今年に入ってからは AIブームを牽引してきたクラウドを運営してきたマイクロソフトやアマゾンなどの大手テック企業は結構株価が下落しています。高くなってきていたPERも大分下がってきているのですが、それでもまだ例年と比べると高い水準となっています。業績が今後も順調の伸びていくのであれば高い水準でも肯定されるのですが、AIへの投資が従来の想定よりも萎むのではないかという懸念があり、株価の勢いは衰えています。

AIの普及が進むと思うけど、過剰投資の懸念があるみたいだね



データセンターへの需要が落ち込む可能性があるみたいだね
AIの利用は今後も拡大していくとされています。大手テック企業はそれを見越してデータセンターにガンガンと投資を続けてきましたが、投資費用に見合うほどの収益があげれなければ当然ながら株価も割高となってしまいます。
大手テック企業は、将来性を有望視されながらもすでに買われ過ぎているという事で最近の株価は軟調となっています。
さて、そんな感じで軟調な展開が続いている大手テック企業ですが、まだ安くて評価が低いテック企業もあるようです。それがテンセントやアリババなどの中国の大手テック企業です。
チャイナリスクを嫌気されて、近年は投資家から避けられてきた中国企業ですが、最近は業績のわりに安く放置されているという事で見直されつつあるようですね。
では、クラウドを運営している米国の大手テック企業のPERと中国の大手テック企業のPERを見比べてみましょう。
企業名 | 実績PER | 2025年予想PER | 2026年予想PER | 2027年予想PER |
---|---|---|---|---|
アマゾン | 33.4倍 | 29.2倍 | 24.5倍 | 19.7倍 |
マイクロソフト | 32.9倍 | 29.5倍 | 25.1倍 | 22.0倍 |
アリババ | 12.5倍 | 12.0倍 | 10.5倍 | 9.5倍 |
テンセント | 17.6倍 | 15.2倍 | 13.7倍 | 12.4倍 |
アリババやテンセントなどの中国系テック企業は圧倒的に割安ですね。チャイナリスクによって敬遠されてきたことから、まだ完全には投資家達の資金が戻ってきておらず、実績や将来性があるにも関わらず割安になっています。
アリババやテンセントなどの中国系企業が敬遠されてきたのは、中国指導部(中国の政権)が民間企業の経営に口出しをし始めて、規制を強化した事で業績が低迷していたからです。
ただ、最近は中国指導部も米国との AI競争に打ち勝つためにアリババやテンセントなどの大手テック企業を後押しするような発言や態度が続いており、大手テック企業への締め付けが緩和される見通しです。
そうなると、もともと実力を持っていた中国大手テック企業はしっかりと業績を回復していくと想定されています。
それは、最近の株価にも反映されており、今年の株価騰落率(年初来騰落率)をみていると、アマゾンは 16.9%下落、マイクロソフトは 7.9%下落と軟調な展開になっているのに対して、アリババは 35.4%上昇、テンセントは 10.9%上昇と好調を維持していますね。
今までは米国テック企業の覇権が続いていましたが、米国経済が失速するようであれば、中国系テック企業が盛り返してくるのかもしれませんね。
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