだよね
このまま今年も去年の勢いを保ち続ける事が出来るのかは、今後の経済状況や利下げの状況によっても大きく変わっていきます。特に利下げがどのような状態で行われていくのかによっても相場を左右する為、利下げの状況にも注目する必要があります。
利下げの方法として、2種類の利下げのやり方があります。それが、「予防的利下げ」と「本格的利下げ」です。
「予防的利下げ」は、最近ではトランプ大統領時代の2019年に時に行われた利下げが有名ですよね。
リーマンショック後から歴史的な超低金利が続いていた米国ですが、金融政策を正常化する為に2015年から少しずつ政策金利を引き上げていきました。ところがトランプ大統領が誕生して、米中貿易摩擦を引き起こしたため、景気が停滞し始めました。
FRBは、安易な利下げに反対の立場を取っていましたが、自身の政権中に経済が低迷し始める事を極端に嫌ったトランプ氏は、FRBに利下げを要求し始めます。
「FRBが利上げをしなければ景気はもっと良くなっていた」とトランプ氏はFRBを公然と批判し、FOMC開催中にも「大幅な利下げを見たい」と強い圧力を掛けます。度重なるトランプ大統領からの圧力に屈したFRBは、「予防的利下げを実施する」として、0.25%の利下げを決定するのでした。
その後もトランプ大統領は利下げ幅が小幅に留まった事に「失望した」と発言して、更になる利下げを要求しており、結果としてFRBはその後も利下げを継続する事となりました。
2019年以外では、1998年や1995年、1987年などにも「予防的利下げ」を行っています。
この「予防的利下げ」の場合、経済が大きく減速している訳ではないが、利下げを早めにする事で景気の減速を食い止め、経済の上昇を促す事になります。ただ、明らかに景気が落ち込んでいる状態になる前に利下げをする事でバブルを誘発したり、インフレが加速する可能性もあり、FRBは予防的利下げに関しては慎重な姿勢を取る事が多いです。
ただ、予防的利下げをした場合は株式市場にとっては好影響を与える事が多く、株価の上昇に繋がっていきます。そういった意味においては「予防的利下げ」は投資家にとって有難い事でもあります。
一方で、「本格的利下げ」は通常の利下げであり、経済が大きく落ち込んでいる事から景気回復を促す為に何度も利下げを繰り返し、経済が元に戻るようにアシストしていきます。状況によっては大幅利下げを行い、急激な景気低迷に対処する事もあります。
この「本格的利下げ」の場合は、株価の下落を伴う事が多いです。経済が低迷している状態が続き、利下げを繰り返しても、なかなか景気が上向かないという事なので、当然ながら株価は低迷していくし、場合によっては大幅下落もあり得ます。
代表的な本格的利下げは、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックとなります。景気の大きな後退を伴う事から株価に大きな影響を与えます。
株価的には、「予防的利下げ」では上昇して、「本格的利下げ」では下落するといった感じになるのですが、債券市場(債券価格)については、「予防的利下げ」・「本格的利下げ」のどちらの場合でも、上昇する事になっています。
今回の利下げがどれに該当するのかは、もちろん現時点では分かりません。
ただ、現状では景気が大きく減速してから利下げを行う「本格的利下げ」ではなく、インフレや景気の動向を見ながら「予防的利下げ」を実施していく方向性のようです。
FRBは、早くても6月以降からの利下げを検討しており、FRBは年3回の0.75%の利下げを想定しています。一方で、市場では5月からの利下げを想定しており、市場は年6回の1.5%の利下げ予測となっています。
FRBと市場の予測には、大きな隔たりがあります。FRBが利下げをするまで経済に大きなダメージがなければ「予防的利下げ」となり、株価の上昇へと繋がっていきそうですが、FRBが慎重姿勢を続けて利下げを遅らせているうちに経済の悪化が深刻になり、景気の後退が進んで行けば「本格的利下げ」へと突入する事になるかもしれません。そうなると当然株価にも大きなダメージが与えられます。
最近の市場の想定では5月での利下げを想定します。市場の想定通り利下げが行われれば株価は大きく反応するだろうし、利下げが遅れれば遅れるほど株価や経済への悪影響は増していきます。
今後も株価が更に上昇していくには、実施される利下げが「予防的利下げ」である必要があり、ゆえに利下げが行われる時期は非常に注目されています。
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