ディープシーク(DeepSeek)の登場によってエヌビディアなどが製造している高性能半導体(GPU)は必要ないのではないかという憶測が上がっており、それが少し前のエヌビディアの株価が下落する大きな要因となっていましたね。エヌビディアだけでなく、エヌビディアのGPUを大量に購入してデータセンターを構築しているハイテク大手企業の株価も同じように下落している時がありました。

ディープシークの登場は、米国ハイテク銘柄の終焉なんだろうか?



そんな事はないと思うよ。高性能GPUの需要はまだ高いよ
エヌビディアなどの高度な半導体を使わなくても高性能な生成 AIを作り出すことが可能であれば、そもそもバカ高いエヌビディア製の高性能半導体を買う必要がないのでエヌビディアの半導体に対する需要は落ち込む事になるという話も多かったのですが、それでもエヌビディア半導体は買われていくんじゃないかなと思っています。
そもそも技術革新において最初は高度な製品に対して高い価格が付き、それが普及し始める(生産量が多くなる・技術力向上でコストダウンできる)と安価な製品が大量に生産できるようになって商品自体が一気に一般化していくという形になります。
現在は、生成 AIなども出始めたばかりであり、まだまだ使用料や利用料は高いのですが、これが安価になっていけばあらゆるものに生成 AIなどが搭載されていくようになり、一気に普及していきます。そうなると、そもそも半導体自体が大量に必要となっていきます。
また一方で、最先端の技術・商品に対しては高性能な半導体が必要となっていきます。ネット社会において勝者総取りになっている事から、常に先頭を走り続けないと消費者は他社の製品の乗り換えてしまいます。主導権を握り続けたい企業にとっては、最先端のエヌビディア半導体を手放すという選択肢は取りにくい事になりますよね。
アマゾンの決算発表のカンファレンスでも、AIの将来性やコストダウンによる普及について述べていました。
- AI は間違いなくクラウド以来最大のチャンスであり、おそらくインターネット以来最大の技術シフトとビジネスチャンスです。
- すべてのアプリに生成 AI が組み込まれ、ほとんどの企業がさまざまなタスクを実行し、互いにやり取りする独自のエージェントを持つ世界が訪れる。
- テクノロジーコストが削減されれば、テクノロジーへの総支出が減るだろうと考える人がいるが、今までそういった事は1度もなかったです。
- 推論のコストが大幅に下がれば、企業がすべてのアプリケーションに推論と生成 AI を組み込むことがはるかに容易になります。
- アマゾンのクラウドも徐々に使用料を安くしていきましたが、安くなればなるほど利用する人は増え、結果として総量は大きく増えています。
便利な製品が出来ると多くの企業や人々が試し始め、コストが安くなれば、更に多くの企業や人々が使い始め、やがて一般的な製品へとなっていく。高い利用料によって使用を躊躇っていた層が利用を始める事で総量は飛躍的に拡大していく事になります。
生成 AIなどの普及・利用料の増加を見越して、クラウド運営しているハイテク大手各社や生成 AIを手掛けているハイテク企業などは、AIに対する設備投資の手を緩めておらず、今年度も更に設備投資を例年以上に加速させています。
企業名 | 2024年度設備投資額 | 2025年度設備投資額 |
---|---|---|
アマゾン | 750億ドル | 1000億ドル |
マイクロソフト | 545億ドル | 800億ドル |
グーグル | 525億ドル | 750億ドル |
メタ | 400億ドル | 650億ドル |
各社とも、前年対比で 35%~ 65%ぐらい設備投資を増加させているようですね。アマゾンやマイクロソフトは、決算発表の場において、毎年 AIに対する設備投資を増加させてきているが、それでも需要に応えられるほどの供給が出来ていないと述べており、更に設備投資を加速させて需要に対応できる体制を整えると話していました。
自動運転や AIロボットなどの高度な AIを必要とする製品なども今後は出来上がっていく事を想定すると、AIへの需要はまだまだ始まったばかりだという事になります。
「インターネット以来最大の技術シフトとビジネスチャンス」という言葉は大げさではないと感じています。
コメント
コメント一覧 (2件)
本当にそうですね。インターネットも技術が世に出て結局全ての人への普及までに20年ほどかかりましたよね?
となればそれほど時間はかからずともやはりAIは広く使われるでしょうから、そういう分野への投資は有効ですよね。
普及していくにはまだ少し時間が掛かるかもしれないけれども、便利なものはあっという間に普及していくので、AIも気が付けば一気に普及しているのではないかなと思っています。
時代の流れに乗っておけば、それなりに恩恵を受けられるのではないかなと感じています。